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カテゴリ:作品・感想( 137 )

【映画感想】スパイダーマン・ホームカミング

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スパイダーマン・ホームカミングを観て来ました。取りあえず最高なので、またスパイダーマンの映画かと様子見をしているならさっさと観に行くことをお勧めします。

あらすじ

特殊なクモに噛まれてスーパーパワーを身に付けた15歳の少年、ピーター・パーカーはスパイダーマンと名乗り、近所をパトロールして猫を助けたり、ひったくりを捕まえたりしていた。

そんなピーターだったが、ある日、世界的な大富豪でスーパーヒーローのアイアンマンことトニー・スタークにスカウトされ、キャプテンアメリカ達と対決する。(キャプテンアメリカ/シビルウォー)

トニー・スタークにスカウトされカッコいいコスチュームまでプレゼントされたピーターは、自分がアベンジャーズに正式加入し、世界的なスーパーヒーローの一員になれると勝手に期待して舞い上がってしまう。

そしてピーターは、アベンジャーズのトニー・スタークとコネも出来たし、将来はアベンジャーズの一員として世界を救うスーパーヒーローになるから学校なんてどうでもいいんじゃい!と、部活はやるめるわ、補修はサボるわと、将来はYoutuberになるから勉強なんてしねー!と言い張る中学生の様な状態に…。

しかし、トニー・スタークは、ピーターの才能は見込んだものの、あくまで子供扱い。アベンジャーズなんてヤクザな世界に首を突っ込まずに、ヒーローごっこがしたいなら勝手に近所のパトロールでもしていなさいと放置プレイをかます。

そんな中、ピーターはご近所で何やら普通では無いヤバい事件に遭遇する。何とかトニー・スタークに一人前のヒーローとして認めてもらい、アベンジャーズ加入を目指すピーターは、敢えて1人で危険な敵を追いかけるが…。という話。

今作の特徴

スパイダーマン・ホームカミングの特徴は、なんといってもMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品であるという点です。

独立したスーパーヒーロー映画として作られた過去のスパイダーマン作品と異なり、アイアンマンやキャプテンアメリカといった他のヒーロー超人が既に存在する世界が舞台になっています。それ故に、ヒーローとはどうあるべきかといった要素だとか、ヒーローとしての二重生活だとか、スーパーヒーローとしての孤独だとか、ヒーローと暴力だとか、他のヒーロー映画で散々語られた様な、今更な要素はバッサリとカットされています。

そして、他のMCU作品と差別化する形で、まだティーンエイジャーであるという点が特に強調され作品になっているのが特徴です。

これまでのスパイダーマン映画は独立作品であるという事情から、基本的に1作目の時点で大人への成長が描かれていましたが、今作ではティーンエイジャーという要素が軸になっている為、ハリーポッターほどでは無いにせよ、シリーズを通して緩やかにピーターを成長させていこうというコンセプトが見て取れます。

なので旧作のピーターが子供以上大人未満な悩める思春期の高校生というイメージだったのに対して、今作のピーターは、早く大人になりたいと背伸びをする、どちらかと言えばまだまだ中学生っぽい感じの少年として描写されています。また、悶々とした高校生では無く、背伸びしたがる中学生という感じなので、ちゃんと親友もいるし、クラブ活動の仲間もいるし、特にいじめられっ子という訳でも無いし、明るい学生生活を前面に出した作品になっていて、その辺が旧作と大きくイメージが異なっています。

過去作との違いに関するあれこれ

旧作からのスパイダーマンのファンとして気になる一番の改変は、やはり、ベンおじさんの死亡イベントに関する影が無くなっている点でしょう。

これまでのスパイダーマンでは、スーパーパワーを身に付けたピーターが最初は私利私欲の為にパワーを使用して調子に乗っていた所、罰が当たってベンおじさんが死んでしまい、社会の為にパワーを使う事を決意し、悪と戦うヒーローになるという流れがお約束でした。

こうした展開は、普通はスーパーパワーを手に入れても、自分の生活を犠牲にしながら悪と戦ったりはしないだろう、という当然の疑問へのアンサーとして機能していたと思うのですが、MCU作品である今作の場合は、既にスーツを着てスーパーパワーで悪と戦うヒーローたちがアベンジャーズとして存在し、ある種のスーパースターになっているので、パワーを手に入れた少年がアベンジャーズに憧れてヒーローになろうとするという展開は、特に違和感なく成立できてしまうという事情があります。

また、ティーンエイジャーを主人公にしたヒーローシリーズとして継続していく場合、先のベンおじさんの死の様なあまりにも重すぎるカルマを背負わせると、全体的なトーンが暗くなりすぎるという事情もあり、大きく改変されたのではなかろうかと思います。

スパイダーマンのファンの中には、こうした重たいカルマを背負っていない点や、相手の人生を背負う様な重たい葛藤が作中に無い点が物足りないという人もいるみたいですが、そういった要素は少年を大人に成長させてしまう要素でもあるので、シリーズコンセプト的に敢えて軽めになっているのかなと思います。

トニー・スタークの新しい役割

今作では、ベンおじさんの影が薄れた代わりに、トニー・スタークがピーターのある種、精神的な父親の役割を担っています。

トニーはピーターにとって、憧れの存在であり、彼に認められるために頑張ります。一方、トニーは同じく早くに両親を亡くしたという境遇もあってか、ピーターに過去の自分を重ねており、早く大人になることを強いられた自分の様にはさせまいと、敢えて子供のままでいさせたいという親心を見せます。

トニー・スタークのストーリーは、アイアンマン3部作で基本的に語り終えている感じでしたが、新たにお父さんとしての役割を得たことで、また新たなトニー・スタークのストーリーが展開されるのではないでしょうか。最初のアベンジャーズは一応キャプテンアメリカという事になっていますが、MCU作品としての最初の一人はアイアンマンなので、そのアイアンマンが新しい世代のスパイダーマンの父親役に収まったのは割と象徴的でもあるなと感じさせます。

ヴァルチャーについて

敢えてここまで触れてきていませんでしたが、今作の悪役であるヴァルチャーはかなり魅力的なヴィランでした。

まず、最初のポイントはヴァルチャーがまっとうな犯罪者である点です。旧作スパイダーマンのヴィランは事故的に狂気に囚われてしまったタイプのヴィランばかりでした。しかしヴァルチャーの場合は、ミュータント化やマッド化はしておらず、完全に一人の人間として自分の意思で戦う犯罪者です。それ故にキャラクターとして、ヴィランとしてではなく、人間としても魅力的なのがポイントです。(補足するなら、ハゲタカをイメージさせる空中戦闘も最高でヴィランとしてももちろん魅力的です。)


ヴァルチャーこと、エイドリアン・トゥームスは原作では発明家から犯罪者に転身した性格の悪い糞ジジイでしたが、今作では政府と大企業に仕事を奪われた怒れる地元の中小企業の社長になっています。政府と大企業が結託して仕事を奪うなら、こっちも生活が掛かっているんだから家族と従業員を守る為にやってやる!と従業員を率いて犯罪に走った、ある意味熱いキャラです。

こうした中小企業が仕事を奪われ政府の規制や大企業優遇にブチ切れている状況は、割とアメリカの現状らしく、そうした要素が反映されているみたいです。ちなみに、トゥームスの仕事を奪った大企業はスターク社であり、相変わらずトニー・スタークはアイアンマンとして活躍する一方で、大企業の象徴としてヘイトを稼いでいます。

感想

MCU版スパイダーマンは、ディズニー作品ではなく、これまで通りのソニー作品ということで、前作のアメイジング・スパイダーマンがウンコだったという事もあって、割と不安もあったのですが、観てみたら余裕でめちゃくちゃ面白かったです。

常に孤独がつきまとい、メイおばさんとヒロインくらいしかまともな人間関係が無かった旧作と比べて、少年が周囲の人たちに支えられながら成長していく少年漫画の王道の様な雰囲気のシリーズになりそうなので、3作、4作とできるだけシリーズが続いて欲しい所です。

あと、トニー・スタークとの疑似父息子関係の行方だとか、親友ネッドとの関係がその内彼女が出来たら亀裂が入ったりしないかなとか、新しいメイおばさんは若くて美人なのでそのうち再婚イベントが発生しそうとか、そういうヴィラン以外のドラマ要素に期待できるようになったのはシリーズとして大きな収穫だったんじゃないかなと思います。


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by cemeteryprime | 2017-08-18 01:43 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】ザ・マミー 呪われた砂漠の女王

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ザ・マミー、観て来ました。感想としてはトム・クルーズ映画としては最高だけども…という感じ。


溢れるトム・クルーズ要素

正直、トム・クルーズは最近の方がノリに乗っている。オフビートなギャグ。体を張った無茶なアクション。そんなトム・クルーズの十八番が十二分に味わえる仕様になっている。


ミッション・インポッシブルのローグネイションでは、トム・クルーズが水中で6分間も息を止める無茶な演技を見せてくれたが、今作でもそれを彷彿とされる水中戦シーンが登場する。というか、ミイラ映画で何で水中戦なんだよ?という感じだ。完全にトム・クルーズ的アクションの見せ場として水中戦をブッこんだ感じだろう。墜落する飛行機内でのアクションなんかも、トム・クルーズらしい見せ場の一つだ。


…という感じで、確かにトム・クルーズ映画としては嬉しいシーンだらけなのだが、ザ・マミーというか、明らかにザ・トム・クルーズという映画なのである。


微妙すぎるアマネット王女のキャラ

残念だったのが敵キャラであるミイラのアマネット王女だ。武芸も出来る男勝りの王女で王位継承者として目されていたのだが、王にやっとこさ息子が生まれるとあっさりお払い箱に。キレた王女は、邪神セトの崇拝者となり、その弟や王を殺して王になろうとするが、神官たちにあっさり阻まれる。


ここだけ切り取ると、優秀なのに女だったせいで王になれなかった時代の犠牲者的なキャラクターを見いだせるのだが、なぜか蘇ったアマネット王女は自分を蘇らせたトム・クルーズに執心して、自分のものにしようとした挙句に、トム・クルーズに騙され滅びるのである。


ハムナプトラのイムホテップなんかの場合は、そもそも禁断の恋が原因でぶっ殺された神官が、現代で恋人と瓜二つの女性と再会するという話だったので、女の尻を追いかけるのはキャラ的に分かるのだが、アマネット王女の場合は明らかに生前は男の尻を追いかけて身を滅ぼすキャラじゃなかったので違和感しか無かった。


乃木坂46の『女は一人じゃ眠れない』という歌が、ワンダーウーマンのイメージソングに採用されて炎上していたが、この映画のイメージソングにしておけばよかったのでは?という感じである。


奪う男、奪われる女

アマネット王女の謎のキャラクターチェンジはともかく、ある意味でアマネット王女は時代の犠牲者だった。そんなアマネット王女が、現代に蘇ってどうなるかというと、碌な目に遭わない。シワシワのモンスターとして蘇り、確かに幾らか人を殺してモンスター活動もするのだが、惨めに鎖に繋がれ拘禁されてしまうのである。もちろん最終的に脱走して暴れるのだが、結局はトム・クルーズの甘い囁きに騙されて身を滅ぼす結果となる何とも救いの無い内容であると言わざるを得ない。


また、主人公であるトム・クルーズの描き方もかなり際どい。直接描かれはしないが、主人公は冒頭でヒロインである博士を口説いてセックスして宝の地図を盗み出している。それがある意味伏線となって、最後にまたアマネット王女からアーティファクトを盗む。アマネット王女は悪人なのでそれみたかと言いたいのかもしれないが、基本的に主人公は最初から最後まで女を騙して何かを奪う糞野郎なのである。


モンスターは主人公の方だった?

はっきりいってあからさまに男尊女卑的なニュアンスがあり問題があるように見えるが、好意的に解釈することも出来る。それは真のモンスターが主人公だったと解釈することも出来るからだ。なぜならラストに主人公がモンスターになる、まさにミイラとりがミイラになるオチになっているからだ。なので、ヒーロー映画において、主人公が真のヒーローになって終わるオチの真逆を描いたパロディとして受け取ることも出来る。なぜならこれは、モンスター版のアベンジャーズともいうべきダークユニバースというシリーズ作品の第一作でもあるのだ。


先にも述べた様に、主人公は女から何かを盗む男である。それに、明らかに危険やスリルを楽しむちょっとイカれた人物である点もはっきり描かれている。相棒っぽい仲間を撃ち殺す場面は半ばギャグとして面白シーンとして描かれたし、最後にアンデッド従者にして相棒を蘇生させて引き連れていたのも、よくよく考えると狂った所業である。


チョロっと出演していたジキルとハイドのラッセル・クロウからもその片鱗は感じることは出来る。普通ジキルとハイドと言えば、善人と悪人の多重人格者という感じだが、ラッセル・クロウのジキルとハイドは変身すると多少顔色が悪くなるくらいで、ジキル博士の時もかなりイカれた人物であるように見えたからだ。ダークユニバースは、リーグオブレジェンドの様なモンスター的な属性を持ったヒーローが集合する映画では無く、真の意味で邪悪なモンスターが終結する映画なのかもしれない。


ここが変だよザ・マミー

まず気になるのは、なんでミイラの発掘にイラクに行くんだという点だ。一応、古代エジプト人が世界の果てとしてイラクまで頑張って棺を封印しにいったという話にはなっていたが、イラクとイギリスで展開されるエジプトのミイラの話って何だよとしか言いようが無い。


1つ思い当たるのは、舞台をイラクにして遺跡を破壊するタリバンだか何だかを配置することで、遺跡を盗掘した感を軽減するという目的である。もし前述の推測の様に、実は主人公こそがモンスターでしたという構図を本気でやりたいなら、トム・クルーズが部隊を率いる立場で明確に盗掘行為をすべきだったと思う。ミイラにはどうしてもイギリスによるエジプトからの盗掘行為という黒歴史が付きまとう。それを回避する為に舞台をイラクにするという歪なことをしたのであれば、アマネット王女が結局は男性に奪われる女性として描かれる状況と相まって、現代映画としては色々問題を抱えていると言わざるを得ない。


あと、セト神を召喚するアーティファクトが何で十字軍によってイギリスまで持ち帰られたのかという点。これに関しては、単に舞台をイギリスにする都合と、復活したアマネット王女が手に入れるとヤバいパワーアップアイテムとして設定する都合で作られたギミックだと思うが、はっきり言って不自然すぎてヤバい。

アーティファクト回りの設定としては、結局アマネット王女がアーティファクトをどうしたらアウトで、どうやるのが正解なのかという点がかなりフワッとしていたのも個人的にはマイナスポイントだった。


さらに云うなら、飛行機事故から無傷で生還?したトム・クルーズはどういう状態だったのかも全然分からなかったのもマイナスだった。あの時点で不死者になってたのか、1回だけ蘇生させてもらっただけなのか、アンブレイカブルになっていたのか、どうなんだという。そこの描き方次第ではもっとモンスター物として面白くなったんじゃないの?という。


総括

ユニバーサル映画のモンスターを復活させるダークユニバースの第一弾としては、かなり先行きが不安になる作品である。


トム・クルーズ愛は感じるが、モンスター愛はあまり感じられない映画だからだ。続編が作られて主人公と共闘までするくらいに愛されキャラだったイムホテップと比べると、はっきり言ってアマネット王女はキャラも良く分からないし、魅力は無い。高評価しているのは演じているソフィア・ブテラのファンくらいでは無かろうか。


酷評気味だが、トム・クルーズ映画が好きという人には普通にオススメ出来る作品なので、見て損するタイプの映画では無いので、時間があれば是非観に行ってみるべきだろう。


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by cemeteryprime | 2017-08-04 19:22 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】ハクソーリッジ

ハクソーリッジを観て来た。厳格なキリスト教徒の青年が、衛生兵として従軍し、周囲から非難され臆病者と罵られながらも武器も持たず人を殺さずを貫いて、誰よりも勇敢に戦場を駆け回り大勢の命を救ったという実話を元にしたストーリーである。

あらすじレベルで要約すると戦争下においても宗教的な美徳を守ったという美談にも聞こえるが、映画では「宗教の教えに従い人を殺したくないなら、そもそもなぜ従軍したのか?」という部分にも焦点を当てていて、人間描写が面白かった。あと誰かしらが爆撃やら銃撃で常に肉片をまき散らしているレベルの戦場描写がエグかった。

以下、完全なるネタバレ感想。

デズモンドのトラウマ

主人公のデズモンド・ドスは徴兵された訳では無く志願した兵士である。それも周囲の反対を押し切っての従軍だ。母親や婚約者が反対するのは当然として、父親に関しては第一次大戦のPTSDで長年苦しんでいて、一緒に従軍した友達が目の前で死んで一人生き残ったことを後悔しているような人物である。そうした話を主人公にもするのだが、それでも主人公は従軍するのである。

また主人公は軍で自分の信念に基づく主張(非暴力主義&ライフルを触りたくない)を貫こうとしてイジメに遭うのだが、周囲の軍人達が主人公をイジメる理由は暴力を強制する為ではない。自分から除隊させる為だ。暴力が嫌なら戦場に来るべきでは無いし、個人の信念で非暴力主義を貫いて武装すらしない奴が部隊に居たら普通に考えて自分たちまで危険だからだ。

軍人達も、みんながデズモンドは戦場に来るべきではないと次々に上官も出てきて説得するのだが、デズモンドは頑なに自分の信念を貫きつつ戦場に行くことに拘る。結果、同僚に苛められる事になるのである。

トラウマと贖罪

デズモンド・ドスの信念や頑なに戦場に行こうとした理由は、過去のトラウマにあった。デズモンドは幼少期に喧嘩でレンガを使用し、兄弟を殺しかけたことがあった。兄弟を殺してしまったのでは無いかという恐怖に怯え、真っ青になるデズモンドの視線の先にはアベルを殺すカインの図画という分かりやすい演出も挟まれる。結局、兄弟は死ななかったが、デズモンドの心には殺人の罪に対する恐怖が刻み込まれ、信心深い青年へと育つ。

そして戦場にて、かつて家庭内暴力で母親を殴る父親を銃で殺害しかけたというエピソードもデズモンドの口から語られる。撃ちはしなかったが、心の中では父親を射殺した。それ以来、銃は触らないようにしていると告白する。

確かに、主人公のデズモンドは、厳格な宗派のキリスト教徒なのだが、人殺しの拒否や、銃を触らないという行動は、宗教的な教義に基づく行動というよりはデズモンドの個人的なトラウマに基づくものであったと、少なくとも映画では描写されている。

そして、従軍の理由もそうした過去の罪悪感から来ている。デズモンドは、恐らく罪を犯した自分を嫌っていた。それ故に厳格なルールを自分に課し、さらに周囲の反対を押し切って危険な戦場へと向かった。そして、他人を助ける為にというよりは、自分自身を救う為に、命がけで戦場で多くの人を救うのであった。

PTSDの父親

デズモンドの父親は、第一次世界大戦のPTSDで家庭内暴力親父と化している。デズモンドと兄弟が幼少期に殺し合い一歩手前の喧嘩をするくらいに荒れていたのも、おそらく父親の暴力のせいだろう。

父親は、生き残った自分が許せず、自暴自棄になっている。自分が愛せないので、妻も息子も愛せないのだ。デズモンドとその兄弟も志願して従軍したのだが、おそらくはこの父親への復讐の意味合いもあったのだろう。

父親はとある場面で、デズモンドが戦場に行く手助けをするのだが、恐らく父親はデズモンドが戦場に行くことで自分を救済しようとしているという事に何となく気付いたのでは無いだろうか。この場面はかなりグッと来るシーンである。

沈黙との比較

主演のアンドリュー・ガーフィールドはついこの間、同じように熱心なキリスト教徒の役をやっていた。

沈黙の場合は、キリストは、踏み絵を踏んじゃう様な心の弱いキリスト教徒こそ、より救うべき存在では無かろうかみたいな、割と神学的な話であった。

一方の、ハクソーリッジは過去の罪悪感から自分の心を救おうとする話であった。自ら危険に飛び込み、他人を救うことで、自分の心を救おうとする行為は、いささか倒錯しているものの、確かに宗教的である。

沈黙は心の強い人ほど狂信的な行動が取れる(踏み絵を拒んで殉教できる)というスタンスであり、穿った見方をすれば俺たちは弱いんだ、強いやつらこそむしろ異常みたいな描き方だったが、ハクソーリッジの場合は罪悪感の強い人ほど、自らを救済する為に狂信的な行動が出来るという話であり、狂信者には狂信者の理由があるという描き方だったので、割と共感しやすいとは思った。

主人公とトラウマ

ストーリーの主人公というのは、大抵の場合、普通の人には出来ない事をやってのける。何故にそんな異常な行動が出来るんだという部分のリアリティに、過去のトラウマを引っ張って来ることが多い。

デズモンドもそうだが、自ら危険に飛び込む様なヒーローは何かしらの罪悪感から自らを罰したいという願望を抱えている事が多い。自分が嫌いだから、酒浸りになったり、麻薬に走ったり、暴力に走ったりと長生きしたくなさそうな日常を送る。

監督のメルギブソンはそういう死にたがりなキャラを演じた事も多いし、本人もバイオレントかつキリスト教原理主義なおじさんなので、そうした自分を罰したいイズムとマゾヒズム的な救済をデズモンドや主人公の親父を通じて上手く表現できるのでは無いかなとか思った。


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by cemeteryprime | 2017-06-29 22:28 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】ローガン

ヒュー・ジャックマン版ウルヴァリンの最終作『ローガン』、早速観て来た。以下、ネタバレしまくりな感想。

あらすじ

年老いて身体に色々ガタが来たローガンが、未だに続いていたウェポンX計画で自分のDNAを使って勝手に作られていた少女版ウルヴァリンのローラを託され連れてカナダ国境を目指して逃避行する話。

感想

実験室育ちで常識が無く狂暴な少女ローラと、認知症になっちゃってお薬を飲んでないと能力が暴走してヤバい元プロフェッサーXことエグゼビア老人という、2つの爆弾を抱えての逃避行が面白い。

ローラは、チビで狂暴で手だけじゃなく足にまで爪がついてる殺人マシーンで少女ながらも正しくウルヴァリンという感じで最高だし、エグゼビアはお薬ちゃんと飲んだ?状態で、ローガンにトイレに連れてってもらったりとかで完全に要介護老人になってて最高。

ただ、肝心のローガンの話が正直ちょっと微妙というか、低空飛行すぎて趣味じゃない感じ。どうぜ引退作として最後に死ぬにしても、オールドマンローガンの耐えて耐えて耐えて・・・最後に大殺戮っていうプロットは使って欲しかったなと個人的には思う。

ローガンが弱ってヨタヨタしているので、相対的に敵も中途半端。単なる傭兵集団なドナルド・ピアース率いるリーヴァーズと、ウェポンX計画残党の科学者と、あとターミネーター的な傀儡兵士(ネタバレ防止でここは一応伏せておこう)。最終的におじいちゃんが老体に鞭打って頑張るだけの話になっちゃって悲痛というか、しょっぱい話になってしまったのが残念でした。

どうせ引退作なら、ウルヴァリンやっぱりカッコいい!最高!もっとお前の活躍を観たかったよ!みたいな終わり方をして欲しかったな。

思うに、ボケ爺と狂暴なガキを連れての逃避行という所までは上手く行っていたんだよな。

後半、急にローラが急に喋り出すのとか、は?って感じで、そこから尻すぼみ的に消化試合になっていく。喋りもできない野生動物っぽさは演技やったんかいワレ!

妄想

個人的な願望としては、ローラは孤独で野生動物めいたX-MENと会う前のウルヴァリンであってほしかった。助けてくれた看護師の人とか、エグゼビアお爺ちゃんの介護とかを通じて、人間らしさを学んでいって、ローガンも自分も仲間に救われたからローラも絶対に仲間の元に届けなきゃみたいな話にしてれば、もうちょっとうまい具合に良い話になったのでは無かろうか。

そういう意味で、ラスボスはウルヴァリンのダークサイドというか、こういう大人になっちゃ駄目だよ例としてセイバートゥース辺りを持ってきて欲しかったな。で、最後は仲間の為にバーサーカーになるんだよ精神をローガンがローラに示して、ローラが2代目ウルヴァリンになって仲間と一緒に旅立っていく的な。

ローラは施設では怖がられてたというか、ちょっと浮いてて馴染めないんだけど、クライマックスでの戦闘を通じて子供たちの信頼される仲間になる。そんな話が良かった。

結論としては、折角ローラという娘が出てきてるのに、父と子みたいなテーマが希薄で単に老兵ローガンの死に様みたいなしょっぱいドラマで着地しちゃったのか、この映画の微妙なポイントじゃなかろうか。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol.2のヨンドゥという最高のお父さんの死に様を観ちゃったせいで辛口になったかもしらんが、おおむねそんな感じ。


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by cemeteryprime | 2017-06-01 15:13 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】グリム

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主人公のニック・ブルクハルトは、ポートランド警察の殺人課の刑事で、人間社会に潜り込んでいるヴィッセン(魔物)を見破る能力を持ち代々ヴィッセンを狩ってきたグリム一族の末裔である。

事件を調べるとだいたい犯人はヴィッセンで、被害者もヴィッセンの時もある。ヴィッセンは人を襲う魔物というよりは、狼人間とか、羊人間とか、豚人間みたいな感じで色んな種類がいて、ステレオタイプ的な特徴を持った種族が人間社会に紛れて暮らしているという感じ。狼種族が被害者で、豚種族が実は犯人でしたみたいな話とか、食う食われるの関係性故に民族的な対立だとか偏見が存在していたりする。

観た人にしか分からない例えだが、ざっくりと言えば、仮面ライダーキバ×ズートピアみたいな話だ。

刑事ドラマと違うのは、主人公が魔物ハンターなので、最終的に立件不可能で凶悪なヴィッセンの犯人とかはボコボコにして殺害するという点。普通にモンスターとして退治しちゃうのだ。

あとグリム一族は、ヴィッセンたちから見ると恐怖の殺人鬼一族なので、調子に乗っていた敵が「げぇ!グリムだ!」と気付いてビビる水戸黄門の印籠的シークエンスがあるのも楽しい要素。

ヴィッセンも、いちいちドイツ語の種族名があって怪人っぽい。狼人間はブルットバット(ドイツ語のブラッドバス)みたいな感じ。

主人公はヴィッセンを見破れる能力を持っただけの人間で、先祖から受け継いだモンスター狩りの物騒な武器を駆使してヴィッセンを殺害するのが楽しい所でもあるのだが、シーズンを重ねるごとに重傷から復活するごとに新たな力を身に付きてパワーアップする様になって、仮面ライダークウガ的な戦うことで人外化していくヒーローの要素が入ったりもする。

仮面ライダーキバっぽいなと思う要素としては、人間社会に紛れ込んでるモンスター種族を主人公が狩るダークファンタジー系の話なのに加えて、王位継承問題みたいな要素もある所。

仲間で警察の上司がヴィッセン王家の血を引いていて、王位継承に関わるゴタゴタに主人公もその警部と共闘する形で巻き込まれる形になる。

キバと違って、主人公が王族の血を引いているみたいな形にしておらず、むしろ忌み嫌われる処刑人一族なのはなかなか良い設定だなと思える。

王位継承問題以外にも、王族絡みだとレジスタンスVS王家の話もあったりするのが楽しい。

ズートピア的な、ある種の民族的、職業的ステレオタイプをどういう動物で表現するのかなという楽しみと、今回はどういう怪人が登場するんだろという楽しみがあるのが2重に楽しいシリーズ。

シーズン3では、2号ライダー的な2人目のグリムが登場して主人公が訓練するイベントと、主人公がグリムの能力を失うイベントも発生する。

ネトフリではシーズン3まで観れる。続きも早く観たい所である。


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by cemeteryprime | 2017-05-29 23:02 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】ネトフリのいろいろ

ブラックリスト

新米FBI捜査官が何故か犯罪界の大物から情報リークの指名を受けて、更には婚約者も謎のスパイでしたという、女性捜査官のハーレム系犯罪捜査ドラマ。そして、やがて母親も父親も凄い奴だったというジャンプの主人公的な展開になっていく。

出て来る犯罪者たちが、その存在さえもこれまで警察に捕まれていなかったスーパーヴィランだったり、大掛かりな犯罪組織だったりするのが割と面白い作品。

ただ、ストーリーが基本的に主人公自体はいまいちパッとしないハーレム系なのに加えて、実質のストーリー牽引役である犯罪界の大物レディントンが秘密主義の謎キャラすぎて、ストーリーがどこへ向かっているのかが分かり難いので、話の続きがどうでも良い気分になりやすいという欠点はある。

クレイジーヘッド

偶に人の顔が悪魔に見える幻覚があり、精神疾患だと思っていた女性が、同じ様に悪魔が見えて尚且つ悪罵狩りをしている個性的なデブの黒人女性と出会ったことで、二人で悪魔と戦う様になる話。

基本的にギャグテイストなんだけども、容赦なく人は死ぬ感じのブラックコメディテイスト作品。一話目からして、友達が悪魔に取りつかれるも、悪魔祓いが失敗。森に友達の死体を埋めに行く話。

悪魔と戦うといっても方法が、霊的な物ではなく、悪魔に取り憑かれた人を物理的にボコボコにするという文字通り戦うだけなのが笑う。人間に取りついているからか、妙に人間臭い悪魔たちの描写が面白い。

仮面ライダーX

日本全滅を狙う大国の連合組織、GOD機関(ガバメント・オブ・ダークネス)の陰謀と戦う、サイボーグ戦士の話。

長坂秀佳が脚本で参加しているというのを知って観てみたのだが、確かにとても子供向けとは思えない、クレイジーな話があって面白かった。が、途中で長坂秀佳は抜けちゃって、それ以降は如何にも子供向けな昭和ライダーな話に戻ってしまう。なので、アポロガイスト編まで観れは十分といった感じ。

第一話に出て来るエキセントリックな少年漫画的父親キャラであり、尚且つマッドサイエンティストでもある主人公の父親の神博士が最高なのでそこだけでも観て欲しい。今時の科学者は体も鍛えねばと木刀で背後から襲い掛かって武芸の上達ぶりを試しに来る神博士の勇士が観れるぞ。

主人公の為に、自分の記憶と人格をメインコンピューターにコピーした孤独の要塞的な施設を遺しつつも、いざ主人公が施設を頼りに来たら、「お前をすぐに父親に頼りに来る様な軟弱者にするくらいなら死んでやる!」と唐突に自ら施設を自爆させるという下りが最高。こんな人格はコピーしなかった方が良かった感しかない。

スニッファー

超人的な嗅覚を持つ探偵が警察の捜査に協力をするというウクライナのドラマ。NHKでも阿部寛主演でドラマ化されていた。

やってる事自体はサイコメトリーの嗅覚版みたいな感じなのだが、嗅覚なので割と妨害されやすい。舞台がウクライナなので汚職軍人みたいなのがちょくちょく出て来るのとかが新鮮だった。

あとシーズン2でクーデターを企む陰謀組織が登場するのだが、実際にウクライナはクーデターで偉い事になっていたので設定に謎のリアリティがある。


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by cemeteryprime | 2017-05-27 17:35 | 作品・感想 | Comments(0)

【書籍感想】クトゥルフ神話ガイドブック


クトゥルフ神話のここが分かる

  1. ラヴクラフトをはじめとする参加した作家達と、参加した時系列
  2. 押さえておきたいクトゥルフ神話要素と登場作品の概要
  3. その神格や魔導書はどの作家がどの作品で最初に登場させたか
  4. ラブクラフト作品の何が新しかったのか
  5. ラヴクラフト作品の影響について


資料性の高いクトゥルフ神話TRPGのルールブックやその他のソースブックも持ってるし、エンサイクロペディア・クトゥルフも読んでたし、東雅夫のクトゥルー神話事典も読んだし、ゲームシナリオの為のクトゥルー神話事典も読んだ、クトゥルー神話ダークナビゲーションも読んだ、H・P・ラブクラフト大事典だって押さえいる。

…なので別にこれ以上知りたいことも無いやと思って今まで買っていたなかったのだが、たまたま本屋で見かけて何となく購入。読んでみると、ガイドブックという名前だけのことはあって、クトゥルフ神話の入門書としてこれ以上ないくらいに分かりやすくて驚いた。

特にこのガイドブックの場合は、ラブクラフトが考えたのはこれで、次にこういう作風のこの作家がこの要素をこの作品で追加したみたいな形で、クトゥルフ神話の諸要素が形成されていった過程を分りやすく時系列で紹介してくれているのが分かりやすくて良い。

魔導書が誰の手によって登場したのかは、TRPGプレイヤーなら割と知っておきたい情報では無かろうか。これに関してはゲームシナリオの為のクトゥルー神話事典なんかの方が分かりやすくまとめられているが、ついでなので簡単に代表的な魔導書とその作者についてまとめておこう。

クトゥルフ作家と魔導書

  1. ラヴクラフト ー ネクロノミコン、ナコト写本、etc…
  2. CA・スミス ー エイボンの書
  3. RE・ハワード ー 無名祭祀書
  4. ロバート・ブロック ー 妖蛆の秘密、屍食教典儀
  5. オーガスト・ダーレス ー ルルイエ文書
  6. ブライアン・ラムレイ ー クタート・アクアディンゲン
  7. ラムジー・キャンベル ー グラーキの黙示録
  8. リン・カーター ー ポナペ教典

こうして並べてみると、それぞれのアイテムがどういう文脈というか、どういう内容の作品で登場したかはかなり重要な情報に思える。

あと、読んでいて思ったのは、クトゥルフ神話的な文脈ではディスられていることが多いダーレスだが、ヒロイックに邪神と戦う話が好きなTRPGプレイヤーの場合はむしろ相性が良さそうな気もする。まぁ、手軽に作品が手に入るブライアン・ラムレイで事足りる気もするが。

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by cemeteryprime | 2017-05-16 20:44 | 作品・感想 | Comments(0)

【書籍感想】コンプリート・ディーン・クーンツ

コンプリート・ディーン・クーンツ

風間 賢二(編集)/芳賀書店

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ディーン・クーンツはよくスティーブン・キングと引き合いに出されるので前から興味はあったので買ってみた。出版された時点までのクーンツの全作品の内容(ネタバレ)と、未翻訳作品の翻訳が幾つか載っている。

個人的なクーンツ体験としては、唯一ファントムを読みかけでの上巻を途中で放置しているのみ。

キングが人間描写とノスタルジック描写とホラー愛で引っ張るタイプなのに対して、クーンツは割と理論派エンタメおじさんというのは知っていたので、上澄み的なエンタメ創作理論を汲み取るならクーンツなのかなと思って買った。創作論に関する話も載っていたのでちょっとピックアップして紹介してみよう。

ホラーエンタメのポイント

  1. 観客はモンスターよりもモンスターへの期待感を楽しむ
  2. ホラー映画はモンスターとの対決よりも恐怖を煽ることに時間を費やす
  3. いざモンスターを登場させたらテンポよく畳むこと
  4. 敵は執念深く無慈悲で圧倒的な強さを持っていること


よりよいホラーにする為に

  1. 恐怖を盛り上げるには、恐怖以外の感情が重要になる
  2. 怖がらせるだけのホラーは欠陥品
  3. 感情をしっかり描写する為には主人公が重要
  4. 主人公の動機は明確にして、感情移入しやすくすること

感情移入を阻害する要素

  1. 逃げられない説得力のある理由があること
  2. 主人公が受け身
  3. 主人公が超人すぎる・・・失敗が無ければ成長も学びも無い
  4. 物語の為だけの人物で過去がない
  5. 人間関係が無い


クーンツの理屈から考えると、例えばラヴクラフト作品なんかは怖がらせようとしているというよりは、恐怖を本質的に扱っているという感じではあるものの、恐怖以外の感情を扱っていな欠陥品の最たる例では無かろうか。本質的であるが故に、ホラーファンからは愛されているが、確かにエンタメ性があるとは言い難い。文体以前に恐怖以外の感情をあまり扱っていないのがその原因の一端だったのではなかろうか。

また、クーンツの理屈に従うと、ホラーとは恐怖の感情が他よりも強調されたストーリーであって、全てはバランスの問題に他ならないという話でもある。モンスターが登場してさえいればホラーになる訳ではなく、しっかり恐怖が強調されていなければならない。この点において、ホラーにおけるモンスターは無慈悲で強力であることという指針は非常に分かりやすい。モンスターに同情の余地があったり、貧弱であったりすれば、それは実は他の悲劇性や恋愛ドラマを引き立てる要素でしかない可能性があるという話である。特に他の要素も強調されていないのに、モンスターも貧弱で交渉の余地があったりすれば、それは欠陥品でしかないので赤信号だと理解しよう。

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by cemeteryprime | 2017-05-14 10:25 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】レゴバットマン ザ・ムービー

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レゴムービーは観た事なかったので、初のレゴ映画。


レゴの世界というギミックのお陰で、極端なパロディやデフォルメ表現が許されている。レゴの世界だからこそできる、バットマンのストーリー。とても面白かったです。


ざっくりとあらすじを説明すると、家族を再び失う恐怖と向き合えず、自分の殻にこもって孤独な生活を送るバットマン・・・及びブルース・ウェインをみんなが殻から引っ張り出す話である。


ブルース・ウェインとしての孤独だけではなく、バットマンとしても敵にも味方にも特別な関係性を認めない孤独な人物として描かれていたのが面白かった。お前の最大のライバルは俺じゃないの?と迫るジョーカーに対して俺のライバルはスーパーマンだと冷たくあしらうんだけど、その後に自分と同じく孤独なヒーローだと思っていたスーパーマンが孤独の要塞でJLAの仲間たちとパーティーをしていた所を目撃しちゃってショックを受ける所が最高。


バットマン映画としてこれまでのバットマン作品への言及があったり、キングコングやらサウロンやらウォルデモートやら色んな映画の悪役軍団が登場しちゃうなんでもありな所も楽しい。真面目な話として、レゴでやるから見える批評性みたいな部分が凄い面白いかった。あと、レゴだから許されるラストも凄い笑った。


でも、個人的に一番最高なのはバットマン世界がガッツリとレゴに組み込まれたことでは無かろうか。コミックでも滅多に観た事ないようなドマイナーなヴィランたちまで、ミニフィグ化されて、実際に商品化されている。映画を観ながら、このミニフィグ持ってる~とか、こいつのミニフィグ欲しい~ってなるのが何より最高なのだ。


感覚としては、スーパーヒーロータイムとかロボットアニメのイメージが近い。玩具会社とのタイアップで造られた作品には、商品を欲しがらせる為にストーリーと映像によって玩具(キャラ)をより魅力的に見せるというCM要素があるが、魅力的な商品と作品が上手い事融合すると作品自体の魅力も、自分の物に出来る、買って遊びたいという所有欲によってブーストされる。この作品も、そうしたマジックが機能している。


ぜひ映画を観て、レゴを買って遊んでみるのがお勧めです。


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by cemeteryprime | 2017-04-05 19:47 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】SING

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万人にお勧めできるタイプの最高の音楽映画。

とにかくタイトルの通り、歌についての映画である。新旧のヒットソングが登場しまくるのも楽しいし、歌の持つドラマやカタルシスが最高に引き出されている。ズートピアもそうだったけど、動物キャラを使う事によって、ドラマ性も身体表現もデフォルメが利いていて素晴らしい。

あらすじとしては、潰れかけた劇場のオーナーが最後の興行として賞金が出る素人のど自慢大会を開催する。そこに集まった人たちの群像劇である。

ブタのロジータは、子育てに翻弄される歌好きの専業主婦で、彼女のストーリーの主なテーマは抑圧からの解放である。ブタだから死ぬほど子沢山というのが笑える。のど自慢大会に出る為の練習時間を作る為に、日々の家事をからくり仕掛けでオートメーション化するんだけども、子供も旦那もまるで気が付かないという皮肉な描写が活かす。ラストは、日々のルーティンに埋もれて留守にしていても気付かれなかった専業主婦のメスブタ(文字通り)が活き活きとして歌う姿を見せつけ、子供たちも旦那も今まで観た事がなかったロジータの姿に熱狂する。

ゴリラのジョニーは、ギャング団のボスの息子で犯罪稼業の跡継ぎになることを求められている青年である。ジョニーの話も、抑圧からの解放だ。ジョニーは本当は歌手になりたいのだが、親父はそんなことをを許さない。本当は別の事がしたいアメフト部のスター選手の話みたいな感じである。こっそりのど自慢大会の練習をしていたことが最悪の形でバレて勘当同然になるんだけども、ラストで素晴らしい歌を披露するジョニーの姿を見て、親父の心が動く。ゴリラならではの躍動感溢れる和解シーンが最高だ。

ヤマアラシのアッシュは、彼氏とロックバンドを組んでいる女の子。今まではロック歌手を気取る彼氏に合わせる形で自分を抑えていたが、のど自慢大会が原因で彼氏と別れ、傷心を糧に、最高のロック歌手へと変貌する。ロックな精神が、実際にトゲとして周囲の人に刺さりまくる描写が面白い。

ネズミのマイクは、人間的には糞野郎なミュージシャンである。別にのど自慢大会をきっかけに成長したりはしないが、ラストにそれまでの糞野郎っぷりを吹っ飛ばす才能を見せつけてくれる。悪人タイプの主人公は、何かしら尊敬すべき美徳を1つは持っているが、マイクの場合はそれが音楽なのだ。

ゾウのミーナは、歌の才能があるが、内気でみんなの前で歌えない女の子。ミーナの話は、言ってみれば自分の殻から周囲の人々によって引っ張り出される話である。ラストでオオトリを飾り、パワフルな歌声を披露する。

歌に関する幾つものドラマが、のど自慢大会というイベントを通じて1本に収束していく。ドラマも面白ければ、歌も最高。いうことなしの1本である。

ちなみに、借金に追われて潰れかけの劇場支配人のコアラのバスター・ムーンの話も好きだ。金持ちの息子で何もして無さそうなボンクラな羊のエディとのポンコツ相棒コンビで頑張る部分が楽しい。あと、期待されていなかった人たちが最高のステージを作り出して、町中を熱狂させるという全体的なストーリーもシンプルに最高である。


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by cemeteryprime | 2017-04-05 18:29 | 作品・感想 | Comments(0)

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