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カテゴリ:作品・感想( 151 )

【ゲーム感想】フォールアウト4、その2

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フォールアウト4のメインクエストを終えたので、シナリオについてのネタバレをしつつ感想を改めて書いてみる。シナリオはインスティテュート・ルート。

【序】

舞台は2077年のアメリカ、ボストン近郊。恐らく現実の1950~60年代から分岐した様なレトロフューチャーな世界である。主人公は妻子持ちの元軍人。

冒頭で核戦争が勃発して、主人公一家は近くの核シェルターに避難するが、実はそこは核シェルターでは無く冷凍冬眠施設だった。途中で何者かに解凍されるものの、子供を誘拐され抵抗した妻は射殺される。主人公は冷凍ポッドに閉じ込められたままそれを見ているしかない。

その後、何かしらの原因で再び解凍され、主人公がシェルターから出てみたら200年後の世界だった…。

【破】

核戦争から200年後の世界は、水や動植物は放射能に汚染され、様々なミュータント化したクリーチャーが跋扈する荒廃した世界だった。人間の変異種として、人喰い人種版のハルクみたいな筋肉ムキムキで緑色の肌をしたスーパーミュータントという種族や、焼け爛れたグロいビジュアルながら不老長寿になったグールという種族までいる。

そんな世界に独自の正義に基づいて活動する大きな組織が4つあり、主人公は誘拐された息子を探して地上を旅する中で、自然とそいつらと関わっていく事になる。

ミニッツメンは民兵組織で、自衛独立を推奨し略奪者と戦う術を持たない農民を支援する集団である。BOSは外国から来た科学技術の回収と管理を目的とする十字軍みたいな組織である。インスティテュートは地下に潜った科学者たちが作った正体不明の秘密結社で、人造人間を地上の様々な場所に潜入させている。レイルロードは、インスティテュートに奴隷種族として作られた人造人間たちの解放を目的とした地下組織である。

探索を進める中で主人公の妻を殺し、息子を攫ったのはインスティテュートだという事が判明する。なので基本的には、悪の秘密組織であるインスティテュート壊滅の為に、それと敵対するBOSやレイルロードと共闘しつつ、ミニッツメンの一員として各地の困っている開拓者たちを助ける感じにストーリーは進む。…のだが。

【急】

インスティテュートに潜入して指導者とあってみたら、そいつが自分の息子だったことが判明する。実は一度解凍されて再冷凍された間に60年が経過していて、息子は自分より年上になっていたのだ。そしてインスティテュートもまた独自の正義の為に戦っている事が説明される。

ここで、主人公はどの組織につくのかという選択を迫られる。単に略奪者から開拓者を守るだけなミニッツメンは兎も角、レイルロードとBOSとインスティテュートに関しては共存はあり得ないのである。

インスティテュート・ルート

ざっくりとまとめるとメインシナリオはだいたいこんな感じ。ちなみにいままで息子を探してきたんだし、それが息子の選択なら支援してやるかと、とりあえずインスティテュート…というか息子に肩入れしてみたら、今まで一緒に戦ってきて協力もしてくれたレイルロードにヒットマンとして送られる事になったので、本拠地で唐突に超小型核ミサイルをぶっ放した後、マシンガンで一掃という汚れ仕事をやることに…。

その後も、基本的に地下深くの秘密基地に潜伏しているインスティテュートの地上エージェントとして汚れ仕事をやる感じになる。自分の妻を殺した男(途中で対決してぶっ殺している)もインスティテュートに雇われた地上エージェントだったので、皮肉な事にその男の後継者になるのである。

この葛藤に満ちた選択を迫って来る感じは、なかなかドラマティックで良いなと思える。正直、主人公が冒頭の冷凍冬眠から覚めた時点で、個人的にあれ?もしかしてこれはスナッチャー展開では…?みたいな疑念はあったので、息子が自分より年上になっている可能性は予測していたけども、こういう決断を迫られるとまでは思ってもみなかったので良かった。

スナッチャー

ちなみにスナッチャーは、小島秀夫の作品でバイオ兵器によるポストアポカリプト世界が舞台ゲーム。冷凍冬眠から目覚めた記憶喪失の男が主人公で、人間に化ける謎のアンドロイドを巡る事件を捜査するというサイバーパンク物。何十周年記念かなんかの時に、小島秀夫本人が(ソフトもプレイできるゲーム機も現在は入手できまいという判断で)ストーリーの完全ネタバレ解説をしていたので、ゲームはプレイしていないが話だけは知っていた。

主人公が冷凍冬眠されてた所や、人間に化けたアンドロイドと戦う所や、息子が自分より年上になっていて意外な人物だったという辺りは共通している。調べたら、フォールアウト4以前の作品においても露骨にオマージュを捧げている部分があったみたいなので、今作のこれもスナッチャーが元ネタなのは間違いなかろう。

元ネタと言えば、これは個人的な意見ではあるが、フォールアウト4に登場するブライアン・バージルというスーパーミュータントの科学者は、ブレードランナー2049に登場するサッパー・モートンという人造人間の科学者の元ネタになったのではなかろうかと勝手に思っている。どっちも逃げ出して人が寄り付かない辺境で孤独に隠遁している人外の科学者で、なにより見た目がムキムキなゴリラなのにメガネという点が似ているのである。

スナッチャーは露骨にターミネーターとブレードランナーを元ネタにした作品だが、そのスナッチャーからインスピレーションを受けているフォールアウト4が、ブレードランナーの続編であるブレードランナー2049の一部になっているのだとしたら、つくづく創作物というのは過去の参照の上に成立しているのだなと実感してしまう。

同行者

フォールアウト4では、同行者として仲間を一人連れていける。仲間には好感度が存在していて、例えばドラッグや酒を極めると好感度が下がるキャラがいるかと思えば、上がるキャラもいる。ペルソナのコミュみたいな感じで、同行して好感度を上げていると専用のシナリオみたいなのが進行して、キャラによってはクエストが発生したりする。

そんな仲間キャラの中に、研究用ロボットのキュリーというキャラがいるのだが、途中で更なる知的能力向上の為に人間のボディを入手したりという話になる。それはまぁ、無理なのでほぼ人間なアンドロイドのボディを入手するのだが、感情という新たな要素が芽生えてドキドキしちゃって研究どころじゃないよぅ~みたいな展開になる。主人公が女の場合はどうなるのか知らないが、男の場合は口説かれると、今まで研究一筋だった美少女科学者キャラみたいな反応を見せ始める。この辺りは、はっきりいって日本の漫画というかアニメっぽいなと思ったり。まぁ、見た目はアニメキャラじゃなくて、リアル系外国人なんだけども。

ロボット探偵

仲間キャラの中で好きなのが、人造人間探偵のニックというキャラ。こいつは、戦前の警官のニック・バレンタインという人物の記憶をインストールされたモロにロボットな見た目の旧式人造人間なんだけど、インスティテュートに破棄されて、警官としての記憶を元に探偵をしている。

ニックは、ニック・バレンタインという人間の記憶と人造人間としての自分という部分に、アイデンティティ問題を抱えているキャラで、尚且つハードボイルドな探偵モノ路線のシナリオなのが良い。

ニックの話以外にも、この世界には記憶の書き換え技術があるので、記憶をアイデンティティを巡る話が時々出て来るのがSF作品として良いなと思える。例えば、レイルロードでは脱走した人造人間たちがインスティテュートに捕まらない様に、それまでの記憶を消して、新しく記憶を移植して見た目を変えて人間として送り出したりしているんだけども(元になる記憶はトータル・リコールに出て来るみたいな装置で抽出)、禄でも無い人間の人格を移植したせいで、人造人間の略奪者になってしまう奴がいたりとか。

SF的なアイデアを単に表層的に移植するのではなく、問題意識やテーマも一緒に移植して、メインテーマでは無いにせよクエストとして取り込んでいる点は、SFの入り口としても良いのではないかと思える。

イデア的アメリカ世界としてのフォールアウト

また、先に挙げたレイルロードだが、これは明らかにアンダーグラウンド・レイルロードという、現実に存在した黒人奴隷の逃亡の手助けをしていたアメリカの秘密結社の名前に由来している。

略奪者と戦う武装して自治を守る民兵組織であるミニッツメンは、イギリスの支配に対して武装蜂起して独立した歴史を持つアメリカにおいて重要な存在で、現在でも政府の支配を嫌って武装している民兵組織は存在している。

また、このゲームではシステム的に新しい拠点を開拓していく際に、住民にプロビジョナーという役職の人間を設定して拠点同士の物流を繋いでいく必要がある。アイテムとして、郵便配達員の服や帽子が用意されていたりもする。アメリカ開拓史は、実はこうした郵便配達による物流(通販システム)が支えていたと言われていて、ポストマンの存在は特別な意味を持っている。実はまだ見た事無いが、ポストアポカリプト世界を舞台にしたポストマンという映画もある。

フォールアウト4は、アメリカの理想が詰まった50年代と、そこから派生した架空のレトロフューチャーな2070年代を経由して、核戦争で文明が崩壊して、再び開拓史時代からやり直しているという複雑な舞台設定にしているが、これはアメリカらしい文化や歴史の全部入りを目論んだ結果のデザインだろう。アメリカらしさが詰まったイデア的アメリカである。それ故に、架空のアメリカ的存在であるクトゥルフ神話に登場する架空の町も登場しているのだ。

なので、アメリカ文化のカタログとしてもフォールアウトは楽しめた。こういうのって、自国の文化やエンターテイメントに対する造詣や批評性みたいなものがしっかりないと出来ないデザインではなかろうか。架空の世界で遊ぶゲームといえども、作家性だけでなくはっきりと文化を感じとることが出来る。中にはそういうゲームもあるのかもしれないが、あまり日本のゲームでそうした要素に関心した記憶は無い。それがゲームに本当に必要な要素かどうかはともかく、個人的には大好きな要素なのでこうした要素を映画やドラマや小説だけではなくゲームからでも享受できるというのは良い事だと思う。

シナリオ以上に、世界観のデザインが何より素晴らしい作品だなと思う。


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by cemeteryprime | 2018-01-10 10:47 | 作品・感想 | Comments(0)

【ゲーム感想】フォールアウト4

スカイリムSEと一緒に買ったフォールアウト4もちょろっと遊んでみた。

ストーリー

舞台は現実の70年代くらいから分岐した感じのレトロフューチャー感ある未来のアメリカ。そこで核戦争が勃発し、主人公の家族は事前に契約していたボルトテック社の核シェルター居住施設に逃げ込むが、そこは居住施設では無く冷凍冬眠施設だった。

そして、そこから時は流れて200年後。何者かに目覚めさせられた主人公一家だったが、息子が誘拐され抵抗した妻は殺害されてしまう。残された主人公は、息子を取り戻すためシェルターの外に広がる200年後のポストアポカリプトな世界へと乗り込んでいく。

世界観

このゲームには以下の様な要素が登場している。

・核シェルター

・冷凍冬眠

・マッドマックスな略奪者

・人間になりすます人造人間

・レトロなロボット

・パワードスーツ

・光線銃

・小型核グレネード

・ミュータント化した動植物、謎生物

・ミュータント化した人間(ハルクみたいなやつ)

・グール(奇病&発狂でゾンビみたいになった人間)

・メモリーダイブ

・テレポート

サイバーパンクでレトロフューチャーな未来世界で発生した核戦争後の世界が舞台ということで、SFチックな要素がこれでもかというくらいに詰まっている。この世界を、プレイヤーは物資をかき集めて解体して資源に変えて、武器や防具を強化したり、家を建てて人を集めて農業をして拠点を作ったり、ミュータント化した動植物を調理したりといったサバイバルを通じて堪能する訳である。

ゲーム性

武器や魔法でモンハン的に敵をボコるスカイリムと比べると、アクションゲームとしてはアプローチ手段もサンポートシステムもゴチャゴチャと多過ぎて操作性が悪い印象がある。敵はだいたい銃を撃って来るし、クリーチャー系の敵も凄いスピードで突っ込んで来りするしで、そもそも近接格闘アクションで遊べる仕様にはなっておらず、FPSとして遊ぶ感じになっている。


アクションゲームとしてはアレだけども、このゲームの長所は何といっても武器や防具に限らずあらゆる部分でカスタマイズ性が高い点にある。服装からして帽子、メガネ、マスク、胴アーマー、右腕アーマー、左腕アーマー、右脚アーマー、左脚アーマー、インナーと別れている。銃器にしても、機関部と銃身とグリップとマガジンと照準器と付属オプション(サプレッサーやら銃剣やら)に別れていて、種類によってはパーツの組み換えでハンドガンをライフルに改造出来たりもする。

そんな感じなので、戦闘アクションを楽しむゲームというよりは、ガジェットを弄りまくってカスタマイズを楽しむというゲームといった印象である。アクション部分の難易度は低く、ボタンをポチポチやるだけで部位狙撃が出来るし、鍵開けアクションも心なしかスカイリムよりは緩い。

カスタマイズ性に溢れている分、アイテム数も尋常では無いが、スカイリムとちがってクズアイテムも解体して素材にするという使い道があるのが凄く良い。あと拠点建設可能エリアに関しては、周辺のオブジェクトも全部解体して素材に出来たりする。勿論、建てた家とか塀とかも解体して素材に出来る。

RPGとして

スカイリムは能力値が魔力、筋力、スタミナの3種類だけだったが、フォールアウトの場合は筋力、感覚、体力、魅力、知力、運動神経、幸運といった感じで7つもある(海外製のTRPGでよくみる感じ)。ステータスの種類が多いということは、やれることの幅も多いという話だ。好感度システムなんかがあったり、イベント進行の選択肢で交渉技能の高さが活かされる場面もちょくちょく目にする。

またスカイリムとの比較でいうと、技能成長の仕方も違っている。スカイリムはやってればその技能のレべルが上昇して、その技能固有のスキルが習得できる感じだった。例えば鍵開け技能で言えば、鍵開けをやっていれば失敗しようが成功しようが鍵開け技能固有の経験値が上昇していき、固有スキル(特定の難易度の鍵開けが更に簡単になる等)がアンロックされて取得できるようになる感じ。

フォールアウトの場合は経験値は共通で各技能はそれぞれアンロックしなきゃ伸びない仕様になっている。なので、先にレベルを上げてアンロックしなければ、そもそも高難易度の鍵開けに挑戦すらできない様になっている。スカイリムではプレイヤー自身の技能で何とかなった部分がロックされているのである。

これは、RPGという意味ではより正しい仕様であるとも言える。ゲームプレイの技量を上げるというよりは、純粋にどういう方向性でキャラを育てたいかの選択が必要になるのだ。結果として、ロールプレイングが必要になるのである。

選択肢が多過ぎたり(高い選択自由度)、選択が必須であったりすることによって、プレイヤーに具体的にロールプレイングを強いていく感じのデザインは、RPGの在り方として面白いなと思う。

こうした自由度の高い海外製RPGが苦手だという層もいるが、用意されたストーリーを消費しつつ行間を補完したりするだけでは、厳密にはストーリー性のあるゲームではあっても、ロールプレイングゲーム(そのキャラクターらしい選択をしてストーリーを作っていくゲーム)では無いので、そうした部分にRPGというゲームジャンルの捉え方の差が出ているのでは無かろうかとか思った。


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by cemeteryprime | 2017-12-19 23:01 | 作品・感想 | Comments(0)

【ゲーム感想】スカイリムSE

先週のSteamのオータムセールのタイミングでスカイリムSE(リマスター版のやつ)を買ってみた。アメリカ製のRPGらしいRPG(TRPG的な意味で)を、TRPG大好きおじさんとして一回遊んでみるかというくらいのつもりで買ったのだが、めちゃくちゃ面白くて、ひたすらこれで遊んでしまっている。

スカイリムというゲーム自体は最早6年くらい前のゲーム。スカイリムSEはそのHDリマスター版として去年発売されたものらしい。なので画質とかは問題無いし、追加DLCとかもオールインになっているので、今更買うのも悪くは無かった感じ。個人的にあくまでリマスター版だからか、そこまで高スペックのグラボが要求されずに、今使っているPCでも特に画質を落とさずサクサク遊べるのが良かった。

とりあえず海外のオープンワールド系アクションRPGを遊ぶのは初めてでは無いが、王道のファンタジー系RPGな内容と、圧倒的なボリュームに感動している。ついでに、再来週に発売されるD&D5(日本語版)の購買意欲も更に高まった。

ストーリー

舞台はスカイリムという北ヨーロッパっぽい国。スカイリムはローマ帝国っぽい巨大帝国が支配する領土の1つで、帝国に自治を認められたノルド人(ノルマン&ケルトみたいな雰囲気のスカイリムの現地人)の首長が各地方をそれぞれ治めている。

そのノルド人の間ではノルド至上主義的な民族独立の機運が溜まって来ていて、少し前にストームクロークという勢力が反乱を起こして、現在スカイリムは内戦状態にある。

そんな動乱の時代に、最早伝説と化していた存在のドラゴンが何百年ぶりかに出現し、スカイリムの各地を襲う。そして、この歴史が変わるタイミングに、ドラゴンと同時にふらりとスカイリムに現れたのが主人公という訳だ。

単純に人間VS魔王軍みたいな話では無く、帝国VS反乱軍という人間同士の動乱なので、ノルド人の中でも、帝国支持者とストームクローク支持者に別れていたりするのが面白い。更に掘り下げていくと、状況は複雑でストームクロークの背後には密かに帝国の力を削ごうとする外国の陰謀もチラついていたりする。それ以外にも、混乱に乗じて色んな勢力が出現したり、陰謀を巡らせたりする。

ちなみに主人公はドラゴンボーンという、倒したドラゴンの魂を吸収できる伝説のドラゴンスレイヤーの能力を持っている。ドラゴンの出現自体が何百年ぶりなので、もちろん主人公もそんな能力の存在には初めて気付く。

なので主人公はドラゴンボーンという伝説の勇者(かもしれない)的な立ち位置でスカイリムに関わっていくことになる。突然のドラゴン出現の謎や、主人公の能力、そしてこのタイミングに主人公がスカイリムを訪れた運命についてを、探っていくというのがメインシナリオの1つになっている。

ゲーム性

安直な表現をするなら、オープンワールドのファンタジー系RPGをモンスターハンターでやっている感じ。ドラゴンに襲われたり、鉱石を掘っている時なんかは特にモンハン感がある。

ただ、基本的にはモンハンと違って襲って来る敵は熊とか狼とかサーベルタイガーみたいな哺乳類だし(デカい蜘蛛とか、ギザミみたいな巨大甲殻類もいるが)、メインの敵は何といっても人間も含めた人型種族なのである。

あとモンハンとの違いで言うと、満腹度とか寒さとか刀の切れ味みたいな概念は無い。その代わりに色んな魔法を使えたり(道案内魔法だとか、鉄を金に変える魔法なんかも)、エンチャントされたアイテムがあったりする。

また、レベルアップの概念があるのでアクションゲームとしては、モンハンと違って難しく無い。技能毎に熟練度とスキルツリーがあって、レベルアップでスキルを取得していくと、自然と強くなりアクションゲームとしては簡単になっていく。例えば弓術でいうと、弓を引く時間が短縮されたり、焦点ズームが出来る様になったり、ズーム中にスローモーションが出来る様になったり、威力上昇ボーナスがついたり、クリティカル率が上昇したりとそんな感じ。

一応、敵味方のダメージ率を調節する形でアクションゲームとしての難易度を選べる形にはなっているが、あくまでアクションゲームの部分はシミュレーションゲームの一部というかおまけ要素なんだろう。なので、歴戦の勇者なのにプレイヤーのゲーム技量が拙いせいで、歴戦の勇者っぽいロールプレイが出来ないという事は無い様になっている。スキルの上昇で、自然と強キャラのロールが出来る仕様なのである。

ちなみにゲーム難易度を上げたいなら、選択肢の多いゲームなので、武器強化やエンチャントを利用しないだとか、防具を付けないだとか、魔法を使わないだとか、従者(くそ強い)をつけないだとかの縛りプレイをすれば幾らでも調節はできそうではある。

RPGとして

ストーリーは取捨選択可能で分岐もあるメインとなるシナリオが数本に、各地方の町やダンジョンを舞台にしたシナリオと細かいクエストが沢山用意されていて、更にランダム発生的なイベントもある。

いうなれば、時間無制限で食べ放題のシナリオのバイキングといった感じ。この世界を舞台にした考え付く限りのシナリオを用意しておいたので、食い尽くせるもんなら、食い尽くしてみろやというスタイルだ。

もちろん、バイキングなので好きなものだけ食べるのも良いし、1時間で買えるのもよし、延々と居座って食べ続けるのもよしである。逆に食べつくすというのは不可能に近い印象がある。

コース料理にすることで、プレイ時間を引き延ばすJRPGとは全く異なる思想だなと感じる。コース料理だと、面白くない展開が続くと苦痛だが、これなら好きなものだけ食えるのである。

またシナリオ以外でも、ゲーム内書籍が読めたり、NPCが語る伝承や、遺跡なんかを通じて膨大な背景ストーリーが楽しめる仕様になっている所なんかは割と恐ろしい。

遊びつくせないほど膨大なストーリーと選択肢を盛り込む事で、自由にストーリー生成ができないというコンピューターRPGの限界を物量で突破したこういうストロングスタイルは正直凄い。TRPGが創作の自由度を楽しめるのに対して、このスタイルでは消費の自由度が楽しめる。

結果的にロールプレイの自由度も確保されているというか、ロールプレイング(何を食べるか)の軸が無ければ、選択肢が多過ぎてすぐに飽食してしまうのである。なるほど、確かにこれはロールプレイング・ゲームだ。

とにかく面白いゲームなので、一度プレイして損は無いはずだ。クリスマスセールにでも買ってみて欲しい。


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by cemeteryprime | 2017-12-09 11:48 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】ジャスティスリーグ

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ストーリー…?ドラマ…?正義の在り方…?ヒーローとは…?そんな下らねーモンより、やべぇースーパーマンを観せてやるよ…。

そんなザック・スナイダー監督が贈る、DCエクステンデッド・ユニバースのスーパーマン映画第3弾!それが映画『ジャスティス・リーグ』である!

映画の感想としては…中々面白かった!というのが正直な所だ。といっても、第3弾ということもあって、ザックがやりたいことがようやく明確に見えてきたという要素と、ジョス・ウェドン(アベンジャーズの監督)によるテコ入れがあってそれなりに観れる映画になっていたからという要素が大きいんだろうけども。

以下、完全にネタバレ含みます!

思うにザックのDC映画がコケた理由は、みんなは当然の様にこうしたヒーロー映画にストーリーだとか、ドラマだとか、楽しさだとか、マニアの場合は正義のあり方とか、ヒーロー像だとかを求めたのに対して、ザックは単にスーパーマンのヤバみを描こうとしたというズレが大きかったのでは無かろうか。まぁ、誰もスーパーマンにそんなものを求めてなかったので確実にザックが悪いんだけども。

ザック・スナイダーの中ではパワーは尊い。パワーこそ正義。神はパワーである…みたいな公式が成立しているのでは無かろうか。だからこそ、ザックの中ではスーパーマンは尊くて、正義で、神なのであり、そうしたヤバさを映画で描こうとしてきたと思われるのだ。どちらかと言えばそれはヒーロー的な格好良さというよりは、怪獣的なクールさでもある。

今作では、新たにアクアマン、フラッシュ、サイボーグといった超人メンバーが加入してくる。それ故に、相対的にスーパーマンのヤバさが更に際立つという内容になっている。ちなみに、今作で描かれるスーパーマンのヤバさはこんな感じだ。


ヤバいポイントその1

死んだのに蘇る。

ヤバいポイントその2

高速が売りのフラッシュと大差ないレベルに高速で動ける。

ヤバいポイントその3

ジャスティス・リーグの面々が苦戦し、アマゾンとアトランティスの軍勢も余裕で蹴散らした強敵宇宙人を単体で軽くボコれる。



…う~ん、ヤバすぎぃ~!!


フラッシュが超加速中してる最中に、スーパーマンが同じ速度の世界に侵入してくるシーンは、完全にジョジョ第3部のディオVS承太郎という感じで、最高にゾワッとした。承太郎が侵入してくるんじゃなくて、圧倒的強者のディオが侵入してくる構図なので尚更ヤバさしかなくて良かったです。

ただ、今作だけ観て面白いのか?というと、単体映画としてはやっぱり微妙な気がするので、ヤバすぎるスーパーマン三部作というコンセプトを理解しつつ全部観るのが正しい気はする。

ただ前作を観ないと内容が判らないとかいうと、観ても分からん所は分からない、相変わらずDCファン以外を余裕で置いてけぼりにする内容なので、その辺は逆に気にしなくても良いとは思う。


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by cemeteryprime | 2017-11-24 21:51 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】イット

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イット観て来た。興行収入的には成功しているらしいし、前評判も良かったので割と期待していたのだが、実際の所はう~ん…という感じ。

やっぱりどうしても、2回目の実写化という事があって先のTV映画版(個人的に大好きな作品)と比較してしまうというのもあるのだが、それ以上にホラーとしてもダークファンタジーとしても、正直どうなのそれ?という所が多かった。

大雑把なあらすじ

ある雨の日、ビルの弟のジョージ―が排水溝に嵌って失踪する。(本当は、排水溝から出てきたピエロの化け物に喰われて死亡。)まだどこかで弟は生きているのでは?と諦められないビルは弟を探しに下水道を調べたがるが、さっさと諦めて前に進めと親父に怒られる。

その頃、やたらと子供たちの前にピエロのお化けが出没する。ピエロのお化けは、色んな悪夢を伴って出没するのだが大人たちには見えていない様子。ジョージ―もピエロのお化けと一緒に出没する。そして同時並行的に病的ないじめっこと対立し、それが切っ掛けではぐれ者の子供たちが合流して仲間になる。

その後、ジョージ―を探しに行きたいビルが、危険を省みずにピエロの巣穴へ潜ろうとして返り討ちにされ怪我人が出たりして、険悪なムードになったりするも、最終的に仲間の一人ベバリー(唯一の女の子)がペニーワイズに拉致されて失踪したことで結束してペニーワイズの巣穴へ向かう事を決意する。

結局、ビルはやっぱりとっくに死んでいたが、ベバリーは無事救出される。ついでにユダヤ人の少年がペニーワイズに顔を齧られたりする。怒った少年たちはペニーワイズをその辺にあった鈍器でタコ殴りにしてボコボコにする。ペニーワイズは怖がらせようとするが、怒りが恐怖を上回ったのであった。ボコられたペニーワイズは更に深い穴へと逃亡する。

ジョージ―の死に関するあれこれ

まず、冒頭のジョージ―が襲われる場面から駄目で、思いっきりペニーワイズが排水溝から出てきて、牙だらけの口でジョージ―の腕に噛みついてを食いちぎるシーンを普通に見せちゃっている。怪獣映画じゃないんだし、怪獣映画でも普通モンスターの姿を冒頭からハッキリとは見せないだろう。こういうノリを、グロテスクで最高!とか言ってる感想を見かけるが、どっちかというと露骨で最低というべきだろう。

一方、旧TV映画版の場合は、腕を引っ張られたジョージ―にキバを剥き出しに迫るペニーワイズのドアップが映し出されるだけで、恐らく腕を食いちぎられて死んだ事は暗示されるだけに留まっている。というのも、ジョージ―は本当はペニーワイズに殺されたんだけど、表面的には雨の日に排水溝に腕を突っ込んじゃったせいで、腕が巻き込まれて引きちぎれたという事故死だからだ。なのでちゃんとお葬式のシーンがあって、ビルもジョージ―がまだ生きているみたいな馬鹿な望みは持っていない。

更に旧版ではビルはお兄ちゃん大好きボーイなジョージ―に対してちょっとウザく感じて邪見に扱ってしまったという描写もある。1人で遊んでこいよと突き放すんだけど、後からちょっと後悔して優しく接して心配しながら送り出すビルの様子が描かれている。この下りがあるからビルは、1人で遊びに行かせたジョージ―が事故死してしまった事に余計に罪悪感を感じて苦しむのである。

一方、今作だとビルは単に風邪をひいているので雨の中外で船遊びするのにはついていけないというスタンスである。なんなら母親も在宅している。基本的に弟を溺愛する兄貴で、だからこそいつまでも弟を探し続ける話に繋がるのだが、そんな兄貴いるか?その割には、ジョージ―は船を無くしたらお兄ちゃんに殺されちゃうとか劇中で連呼していて、そのせいでペニーワイズの餌食になるし。そんな弟を溺愛してる兄ちゃんが、新聞紙で作った船を無くしたくらいで怒るか?溺愛し過ぎてヤンデレ兄貴だったとでも言うのだろうか。

まぁ、ジョージ―の「殺されちゃう~」のセリフは多分、その後にペニーワイズに殺される事の前フリでしかないんだろうけど、ただこうしたキャラクター描写がすげー雑なのは、その後も全体を通して同じ。単にその場のインパクトを優先した演出が先行して、心情とかは二の次である。ホラーというテーマ性から考えれば、ビルの弟に対する罪悪感が絡む旧版の演出の方が秀逸なのは言うまでも無かろう。

ペニーワイズの違い

ペニーワイズに関しては、明らかに旧版のティム・カリー版の方が優れているというのは、これは紛れもない事実だろう。ティム・カリー版のペニーワイズは、ジャック・ニコルソンのジョーカーみたいなもので、俳優の個性的な顔面力から来る独特の圧力と相まって唯一無二のキャラクターと化してしまっている。ちょいと不気味な雰囲気がある程度のイケメンのビル・スカルスガルドでは真似は出来まい。ただ、そうした演者力を差し引いても今作のペニーワイズはイマイチである。

今作のペニーワイズの一番駄目な所は単なるピエロのお化けになっている所だ。今でこそ、ピエロ恐怖症という言葉がメジャーになっているが(それも旧版でのティム・カリー版ペニーワイズの影響がデカい)、そもそもピエロが怖いのは単にピエロの恰好が不気味だからではない。

ピエロの怖さの本質は、陽気で楽しい人間のフリをした何かである所にある。表面的にはニコニコと笑っておどけて馬鹿な行動を取るけれど、それは演技であって本当は笑っていないし馬鹿でも無いし、メイクの下には誰がいるのか分からないという事をある程度大きくなった子供たちであれば気付くのである。

ペニーワイズの元ネタである殺人鬼のジョン・ゲイシーだって、別に子供を怖がらせる為にピエロの恰好をしていたのではない。パーティーなどで子供を楽しませる為にピエロの恰好をしていたのである。しかし、ジョン・ゲイシーの場合、間抜けなピエロの仮装の下には少年をレイプして殺す連続殺人鬼が潜んでいた。

可愛いキグルミが殺人鬼的に襲い掛かって来るみたいなキャラクターもこうした恐怖に基づいたモンスターだと言える。中に凶悪な人間が入っているかも知れないし、何ならペニーワイズの様に人間ですらないかもしれないのだ。だから、旧版のペニーワイズは、人間に化けたキツネやタヌキがついうっかり尻尾を出してしまう感じで、牙とか鉤爪だとかの怪物としての一部をポロリしてしまうのだ。ペニーワイズは、人間のフリをした化け物だから怖いのである。

旧版のペニーワイズが、造形的に如何にもアメリカンな陽気でずんぐりとしたカラフルな衣装のおじさんクラウンだったのに対して、今作のペニーワイズは、陰気でスラッとした青年でビクトリア風のまるで幽霊みたいな恰好をしている。明らかにピエロらしくないピエロで、怖がらせる為のピエロといういで立ちである。

怖がらせる為の如何にもキラークラウンで御座いますみたいなピエロキャラは、旧作のペニーワイズのインパクトから派生したピエロ恐怖症を前提としたフォロワーだと言える。ジョーカーのイメージも混ざっているのかもしれない。これならまだマクドナルドのドナルドの方が、造形的にアメリカンで人懐っこそうな分は良かったのでは無かろうか。

加えて、演技的にも今作のペニーワイズは出て来る度に毎回全力で子供たちを怖がらせようと必死な感じだ。ジョージ―を襲う際もどこか必至な感じで、基本的にあまり余裕やおふざけの匂いは感じ無い。ヒャハハハハ!という三流悪党がよくやる如何にも私は狂ってますみたいな笑い方もマイナスポイントである。

イットという作品のキモ

イットという作品の良さを端的に説明するには、明らかにイットの影響を色濃く受けている有名な2つの漫画を挙げるのが手っ取り早いだろう。『20世紀少年』と『ジョジョの奇妙な冒険:第4部』である。

20世紀少年』は、現代で出現したモンスターを倒す鍵が子供時代にあるという話で、古き良き懐かしい子供時代を思い出しながら、当時の仲間たちが再結集して戦うというプロットになっている。

イットも今作では子供時代編だけを切り取ってまとめた映画になっているが、原作は現代と子供時代を交互に描きながら、子供時代に倒しきれなかった怪物が27年後に復活してしまい、中年になった主人公たちがかつての仲間と集合して不自然に風化してしまった当時の記憶を呼び戻しながら、故郷へ戻って怪物を倒す話になっている。

古き良き最高の少年時代のノスタルジーに浸りつつ、中年が同窓会をしてあの頃の気持ちを取り戻しつつ、再び戦いに挑む。これがイットの大きな魅力の一つだ。

『ジョジョの奇妙な冒険:第4部』は、杜王町という街を主人公にした作品で、統計的に明らかに行方不明者や事件が多い町という設定はイットのデリーそのものである。(ついでに最初に登場するアクアネックレスは、下水溝から顔を出すペニーワイズ構図をやっていたりする。)

町で起こる不可解な事件の影には、スタンド能力という超能力が関係していて、最終的にスタンド能力を持った少年たち(高校生でオッサンも混じっているが)が集まって、町で人知れず人間を餌食にしていた怪物を見つけ出して倒すという話になっている。

町を舞台にした作品の魅力は、何といってもキャラクターたちの生活がしっかり描かれる点だろう。生活圏内での冒険という点が第4部特有の魅力になっているのは間違いない。自分たちの住む町だからこそ、モンスターを見過ごせないのだ。

自分たちが住む町が舞台で、自分たちだけが気付いたモンスターに立ち向かうという点では、今回のイット製作の原動力にもなったであろうストレンジャーシングスも同じだ。

こうした要素を踏まえて、今作のイットに一番足りなかったのは、やはり最高の少年時代感では無いだろうか。今作は怖い要素を露骨に前面に出し過ぎているせいで、糞みたいな町と禄でも無い少年時代が強調され過ぎている様に思う。

主人公達がみんなで楽しそうに遊ぶシーンは、採石場で水泳するシーンくらいだ。その上、その場面でも下着で泳ぐ同年代の女の子のエロスに性的に興奮みたいな子供たちの友情からは若干外れた生々しい要素が投入されていて、微妙にズレている感がある。

旧版の場合は、みんなでダムを作って遊ぶという共同作業が切っ掛けで少年少女たちが仲間になる様子だとか、みんなで映画を観たりだとか、明らかに楽しいデリーでの子供時代の1ページが描かれし、作中でも最高の夏の思い出だったと語られる。確かにデリーは糞みたいな町なのだが、作品のキモとして最高にノスタルジックな少年時代は描かねばならないのである。だからこそ、それこそジョジョ4部の様に、黄金の精神でペニーワイズに立ち向かう場面が成立するのである。

今作の場合は、みんなで不良に立ち向かう場面も、暴力的な臭いを強調し過ぎていて、一致団結して不良を撃退した爽やかな勝利の思い出というよりは、血生臭い闘争の思い出にしかなっていなかったりする。そのせいで、ペニーワイズの撃退も、おやじ狩りみたいにペニーワイズを適当な鈍器でボコボコにして倒す暴力的なモノになっている。

旧作の場合は明確に、子供たちは恐怖を払拭する信じる力(言ってみれば黄金の精神)でペニーワイズを撃退する。パチンコで銀の弾丸を打ち込んだり、喘息の薬(プラシーボの偽薬)だったり、吃音を強制する為の呪文が、ペニーワイズにダメージを与えるのである。だからこそ、子供たちにしか倒せないモンスターとしてペニーワイズが最高なのだ。

でも今作の場合は、暴力が過剰過ぎて、立ち向かう勇気で倒したというよりも、恐怖から過剰に暴力をふるった光景にしか見えないので、なんじゃそりゃとしか言いようが無い。子供たちにしか見えなくて、子供たちだからこそ倒せるという部分が一切無視されているのだ。

もしかして元は単体作品だった?

あと改めて旧版を観返していて気付いたのだが、今作はどうも大人編を作る事を考慮せずに作った節が強い。というのも、子供たちのキャラクター描写に混乱が見られるからだ。

旧版の場合は、子供たちが後にどういう大人に成長したかも平行して描かれる関係上、はっきりと子供時代からそうした要素の予兆というか素質みたいなものも分かりやすく描かれていた。その結果、キャラ立ちもはっきりしていたのだが、今作ではそれが無い。

例えば旧作だとビルは後に作家になるので、物語が好きで、仲間たちにストーリーを披露したりするシーンが。吃音を治す為に文章のフレーズを呪文の様に唱えるのも、作家というキャラに関係していると言えばしている。それに、想像力が豊かなキャラだったからこそ、モンスターを倒す為に立ち上がらなければいけないと仲間を率先するのである。今作では、そうした作家になる素養を示す場面は無く、下水道モデルを作ったりだとか、町の下水道の地図を調べたりだとか、どっちかというと建築家にでもなりそうな素養を見せる。

ちなみに、後に建築家になるのはおデブのベンである。旧作ではベンはダム作りで活躍する。仲間に誘われたのも、ダム作りの知識がったからだ。今作ではそもそもダム作りのシーンは無いので、単に勉強家キャラになっている。そのせいか、町の歴史なんかも調べていたりする。しかし、実は町の歴史に詳しいのは、原作だと黒人のマイクなのである。

マイクは学校の課題で町の歴史を調べていて、親の写真趣味の影響で町の古い写真を持っていたりする。そうした素養があって、後に図書館司書になって、1人町に残って町の歴史を見守り続けるのだが、今作では畜産農家の子供になっている。

といった感じで、中年篇での職業とかキャラクター性をあまり考慮していない改変が入っているのである。多分、元々は子供編で完結するつもりだったんじゃないのかなこれ。第二部は大丈夫なのだろうか…?

総論

端的に言うと、怖がらせようとし過ぎで、安直な恐怖と暴力に頼り過ぎな印象が強い。やっぱりホラーっていうのは、恐怖以外の部分が上手く描けていて初めて恐怖が光るというモノであって、怖がらせる事に徹すれば面白くなるというモノでもないなと再確認させられた。

原作者のスティーブン・キングには、スタンド・バイ・ミーという作品がある(ちなみにスタンド能力のスタンドはここから来ている。ジョジョは地味にキングの影響が大きい)。スタンド・バイ・ミーはホラーでは無く、純粋に少年時代の冒険を描いたノスタルジーを煽りまくるタイプの名作である。イットはホラー版のスタンド・バイ・ミーと呼ばれる事も多い。ノスタルジックな少年時代を描くだけでも最高だけど、恐怖とモンスターをスパイスにすることで余計にコントラストが利いて最高になっているという作品である。そういう意味でも、今作のバランスはあまり原作の魅力を理解していないと感じる。

正直、ストレンジャーシングスがヒットしたし、80年代を舞台にしてイット作るか!みたいなノリで作ったんじゃないのか?と思える。ストレンジャーシングスに出演していたマイク役の子供もメインキャストとして出てるんだけど、後にコメディアンになる無鉄砲で口が悪くて悪態ばっかりついてるクソガキ役で本人のキャラと全然会ってなさ過ぎで、キャスティングが全然上手くないので、本当に強引に便乗した様にしか思えないのだ。

スタイリッシュで如何にもヤバそうなペニーワイズを出したり、暴力とかグロとかの過激な表現を多めに盛り込んでR-15にしたりと、マーケティング要素的なキャッチーさは十分なんだけど、作品としては先の様にバランスが悪くてイマイチという。どう考えても大人も楽しめる子供向け夏休みホラーに最適な題材なのに、R-15にした上に今頃公開してんじゃねーぞと言いたい。


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by cemeteryprime | 2017-11-10 23:27 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】スーパー戦隊シリーズ

ネットフリックスで未見だったスーパー戦隊シリーズを幾つかまとめて観た。面白さのランキングはこんな感じ。

★★★★★(おすすめ)

タイムレンジャー(完走)

★★★★(面白い)

マジレンジャー(完走)

★★★(平凡)

ハリケンジャー(完走)、ガオレンジャー(完走)

★★(微妙)

ボウケンジャー(中断)、ゴセイジャー(中断)

未来戦隊タイムレンジャー

タイムレンジャーの特徴はなんといってもドラマ面の面白さである。内容が明らかに大人向けに作られている。ドラマ面が面白いと特撮が古かろうと作品の面白さには全く影響がないので、今さら観るのもなと思っている人は迷わず観て損は無い。

ストーリーは、浅見竜也という青年が30世紀からやってきたタイムレンジャーと出会ってから別れるまでの話で、タイムレンジャーとして30世紀からやって来た犯罪者達と戦いながら、自分の未来は自分で切り開くという問題に向き合う話になっている。

主人公の浅見竜也は、大企業の御曹司で未来が半ば決定されている人物である。しかし、彼は幼い頃から御曹司として生まれで特別扱いされる事に反発し、自分の力だけで何かを成し遂げたいという強い意志を持っており、家を出ようとしている。空手を修得しているのも、家柄では無く自分自身の力を求めた結果だ。彼に家を継がせようとする父親に反発しているが、父親もまた若い頃に家から独立しようとしたが挫折した人物でもある。

この主人公の父親がまたストーリー上大きな役割を果たしているのも特徴的で、タイムレンジャーとは別の民間の警備隊(CGC)を発足させたりする。ヒーローとは別の組織が独自に怪人と戦うという設定は、同時期の仮面ライダークウガで見られたモチーフだ。

こうした、父親と息子の葛藤、チームのドラマに加えて、更にタイムレンジャーでは怪人組織におけるドラマも豊かなのが魅力である。

敵組織は30世紀の未来から刑務所施設ごと20世紀に脱獄してきたギャング団(基本的には宇宙人)という設定で、世界征服や破壊には興味が無く単に金儲けにしか興味が無いという点が特徴的だ。

なので、どこか人間臭い(宇宙人だけど)魅力を持っている。中でもドン・ドルネロという敵組織のボスのキャラクター性は素晴らしい。マフィアのドンならではの非情さと同時に、妙に身内に対しては人情深かったりする所が魅力的で、その両者の葛藤に悩む場面も多い。大切な友人だがファミリーの為に手を下さなくてはいけなかったり、逆に情けをかけたせいで痛い目を見たりという哀愁が素敵だ。是非観て欲しい。

魔法戦隊マジレンジャー

単純にドラマ的な面白さで言えば、タイムレンジャーが勝っているが、マジレンジャーの魅力は、何といってもドラマ的な面白さと子供向け作品としてのバランスが上手く両立している所だろう。

マジレンジャーの特徴はなんといってもメンバーが5人の兄弟姉妹という設定で、家族である点だろう。基本的にチームの活躍を描くドラマの場合、メンバーは疑似家族的な構成になり、疑似的に家族のドラマが描かれるのが基本である。その点、マジレンジャーは本当に家族なので、家族としてのドラマがストレートに描かれる。家族以上に、しがらみだらけの間柄は無い。近しいからこそ鬱陶しかったり、家族だからこそ見捨てられなかったりと、身近でドラマティックな題材が詰まっている。

また、家族ではあるものの、全員が兄弟姉妹の子供たちで構成されている点も秀逸で、だからこそお互いに足りない所を補い合い、きちんと成長していく姿も描かれる。子供向け作品であり、チームのドラマを描くという点ではこれ以上無い設定ではなかろうか。

ちなみにマジレンジャーのもう一つのテーマは勇気。最近だと獣電戦隊キョウリュウジャーがそうだったけど、勇気をテーマにした作品は、ストレートにポジティブなメッセージが込められていて良い。




あと、幾つか観た結論として、面白い作品は何だかんだで第1話の時点で面白いことが分かった。1話目の時点でドラマ的な面白さに欠けている場合、徐々に面白くなっていく事はまず無いという。


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by cemeteryprime | 2017-11-05 23:38 | 作品・感想 | Comments(0)

【ゲーム感想】ポケットモンスタームーン

もうそろそろポケモンウルトラサン・ウルトラムーンが発売されるよというタイミングで、クリアすることなく放置していたポケモンムーンを再びプレイしてみた。

放置の理由

去年の11月くらいに買ってちょっとだけプレイしたいたのだが、ポケモンというよりキャラクタードラマを前面に出しまくったストーリー色の強い本編シナリオにいまいち馴染めずあえなく放置となっていた。ちょうど、ウルトラビーストとの初遭遇あたり。

再度プレイしてみた所、シナリオも終盤ということもあってか、登場キャラクターがメインキャラのみに限定されてきていて、割と楽しめた。…というか、終わってみたら、シナリオの読後感が恋愛ゲームのそれに近い感じで、むしろ良かった。この辺りは後で改めて後述しよう。

なので、序盤のノリに馴染めずに投げ出したくなった人も、何とか最後まで踏ん張れば、あれ?むしろ良かったかもと思えるという事だけは教えておこう。

ゲームシナリオの特徴

今作のシナリオはかなり特殊だ。この例えで分かるかどうかは不明だが、主人公の役割がマッドマックス:怒りのデスロードにおけるマックスに近いのだ。主人公自身も成長するんだけど、どっちかというとストーリー上の役割は、主人公というより、主人公の導き手なのである。

前半部をプレイしたのは去年なので、記憶は曖昧だが、ザックリいえばこんな感じの話である。

修行の旅に出かけた主人公は、リーリエという少女にであう。少女は逃亡者で特別なポケモンを保護して、組織から逃げ出して来た。主人公とリーリエは行動を共にし、主人公の冒険に付き添う事で、リーリエは徐々に成長していく。

そして、リーリエは逃げるのを止めて追跡者であり今作のボスである母親へと立ち向かう。しかし、既に神話生物の精神汚染によって闇堕ちしていた母親は、異次元へ。母親を救うために主人公とリーリエは、異世界への扉を開く伝説ポケモンの力を求める…。

みたいな感じで、基本的にはリーリエというメインヒロインの成長の物語なのである。リーリエはひたすら主人公を頼ってリスペクトしてきて、冒険を通じてどんどん感化されていくので、どうしても最後には好感度MAXなヒロインとして成立するのが素晴らしい所である。

RPGにおける主人公の無個性問題とドラマ性の低さ問題に対するポケモンの回答がこれなのだ。そして、最後は成長したヒロインが、主人公の様なポケモントレーナーになることを決意して、旅立っていくのである。出会いと成長と別れ…。なので最後は、しんみりとした、恋愛ゲームの様な読後感があるという訳なのだ。クリア後のエンディングロールも泣かせに来ていて憎い。

新要素に関するあれこれ

今作には、服の購入だとか髪型の変更だとかのキャラクリエイト機能が以前に増して追加されている。シナリオ中、基本的にはこれのせいで常に金欠だった。とりあえず、今のキャラの外見はこれだ!見よ!

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童貞を殺す服。

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ただ個人的な不満点としては、髪型とか髪色とかが

割と実在の人種ベースになっていて、もっとアニメキャラっぽい髪型とか髪色とかがあっても良いんじゃないのかという点。ツインテールすら解禁されるのはクリア後である。一応主人公だってポケモン世界の住人なんだからさぁ!次作で改良して欲しい。

対戦要素に関して

今作で一番の進化は対戦ゲームとして格段に遊びやすくなった点では無かろうか。発売当初は無かった気がするが、今はなんと、QRレンタルチームというシステムが存在している。

これは、QRコードを使って他人のパーティをレンタルするシステムで、要は他人のポケモンで、対戦だとかバトルタワー(今作ではバトルツリー)を遊ぶ事が出来るのである。

QRコードはポケモングローバルリンクにアップロードできる様になっていて、使われているポケモンとかで色んなレンタルパーティを検索できるようになっている。全国大会の優勝者のパーティーだとか、ゲーム実況者のパーティーだとかを使って遊べるのである。

これだとガチな育成が面倒臭くて嫌いという人でも手軽に対戦で遊べるし、育ててみたいキャラとか技構成を実際に使ってみて試遊する事も出来るのである。

ついでに、個体値の厳選だとかその辺も今まで以上に楽になっている。色々テストプレイした上で、育てたくなったら育てるみたいなバランスになっているのが素晴らしい。とりあえずシナリオはクリアできたので、今はレンタルパーティでBPを稼いでいる。久々に新ポケモンの育成もしてみたいところだ。


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by cemeteryprime | 2017-10-15 23:22 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】ルーク・ケイジ

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ネットフリックスのルーク・ケイジを最近また観返した。以前に観た時に特に感想を残していなかったので、改めて感想を書いておこう。

まず最初に言えるのが、ルーク・ケイジは傑作だという事である。正直アイアンフィストとディフェンダーズを続けて観たせいもあって、ネットフリックス版のマーベルドラマは微妙だったのでは?みたいな変な印象の上書きが発生してしまっていたのだが、ルーク・ケイジを観返したことで綺麗に払拭された。

王道のてんこ盛り

改めて観返して気付いたのだが、ヒーローの王道が沢山盛り込まれている。

まず、ルークがヒーローとして戦うことを決意する過程だが、叔父さん的な人物が、ルークが正義を成さなかった怠慢のせいで死んでしまうのである。『大いなる力には大いなる責任が伴う』ことをルークに伝えて叔父さんは死ぬ。これは完全にスパイダーマンである。

また、クライマックスは、ルークに嫉妬して執着する邪悪な異母兄弟である宿敵との肉弾戦だ。ラストが肉弾戦というのは、漢のアクション映画の基本中の基本だ。敵が兄弟的な存在というのも王道的な展開である。更に、このクライマックスの肉弾戦は観衆に囲まれた中で行われるので、更に熱い。

観衆の輪の中での肉弾戦は、猿の惑星:新世紀のクライマックスが記憶に新しい。猿の惑星の場合は、人間に愛されたシーザーと人間に虐待され憎んでいるコバという2匹の猿が観衆の見守る中で殴り合って決着をつける。更に、その前作の猿の惑星:創世記において主人公のシーザーは、悪くないのに刑務所に放り込まれて苦しみ、最終的に脱獄するという話が描かれる。ルーク・ケイジもまた無実の罪で投獄されて、悪い看守にファイトクラブ的な事をやらされた挙句に人体実験の被験者となって超人化して脱獄する。

どちらも虐げられたモノの戦いというテーマが似ているからか、共通点が多い。

あと、ヒーローから一転して犯罪者の汚名を着せられて警察に追われる展開だとか、それでもルーク・ケイジを信じた町の人達に支えられる展開だとかは、ヒーローらしいエピソードとして最高だ。

近所の頼れる男

ルーク・ケイジは、デアデビルの様なマスクの孤独なヒーローでは無く、素顔で活動する町の一住民であり、町の人達に支えられているヒーローであるという点は、ルーク・ケイジの大きな魅力の1つだろう。

ルーク・ケイジの敵の1人は、善人面をして町の人達を食い物にする地元出身の政治家(黒人女性)である。彼女はルークを町の敵に仕立てようとする。町の人々に支持されるヒーローという点ではルーク・ケイジには政治家的要素もあるのかもしれない。まぁ、ルークに政治は出来ないんだけども。

ルーク自体は流れ者だが、舞台であるハーレム地区の住人たちは、殆どの人間が顔見知りで相手の父親や祖父母の名前まで知っていたりする。ルークは、そんな密度の濃い町だからこその、助け合い精神に組み込まれたヒーローなのである。ルークは、ヒーローとして活動する前は町の名物的な散髪屋の親父に雇われて清掃人として働いている。だから、町の人達も、「ルーク・ケイジなら知っている。あの散髪屋で働いていた真面目な兄ちゃんだろ?」という風な形でヒーローでは無い町の住民としてのルークを最初から知っていて、だからこそ支持するのである。

そこには、理念で見ず知らずの人の為に戦うヒーローとはまた違ったヒーロー像がある。近所の頼れる男なのである。

黒人ヒーローである

ルーク・ケイジは黒人ヒーローとしての要素も大きい。マーベルには他にも黒人のヒーローはいる。ウォーマシンやファルコンも黒人だが、彼らは単にアフリカ系というだけで、黒人市民のヒーローという要素は無い。一方のルーク・ケイジは、明確に黒人市民の一人であり、彼らを守るヒーローとして描かれている。

こうした要素は特に警官の描写において分りやすい。別に警官を悪役として描いている訳では無いが、黒人への警官の暴力問題がしっかり描かれている。

フードを被ったルークに職質をかけた警官が、丸腰のルークにビビって背中から発砲するも弾が弾かれて、ぶん殴られて何メートルも吹っ飛ばされてパトカーの車載カメラに激突するシーンがあるが、これは無実の黒人を一方的に射殺している様子がパトカーの車載カメラに残っていてそれが流出したりする映像のへの明確なカウンター表現だろう。また、ルークが指名手配された際に、ハーレム地区の黒人たちがルークとの関係を疑われて一方的に乱暴に逮捕されまくるシーンもある。

また、こうした黒人は悪いことをしてなくても、些細な事で警官に撃たれるという現実があるからこそ、ルーク・ケイジのそこまで珍しくもない防弾の肌を持つというスーパーパワーは、特別な意味を持って来る。ルークは警官に撃たれても死なないのだ。でも、だからこそ警官たちは余計にルークを恐れるというジレンマも描かれている。

ヒーローが求められる社会においては、警官が機能不全で頼りにならない社会であることが多い。バットマンやデアデビルの世界では、警官はマフィアとのズブズブの癒着で犯罪者の手先に近かったりする。でも黒人社会の場合は、警察に汚職が蔓延してなくても、警官に撃たれるという問題があるのだ。

ただ、先にも述べた様にルーク・ケイジでは警官を単に悪として描いている訳でもない。善玉の刑事も仲間にいるし、何より黒人社会における犯罪率の問題もきちんと描いている。彼らの多くは父親が刑務所にいたりして、父親を知らないまま育っている。身近に模範となる大人としての父親がいないという、ハーレム地区の問題は度々嘆かれていて、ルークはそうした模範となる事が求められたリもする。

父親不在の社会

父親がいないというのは、目立たないが実はルーク・ケイジという作品の1つの大きな特徴にもなっている。唯一父親っぽいのが、ルーク・ケイジがヒーローになるきっかけを作って死ぬ散髪屋のおじさんなのだ。

父親がおらず犯罪に走り犯罪の犠牲となる少年たちが描かれ、宿敵一人であるコットンマウスはおばあちゃんに育てられた男だし、ルークの異母兄弟で宿敵のダイアモンドバックも父親に愛されなかった男である。ルーク・ケイジとダイアモンドバックの父親は、徹底して影が薄く、牧師ではあるが浮気でダイアモンドバックという庶子を設けた上で彼を認めず因縁を作った諸悪の根源とも言うべき存在である。それに作中に出て来るタフなキャラは女ばかりで男はたいてい暴力的なチンピラなのである。

獄中の父親

では、父親たちはどこにいるのだろうか。恐らく、犯罪に巻き込まれて死んだか、刑務所にいるのが殆どなのだろう。ルーク・ケイジ自身、冤罪とは言え脱獄囚なので前科モノである。脱獄囚なので、ルーク・ケイジという偽名を名乗っているのだ。

刑務所にいたことがあるという過去がバレることを恐れヒーローを止めようと考えるルークに、仲間がこの地区の住人はみんな家族の誰かしらが刑務所にいたことがあるから、そんな事は気にしないで良いと諭すシーンがあるのが印象的だ。ルーク・ケイジは冤罪ではあるが、刑務所帰りのブラザーなのである。

そんな感じでルーク・ケイジはストーリー的には王道のてんこ盛りだけど、ヒーローとしてはかなり異色のキャラなのである。面白いので、ぜひ観て欲しい。


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by cemeteryprime | 2017-10-03 19:55 | 作品・感想 | Comments(0)

【TRPG感想】メイジ:ジ・アセンション

メイジ:ジ・アセンションという魔術師をロールプレイするTRPGがある。またざっと目を通しただけだが、キャラクター表現の為のシステム部分が面白いので紹介してみる。

性格のアーキタイプ/本性と外面

アーキタイプはキャラクターの性格や行動原理を具体的に表す為のシステムで、30個あるアーキタイプの中から本性と外面をそれぞれ1個ずつ選ぶ。

アーキタイプは、一匹狼だとか陰謀家とか狂信者みたいな感じで名前がついていて、簡単な性格の説明に加えて、それぞれ強みと弱みが分かりやすく設定されている。例えば、一匹狼だと強みは独立独歩の精神で、弱みは思いやりの欠如という感じ。これだけだと単に説明に過ぎないが、面白いのは各アーキタイプにMP的なリソースを回復させる為の独自の方法が設定されている点だ。

一匹狼の場合は、『自力で何か大きなことを達成した時。特にそれが自分の属するグループの活動に貢献した時。』というのが条件になっている。マゾヒストの場合は『これまで経験したことのない方法で自分を極限状態に追いつめ、新たな苦痛の形を知った時。』が条件。

一匹狼キャラの場合は、一匹狼っぽい行動をすることでMPを回復させることが出来る訳である。ロールプレイを支援するシステムとしてなかなか面白い仕組みだ。こういう仕組みがあると、システム的な恩恵があるので、慣れていないプレイヤーでもロールプレイがぶれ難くなるはずだ。


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by cemeteryprime | 2017-09-18 13:27 | 作品・感想 | Comments(0)

【アメコミ感想】アイデンティティ・クライシス

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今更ながらにアイデンティティ・クライシスを購入。滅茶苦茶面白かったので結果的には買って正解だったのだが、購入はちょっと迷ってしまった。というのも、購入前にレビュー等を参考にしようと思ったのだが、ミステリー要素のある作品な事もあって、ネタバレ回避の為に肝心な面白い部分が伏せられているレビューばかりだったからである。

最終的には買ったが、それは小説家が脚本を書いたまとまったシリーズなので、それなりに完成度の高いストーリーだろうという判断だ。判断は正しかった。

でも、まだ購入を迷ってレビューを探している人もいるかもしれない。発売後かなり経っているので、敢えて完全なネタバレと感想を書いておく。

オビの文句

あらゆるヒーローに共通する最大の弱点。それは、家族や友人、愛する者の存在である。故に彼らは正体を隠し、悪と戦い続けて来たのだ。そうすれば、愛する者を守れると信じて。だが、ある殺人事件をきっかけに、その期待は脆くも崩れ去る…。数々のベストセラーで知られる小説家ブラッド・メルツァーが脚本を手掛けた問題作、ついに邦訳!

ちなみに上記が帯の売り文句である。それなりに興味を惹かれる問いかけ。それに、ブラッド・メルツァーという小説家を知っていた人なら購入すること間違いなしである。

あらすじ

事件はスー・ディブニーという女性の殺人事件から始まる。スーはエロンゲイテッドマンというヒーローの奥さんである。エロンゲイテッドマンはJLAの古参メンバーで、正体を世間に公表している人物でもある。二人はおしどり夫婦として知られていて、それ故にスーもJLAのメンバーとの付き合いが長く、名誉メンバーとも言われている。そんなスーがJLAの持つ技術力が流用された厳重なセキュリティが敷かれていた自宅で殺害され、死体は半身を焼かれた無残な姿で発見された。葬式には多くのヒーローが集まった。

侵入方法も不明で焼き殺されたという状況しか分からなかった為、ヒーローたちは、取り合えス炎を操るヴィランや、テレポート能力を持つヴィランをリストアップして容疑者として捜査する。しかし、エロンゲイテッドマンを始めとする一部のJLAメンバーは、何故か標的をドクター・ライトというヴィランに絞って秘密裏に行動を開始する。ドクター・ライトというキャラは、ティーンタイタンズという若者チームの敵キャラとしてよく登場する間抜けな三流ヴィランだった。

ヒーローたちの秘密

エロンゲイテッドマンたちが、ドクター・ライトをこっそりと追いかけた事情には、ある過去の秘密が関係していた。今でこそドクター・ライトは間抜けなヴィランとして認識されているが、当初は極悪非道な犯罪者だった。そしてドクター・ライトは過去にJLAの基地に侵入し、その場に居合わせたエロンゲイテッドマンの妻スーをレイプした事があったのだ。この事件に居合わせた一部にヒーローたちは、ドクター・ライトへの処遇を巡って揉めた。ヒーローの家族に危害を加える人間を放置すれば、家族が狙われ続ける事になる。

最終的にエロンゲイテッドマンは記憶を消した上で、更にロボトミー(脳を弄る)処置が施される事になった。そして、人格が弄られたドクター・ライトは間抜けな三流ヴィランとなったのであった。この明らかに人道的に問題のある処置は、その場に居合わせたメンバーだけの秘密となった。そして、その後もメンバーは自分や仲間の正体や家族の秘密が漏れた際には、ロボトミーをする事は無かったものの、ヴィランの記憶を抹消するという事後処理は毎回していた。彼らは家族を守る為にやれることは全てやっていたのであった。

そうした過去があったので、エロンゲイテッドマン率いる秘密を知る当時のメンバーは、ドクター・ライトが何かのきっかけで記憶を取り戻し、復讐したに違いないと考えたのだった。

この行動が切っ掛けで、秘密は他のJLAメンバーたちの知る所になった。しかし、結局ドクター・ライトは犯人では無かった。

2の事件

そんな中、新たな事件が発生する。被害者はアトムというヒーローの最近離婚した相手のジーン・ローリング。ジーンとアトムの関係は公表されていて、離婚は新聞記事にもなっていた。

ジーンは電話中に襲われ、首を吊るされるが、原子レベルにまで縮める能力を持つアトムは、電話回線を使ったワープ能力で現場に急行し、ジーンは一命を取り留める。ジーンの部屋もまた、スーの部屋と同じく最新式のセキュリティで守られていたはずだった。

ロープで絞殺という犯行手口からスプリットノットというロープが武器のヴィランが新たな容疑者となるが、彼はその時刻、服役中でアリバイが成立していた。

そしてスーパーマンの恋人ロイス・レーンの元にも犯人からと思われる脅迫状が届く。ロイスの夫であるクラーク・ケントの正体がスーパーマンである事は公表されていない情報だった。

第3の事件

ヒーローの家族が襲われる事件が続き、ヒーローたちは不安に怯える家族を安心させる為に、そばにいるしかなかった。三代目ロビンのティム・ドレイクもその一人で、最近父親にロビンである事が発覚していた。ティムはまだ16歳であり、父親はロビンとしての活動を快く思っておらず、事件のせいで余計に神経質になっていた。

しかし、父親なので正義の為に戦おうとするティムを頭ごなしに止める訳にもいかなかった。ティムは事件の早期解決に向けて、父親を遺してパトロールへと出かける。

そんな家に残された父親の元に何者かが拳銃を差し入れる。そこに、キャプテン・ブーメランというヴィランが現れて襲い掛かって来る。ティムの父親はその拳銃でキャプテン・ブーメランを射殺するが、死に際のブーメラン攻撃によって殺害されてしまう。

事件の真相

腑に落ちない点を多く残しながら、一連の事件の犯人はキャプテン・ブーメランの仕業という形に落ち着きかける。しかし、名探偵バットマンの目は誤魔化せなかった。

スー・ディブニーの徹底的な検死の結果、本当の死因は脳梗塞であることが分かった。脳梗塞で死んだことを隠す為に死体は焼かれたのである。さらに、脳の血管を調べるとそこには、ミクロな足跡が残されていた。脳内の血管に侵入可能で、更に電話回線を伝って密室に侵入できる人物…それはアトム以外に考えられなかった。しかし、アトムには動機が無かった。

やがてバットマンは犯人に気付く。アトムの縮小化装置を使用することができ、尚且つ一連の事件を起こして得をする人物。それは…ジーン・ローリングだった。一連の事件によって、ヒーローたちは家族を守る為に、普段は平和を守る為に二の次にしがちだった家族の元へ帰っていたのだ。ジーンは、アトムが助けに現れて命を救った事が切っ掛けで、昔の気持ちが戻って関係が改善され、ヨリを戻していた。

ジーンは殺すつもりはなく、脅かすつもりだけだったと話す。スーの死は事故であり、ティムの父も殺すつもりはなくその為にわざわざ三流ヴィランのキャプテン・ブーメランに襲わせたと。

感想

メインプロットに関して、完全にネタバレをしたが、この作品の場合、こうしたメインプロットを取り巻くキャラクターたちのドラマが重厚で素晴らしいので、是非ともその辺はコミックを買って確認して欲しい。キャプテン・ブーメランにしても、事前に親子のドラマが描かれていて、最後に軽く使い捨てにされて死んでしまったのが凄く悲しいのだ。三流ヴィランにも家族はいるのである。

テーマは、人は愛する人の為ならどんなことでもする。であって、これはエロンゲイテッドマンたちが過去に犯した罪や、犯人であるジーンの動機でもある。アイデンティティ・クライシスは、ヒーローやヒーローたちの身内による愛ゆえの犯罪を描いているのが面白い。だからこそ、色々なキャラクターの家族を巡るドラマが沢山描かれていて素晴らしい作品になっているのである。


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by cemeteryprime | 2017-09-09 22:36 | 作品・感想 | Comments(0)

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