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【映画感想】ハクソーリッジ

ハクソーリッジを観て来た。厳格なキリスト教徒の青年が、衛生兵として従軍し、周囲から非難され臆病者と罵られながらも武器も持たず人を殺さずを貫いて、誰よりも勇敢に戦場を駆け回り大勢の命を救ったという実話を元にしたストーリーである。

あらすじレベルで要約すると戦争下においても宗教的な美徳を守ったという美談にも聞こえるが、映画では「宗教の教えに従い人を殺したくないなら、そもそもなぜ従軍したのか?」という部分にも焦点を当てていて、人間描写が面白かった。あと誰かしらが爆撃やら銃撃で常に肉片をまき散らしているレベルの戦場描写がエグかった。

以下、完全なるネタバレ感想。

デズモンドのトラウマ

主人公のデズモンド・ドスは徴兵された訳では無く志願した兵士である。それも周囲の反対を押し切っての従軍だ。母親や婚約者が反対するのは当然として、父親に関しては第一次大戦のPTSDで長年苦しんでいて、一緒に従軍した友達が目の前で死んで一人生き残ったことを後悔しているような人物である。そうした話を主人公にもするのだが、それでも主人公は従軍するのである。

また主人公は軍で自分の信念に基づく主張(非暴力主義&ライフルを触りたくない)を貫こうとしてイジメに遭うのだが、周囲の軍人達が主人公をイジメる理由は暴力を強制する為ではない。自分から除隊させる為だ。暴力が嫌なら戦場に来るべきでは無いし、個人の信念で非暴力主義を貫いて武装すらしない奴が部隊に居たら普通に考えて自分たちまで危険だからだ。

軍人達も、みんながデズモンドは戦場に来るべきではないと次々に上官も出てきて説得するのだが、デズモンドは頑なに自分の信念を貫きつつ戦場に行くことに拘る。結果、同僚に苛められる事になるのである。

トラウマと贖罪

デズモンド・ドスの信念や頑なに戦場に行こうとした理由は、過去のトラウマにあった。デズモンドは幼少期に喧嘩でレンガを使用し、兄弟を殺しかけたことがあった。兄弟を殺してしまったのでは無いかという恐怖に怯え、真っ青になるデズモンドの視線の先にはアベルを殺すカインの図画という分かりやすい演出も挟まれる。結局、兄弟は死ななかったが、デズモンドの心には殺人の罪に対する恐怖が刻み込まれ、信心深い青年へと育つ。

そして戦場にて、かつて家庭内暴力で母親を殴る父親を銃で殺害しかけたというエピソードもデズモンドの口から語られる。撃ちはしなかったが、心の中では父親を射殺した。それ以来、銃は触らないようにしていると告白する。

確かに、主人公のデズモンドは、厳格な宗派のキリスト教徒なのだが、人殺しの拒否や、銃を触らないという行動は、宗教的な教義に基づく行動というよりはデズモンドの個人的なトラウマに基づくものであったと、少なくとも映画では描写されている。

そして、従軍の理由もそうした過去の罪悪感から来ている。デズモンドは、恐らく罪を犯した自分を嫌っていた。それ故に厳格なルールを自分に課し、さらに周囲の反対を押し切って危険な戦場へと向かった。そして、他人を助ける為にというよりは、自分自身を救う為に、命がけで戦場で多くの人を救うのであった。

PTSDの父親

デズモンドの父親は、第一次世界大戦のPTSDで家庭内暴力親父と化している。デズモンドと兄弟が幼少期に殺し合い一歩手前の喧嘩をするくらいに荒れていたのも、おそらく父親の暴力のせいだろう。

父親は、生き残った自分が許せず、自暴自棄になっている。自分が愛せないので、妻も息子も愛せないのだ。デズモンドとその兄弟も志願して従軍したのだが、おそらくはこの父親への復讐の意味合いもあったのだろう。

父親はとある場面で、デズモンドが戦場に行く手助けをするのだが、恐らく父親はデズモンドが戦場に行くことで自分を救済しようとしているという事に何となく気付いたのでは無いだろうか。この場面はかなりグッと来るシーンである。

沈黙との比較

主演のアンドリュー・ガーフィールドはついこの間、同じように熱心なキリスト教徒の役をやっていた。

沈黙の場合は、キリストは、踏み絵を踏んじゃう様な心の弱いキリスト教徒こそ、より救うべき存在では無かろうかみたいな、割と神学的な話であった。

一方の、ハクソーリッジは過去の罪悪感から自分の心を救おうとする話であった。自ら危険に飛び込み、他人を救うことで、自分の心を救おうとする行為は、いささか倒錯しているものの、確かに宗教的である。

沈黙は心の強い人ほど狂信的な行動が取れる(踏み絵を拒んで殉教できる)というスタンスであり、穿った見方をすれば俺たちは弱いんだ、強いやつらこそむしろ異常みたいな描き方だったが、ハクソーリッジの場合は罪悪感の強い人ほど、自らを救済する為に狂信的な行動が出来るという話であり、狂信者には狂信者の理由があるという描き方だったので、割と共感しやすいとは思った。

主人公とトラウマ

ストーリーの主人公というのは、大抵の場合、普通の人には出来ない事をやってのける。何故にそんな異常な行動が出来るんだという部分のリアリティに、過去のトラウマを引っ張って来ることが多い。

デズモンドもそうだが、自ら危険に飛び込む様なヒーローは何かしらの罪悪感から自らを罰したいという願望を抱えている事が多い。自分が嫌いだから、酒浸りになったり、麻薬に走ったり、暴力に走ったりと長生きしたくなさそうな日常を送る。

監督のメルギブソンはそういう死にたがりなキャラを演じた事も多いし、本人もバイオレントかつキリスト教原理主義なおじさんなので、そうした自分を罰したいイズムとマゾヒズム的な救済をデズモンドや主人公の親父を通じて上手く表現できるのでは無いかなとか思った。


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by cemeteryprime | 2017-06-29 22:28 | 作品・感想 | Comments(0)

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