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【書籍感想】メキシコ麻薬戦争

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

ヨアン グリロ / 現代企画室

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概要
 町では生首が転がり、死体は吊るされ、警察が殺されまくるという世紀末状態らしいメキシコでは一体何が起こっていて、どういう経緯でそうなったのかというレポート。

 ナルコ(麻薬密輸人)が台頭してきた歴史や、武装化の背景、どういった経済基盤を持ち、国際的な麻薬市場とどう繋がっているのかなど細かく解説しており、メキシコだけじゃなくて中南米全体の麻薬・犯罪事情などが割りと良く分かる一冊。 コロンビアの麻薬戦争との絡みなども詳しいので、その辺りの事情に興味があるなら取り敢えず読んで損は無い。

歴史
 この本が素晴らしいのは現代のメキシコ麻薬戦争を解説する為に、メキシコと麻薬の歴史を19世紀まで遡った地点から解説してくれる点である(正確にはもっと以前も含まれるが)。なのでメキシコの事なんか全く知らなくても、歴史や地域性や住民気質まで丁寧に説明してくれる。単なる近年の麻薬戦争の経緯では無く、メキシコという土地と麻薬についての解説本なのである。

阿片
 遡ること19世紀。清朝政府は近代で最初に麻薬禁止令を出し。それに対抗して阿片を密輸しまくり最終的に軍事組織まで投入した元祖麻薬ギャングともいうべき存在はイギリスの東インド会社であった。アヘン戦争後、大量の中国人移民が鉄道建設の労働力(苦力)としてアメリカやメキシコに流入したが、アヘンも同時に流入したのだ。これは麻薬が昔から貧困労働者を蝕む存在であったことを示すエピソードでもあり、興味深い。

 意外な事にメキシコ初期のナルコは中華系であった。アヘン戦争は誰でも世界史で習うので知っているが、それがハッキリ現代の麻薬戦争まで直結する出来事であったと意識することはあまり無いだろう。現代では阿片中毒者という単語はあまり聞かないが、阿片から精製されるヘロインは現代でもキング・オブ・薬物である。

アメリカ
 メキシコの悲劇はアメリカという巨大な消費国と隣接していた点だろう。アメリカでアルコールが規制されれば酒の密輸が。ドラッグが規制されれば、麻薬の密輸産業が発展してしまう。アメリカに大量の消費者と需要が存在し、アメリカ国内で供給出来ない以上、市場原理的にメキシコで産業化せざるを得ないのだ。こうした構図があるので、麻薬撲滅はメキシコ内部で完結できる話では無い。ある意味、アメリカは法的な規制によってメキシコに間接的に麻薬産業をアウトソーシングさせていると言えなくも無い。本書で語られる、アメリカ政府とメキシコ政府の数々の麻薬撲滅運動の失敗を読めば、最近アメリカがマリファナ合法化に乗り出した経緯も理解できる。

文化
 麻薬マフィア絡みの音楽や映画に関しても色々と書かれていて面白い。ナルコは金持ちで見栄っ張りで金遣いが荒いので、パトロン的に色々な物に投資しているのだ。それ故に文化面でも色々な影響を持っている。一端のドンなら自分を称えるヒットソングの1つも持っているべき的な文化は特に面白い。一攫千金を夢見てマフィア組織の広告塔みたいになるミュージシャンは多いが、彼らは時折敵対マフィア組織によって蜂の巣にされる。何ともハードな世界である。

 宗教面も面白い。貧乏故に強盗や殺人や麻薬産業に走らざるを得ない人達にとっては、ド正論なキリスト教は救いにはならないのだ。貧困ゆえに誰よりも救いを求めているが、神は犯罪を認めてはくれないのだ。彼らには、命がけの犯罪の成功を祈る神がいるのだ。そうしたナルコ文化な宗教は、キリスト教と土着信仰や聖人崇拝の融合から新興宗教的に発生する。

中でも鎌を持った髑髏の女神、サンタ・ムエルテ信仰は面白い。アステカ伝来の髑髏信仰と地母神信仰なんかがキリスト教と融合した感じで、見た目的にも禍々しい。女神らしい骸骨をリカちゃん人形的に綺麗な衣装で飾るのだ。サンタ・ムエルテは死の女神である。サンタ・ムエルテ信仰はメキシコを飛び出して海外にも広がっているという。

犯罪
 本書では麻薬以外の犯罪も扱っている。麻薬マフィアの犯罪は多角化しているからだ。誘拐ビジネスだとか、みかじめ料ビジネスや、石油密売なんかも登場する。こうした犯罪がどういう形で機能し成立しているかなどが紹介されている。石油密売や誘拐ビジネス、みかじめ料などはISISなんかでも見受けられた犯罪だ。シチリアマフィアやヤクザなんかと比較してみても面白い部分である。
by cemeteryprime | 2015-06-02 14:35 | 作品・感想 | Comments(0)

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