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カテゴリ:作品・感想( 143 )

【ドラマ感想】スクリーム

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ウェス・クレイヴン監督のスラッシャー映画、スクリームがドラマシリーズとして復活。Netflixで観れる。監督自身は、既に亡くなってるんだけど一応、製作総指揮か何かで関わっては居たようだ。

あらすじ
20年前に大量殺人事件が発生したという、忌まわしい過去を持つ小さな田舎町のレイクウッド。事件の犯人は、一種のエレファントマンで最後は射殺されて湖に落ちて死体は上がらなかった。そんな過去の殺人鬼が蘇ったかの様に、エレファントマンのマスクを付けた殺人鬼が、レイクウッドの町を恐怖に陥れる。

作品
TVシリーズで、スラッシャーホラーが成立するのかという挑戦は中々面白いのだが、残念ながらいまいち成功しているとは言えない印象。一本の映画程度の時間であれば、ジェットコースター的なテンポ感に誤魔化されて、まんまと主人公たちが犯人の意図に踊らされて多少馬鹿な行動をしても気にならないのだが、TVシリーズでそれをやると、馬鹿な行動が数日に渡って展開されているので、間抜け感がどうしても強調されてしまう。第2シーズンもあるらしいので、ブレイクスルーを発見してほしい限りである。

あとスクリームの場合、最後の最後まで犯人が不明確な点が面白いのだが、終盤に近付くにつれて無罪確定が連発していき、安牌的なキャラが増えていったのはあまり上手くない展開だなと感じた。シリーズ化させる為か、結構な数の主要登場人物が生き残ったのもイマイチ。中途半端に負傷しながらも、続投するキャラが増えれば増えるほど、殺人鬼の脅威度は低くなって緊張感が薄れていく。この辺りのテンポ感も、映画のスクリームとどうしても比較してしまう所。

エレファントマン
どうも元のゴーストマスクは、マスク自体の版権的な問題でドラマ版では使用できなかったらしい。その結果、エレファントマンの顔を象ったという謎の設定のマスクになった。

エレファントマンは、明らかにジェイソン的な設定にも関わらず、殺人鬼が20年前に死んだエレファントマン本人という線は、基本的に作中では真面目に考慮されない。まぁ、スクリームなので犯人が超常的な存在というのは有り得ないんだけども、だったらジェイソン的な設定にする意味あったのかとも。

殺人鬼に関しては、良くも悪くも殺し方のバリエーションが豊かになって、逆に特徴が薄れてしまった感じ。ドラマ版の殺人鬼はスタブ(刺殺)一辺倒では無い。でも、スクリームの醍醐味は誰が犯人なのか判らない恐怖と不意打ちでガンガン殺してくる所なので、スプラッター的な方向に拘られてもなぁとか。
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by cemeteryprime | 2015-10-05 23:38 | 作品・感想 | Comments(0)

【アニメ感想】ガッチャマンクラウズ:インサイト

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ガッチャマンクラウズの第2期。今回、ガッチャマンが立ち向かうのはゲルサドラによって引き起こされる全体主義的な空気感だ。相変わらず社会派なテーマ選択が良い。

あらすじ
ある日、ゲルサドラという宇宙人が地球に飛来する。ゲルサドラは、皆が一緒に楽しく過ごせるのが最高という思想を持った宇宙人であり、これまでに宇宙の幾つかの星を平和に導いたという実績を持っており、地球でも危険な宇宙人では無いとして歓迎される。

ゲルサドラには人々の気持ちを可視化して、汲み取る能力があった。地球人が余りにもバラバラで、問題を多く抱えている事に気付いたゲルサドラは、新しく可決された首相の直接選挙制度に立候補。草の根運動を通じて、首相に当選する。国民の気持ちを汲み取れるゲルサドラは、次々に国民の願望を実現していき歓迎されるが、やがて国全体が全体主義的な空気に包まれて行く。

インターネット
1期もそうであったが、2期もまたインターネットが社会にもたらす利益や弊害の可能性を描いている。SNSなどの登場で個人の意見が可視化され、国民の声という空気感は、より具体的に見える存在として認識されやすくなった。インターネット技術の向上によって、直接民主制の実現可能性なども議論される事が多い。ゲルサドラは、インターネットの持つ、そうした側面を具現化した存在だ。

作中では、全体主義的な空気感の蔓延を敏感に悟る人物として第二次大戦を経験している主人公の祖父が登場する。当時は情報不足、現代は情報過多という形で状況は明確に違うが、現代の方がかえって空気が可視化されている分、流されやすい可能性もある。重要なのはやはり、自分なりに考えて意見を持つことである。衝突を避け協調する事は、ストレスが無く快感ですらあるが、考えずに気楽さに流されるという行為は常に無責任で危険だ。この辺りが、クラウズに一貫して流れているテーマだろう。

ストーリー
正直、1期よりも下手糞な印象が強い。ゲルサドラ絡みのテーマ自体は判りやすく提示されているが、オチの付け方が不味い。1期と同じく性善説でまとめようとしているのだが、違和感が残る内容になっている。

元々、作中でもゲルサドラ支持が広まった背景にはワイドショーが強い影響力を持っていた。駄目な全体主義的空気を打ち払うのに、ガッチャマンが使用したのは、結局ワイドショーだった。ワイドショーを通じて、国民に自分たちで考える事を促したのだが、結局の所、これでは各人の意志で全体主義に抵抗させたというよりは、別の空気感を提供しただけの話では無いだろうか。

無配慮に空気感を煽るマスコミを、そういう機能を持ったツールだと割りきって罪なしとする姿勢なのかも知れないが、ゲルサドラの在り方について考えさせるなら、同じくワイドショーの在り方も問うて然るべきなのでは?と思わなくもない。敢えて、違和感を残して問題提起して終わるという作品の手法かもしれないが。

累くん問題
1期の主人公である累君のストーリーについては、明らかに途中で脱線したまま終わっている。単純に、累くんが苦難には強いが、快楽には弱かったというだけなのかもしれないが、途中からずっとアヘアヘ状態になっていたのは如何な物か。敗因は総裁Xとゲルサドラがどっちも、インターネットの擬人化である点で、役割が被っていた事だろう。
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by cemeteryprime | 2015-10-05 21:10 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】海外ドラマいろいろ

Netflixで観たドラマの感想群。

SUITS
3シーズン。道を踏み外して腐っていた天才青年マイク・ロスが、マンハッタンでブイブイ言わしている一匹狼の俺様系イケメンエリート弁護士ハービー・スペクターに才能を見込まれ拾われて、もぐりの弁護士として再出発する話。シーズン3のラストでは、元々は正義感の強いハービーが、自分と出会ったことで信念を曲げて色々と不正に関与する事になってしまった事を悔やんでマイクが弁護士を辞める事を決意する。

別にホモォでは無いんだけども、マイクとハービーはホモソーシャルな師弟関係というよりは擬似兄弟みたいな雰囲気に近く、プロットとかもBL臭い。2人とも普通に恋愛は女性としてるんだけども、何だかんだで何故か師弟感の絆が一番強固という。正直海外の腐女子向け作品な気がするが、それは置いといて、単純にサクセス物語としても、職場系ドラマとしても面白い。基本的にハービーが上司として神すぎて凄い。

ザ・フォロイング
1シーズン。猟奇殺人犯が脱走して、彼を捕まえた元捜査官が協力を要請されるとうありふれたプロット。だけども、刑務所内からいつの間にか殺人鬼集団からなるカルトを形成していてて警官とか武装組織とかまで仲間に引き入れていたというエクストリーム展開をみせる。サイコホラーとしてはボンクラなんだけど、展開がエスカレートしまくって面白い。殺人鬼養成の為の軍事訓練キャンプまであって、何する気なんだよこいつら…からの、割とショボいオチ。

マルコ・ポーロ
1シーズン。マルコ・ポーロが武当派の道士に修業を付けてもらって、フビライの襄陽攻略戦に突撃部隊として突っ込んで、蟷螂拳を使う宰相の賈似道とバトルするという…割と神がかった内容。歴史ドラマとして頑張っているだけに留まらず、謎の中華エンタメ要素も盛り込んでいるので大正義感がある。

ナルコス
1シーズン。実在したコロンビアの麻薬王、パブロ・エスコバルの半生を描いた伝記ドラマ。エスコバル自体が色々と面白い伝説の人なので、麻薬王凄すぎない?&怖すぎない?って感じで楽しいドラマ。議員になったり、国相手にテロ攻撃しまくって内戦仕掛けたり色々してくれる。

ヘムロック・グローヴ
1シーズンまで。オカルトホラー系のミステリー。ロマで狼男の主人公が街に引っ越してきて以来、街で大型獣による猟奇殺人が発生しはじめ、思いっきり疑われるので、同じくはぐれもので友達いない街一番の金持ちで吸血鬼の血を引いている男と犯人を探すという話。ティーン向けの吸血鬼ホモォドラマの系譜と思われるが、別にホモォでも無く、いまいちリアリティラインが分かり難くてミステリーでも無く、フワフワした話が続くので面白くは無い。何がしたいのかイマイチ判らない雰囲気ドラマ。

イケメンではぐれものな主人公2名に優しくされる地味子枠が、お約束の様に存在するんだけど、不細工を通り越して本物の奇形(リアルに怪物)のフリークという辺りがぶっ飛んでいる。ちなみに、主人公2名は結局何にも活躍しないばかりか事件の犯人である狼人間にあっさりボコられて死にかけるんだけど、このフリークスちゃんが突入して一撃で殺害して助けてくれるという。フリークスちゃんが、一番キモくて人間離れしているんだけど、性格的に一番可愛いという色々と謎なドラマ。
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by cemeteryprime | 2015-10-01 17:42 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】スパルタカス

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概要
ローマの敵として恐れられた、奴隷叛乱の指導者スパルタカスの活躍を描いたドラマ。全3シーズン+番外編。

ドラマシリーズというだけあって、スパルタクス個人の英雄譚に留まらず、クリクススや、オエノマウス、ガンニクスといったスパルタクスと一緒に戦った他の指導者たちにもフューチャーしていているのが熱い。そういう意味では、水滸伝的な要素が強い。

あらすじ
第一部はスパルタカスが奴隷になった所から叛旗を起こすところまで。奴隷として剣闘士養成所に買い取られ、剣闘士と時に対立したりもしながら信頼を勝ち取っていく様が熱い。養成所での日常は、基本的にプロレス団体的な雰囲気。スポ根的な要素もあったりする。

番外編は第一部のラストでぶち殺される、剣闘士養成所のオーナーのバティアトゥスを主人公にした前日譚。同時にクリクススや、オエノマウス、ガンニクスのオリジンパートでもある。剣闘士として自由を勝ち取った伝説の男、ガンニクスが糞格好いい。

第2部は、スパルタカスの元上官でスパルタカスと彼の妻を奴隷にした張本人である宿敵グラベルをブチ殺すまで。処刑ショーに乱入して闘技場を炎上させたりと、第1部までのしがらみや因縁をことごとく破壊していくパート。ガンニクスの加入イベントもあったする。

第3部ではローマからクラッススとカエサルという最強のライバルが送り込まれてくる。明らかに将軍として強敵な2名の登場で、一気に戦記物としての様相を呈し、加速度的に面白くなっていく。ここでは、指揮官としてのスパルタクスの戦いが描かれる。個人的にはこのパートが一番好き。街を征服したり、物資の補給を考えたり、ローマ軍と全面衝突したりして作戦が飛び交うのが熱い。

作品
強烈なセックス&バイオレンス描写が作品全体の色になっている。ファック!斬首!といったバイオレンスなシーンを一種のサービスシーンとして挿入している作品は珍しくも無いが、この作品の場合はフリチン、乱交、スプラッターが割と日常パートレベルで展開されている。みんなが求める古代ローマ的な野蛮さを完全に日常描写にしてしまっているのが結構凄い。出てくるキャラはほぼ全員が全裸でファックしてるレベルだし、ゴア表現も血糊をバケツでぶちまける感じで過剰気味だ。映画以上に攻めている感じで、こういう作品が生まれる土壌になった嫌なら観るなの有料ドラマコンテンツの強みを実感出来る。

バイオレンス描写のインパクトに薄れがちがけども、剣闘士が主役のドラマだけあって、剣闘士の衣装や格闘描写なんかも造りこまれていて面白い。カタパルトだとか、バリスタなんかを使った戦争描写も結構力が入っていて嬉しい。
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by cemeteryprime | 2015-09-27 10:53 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】アントマン

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作品
マーベル・シネマティック・ユニバース作品の新作映画。ファミリー向けのほのぼのギャグといったテイストで、他のマーベル映画と比べてもかなりの脱力系。

あらすじ
かつて物体を縮小化させる特殊な粒子を発明した天才科学者のハンク・ピム博士は、その技術を活かして体を小さくする特殊スーツを開発した。ピム博士はスーツをまといアントマンとして妻と共に政府に協力し、冷戦中に秘密作戦に関わっていた。しかし、作戦中に妻を失い引退。引退と共に博士は悪用される事を恐れ、ピム粒子の技術を封印した。

そして現代。博士の元弟子ダレン・クロスによって再びピム粒子の技術が蘇ろうとしていた。ダレン・クロスはその研究を軍事技術として売却しようとしているのだった。ピム博士は、ダレン・クロスの研究所からピム粒子に関する研究データを葬り去る為に、最新のハイテク施設に侵入した経緯を持った一人の元犯罪者に目を付ける。その男の名前は、スコット・ラング。この映画の主人公である。

ストーリー
結構ツッコミ所が満載。物体を縮小したり、巨大化したりする夢の粒子という無茶なピム粒子の設定が、どうしてもシリアスに扱いづらいというのは判るんだが、開き直ってストーリー面の説得力の構築を放棄している印象があり若干残念。コメディテイストなのは良いんだが、ストーリー展開までとりあえず笑えれば良いだろみたいになって雑になるのは如何な物か。

まぁ観てて楽しいけど、真面目に考察したり考えさせられたりする物はあまり無い。そんな作品。

MCU関連
他作品との絡みでは、アベンジャーズ2のラストで登場したアベンジャーズ基地が登場。ファルコンが登場して、アントマンと対決してくれる。

エンディング後のオマケ映像では、キャップとウィンター・ソルジャーとファルコンが登場。助っ人としてアントマンを呼ぼうとファルコンが提案する場面があるので、キャプテンアメリカ3:シビルウォーあたりで、もしかしたらアントマンが登場するのかもしれない。
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by cemeteryprime | 2015-09-26 15:06 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】ブレイキング・バッド

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あらすじ
肺ガンが発覚し余命僅かと宣告された冴えない高校の化学教師ウォルター・ホワイト(50)は、ひょんな事から元教え子の不良ジェシー・ピンクマンが粗悪なメタンフェタミン(覚醒剤)を製造している事を知る。DEA(麻薬取締局)に勤務する義弟ハンクの話でメタンフェタミンの製造が大金になると知ったウォルターは死を目前にした自暴自棄と家族に大金を残したいという思いからメタンフェタミンの密造に手を出す事を思いつく。元々優秀な研究員で結晶学が専門だったウォルターには高純度のメタンフェタミンを精製する自信があったのだ。かくして、ウォルターはDQNなジェシーを相棒に犯罪者としての道を突き進んでいく。

ドラマ
このシリーズは基本的には海外ドラマ特有の人気が続く限り延々と続くスタイルを取っているので、1シーズン毎での完結感は薄いし、1話毎の完結感も薄い。ストーリー自体もシンプルで、犯罪に手を出したウォルターが自業自得で滅びるまでの話だ。いつ家族にバレるのか、慣れない犯罪で上手く立ち回れるか、それだけである。が、その分を魅力的なキャラクターと展開されるドラマの面白さでカバーしている。結果的に、面白いのと良い区切りが無いのとでズルズルと続きを見続ける形なってしまう。気付いたら全5シーズンを一気に観てしまっていた。つまり、そのくらい面白いという事だ。

テーマ
このドラマは犯罪者が主人公ではあるが、カタルシスを生む様なピカレスク物では無く、犯罪が主人公やその周辺の人間たちの人生を蝕んでいく様子を描いた救いの無い話だ。ただ笑えるくらいに物事は上手く行かず、不幸に翻弄される様子がブラックユーモアに満ちている。

犯罪に関する描写は割とシリアスで、主人公の作ったドラッグの被害の様子も結構深刻に描かれるているのが気に入っている。

単純な善悪を描いていないのもこのドラマの良い所だ。人を騙し、裏切り、殺害するといった悪事の代償が描かれている。海外ドラマだと、大切な相手を守るために嘘を付きそのせいで逆に相手から信用を失ってしまうといったテーマが頻出するが、このドラマの場合はそれに加えて嘘が常態化していき人格が歪んでいく様子まで描いている。加害者と被害者の両方に及ぼされる影響を描いている点で面白い。

主人公
主人公のウォルターは、最初はパッとしない温厚で平凡な市民なのだが、シーズン終盤では最も陰険で邪悪な犯罪者へと変貌する。

ウォルターはもともと大きな研究所に勤務する研究員だった。が、その後ベンチャー企業の立ち上げに関わり、人間関係のトラブルから離脱してしまい、地元の高校の化学教師に収まってしまった。彼が立ち上げに関わったベンチャー企業はその後、巨大企業に成長した。一方で、彼は能力を十分に活かせない上に低収入な地元高校の教師として人生を終えようとしている。そんな境遇で、超高純度のメタンフェタミン製造というウォルターにしか出来ない上に大金を稼げる仕事に出会うのだ。これによって過去の人生における挫折感に押さえつけられていたエゴが暴走する。

もし自分の特技を活かした、自分にしか出来ず、大金を稼げる仕事が存在するのであれば、その仕事が法律で規制されているからという理由だけで簡単に放棄出来るだろうか。強烈にエゴを満たす仕事である。ウォルターの場合は、それに加えて家族のために金を残したいという免罪符もあった。ウォルターが金を稼ぐというより、そのエゴを強烈に満たす仕事そのものに執着しているという状況はシーズンが進むに連れて露骨になっていく。最後には家族よりもそれを優先してしまい、家族全員から憎まれる事になる。

ウォルターの場合は、良い父親として夫としてリーダーとして他人から賞賛されたいというエゴも存在するのだが、エゴが肥大化しており自分勝手な為に無理やり支配するしか出来ない所がリアルだ。ボスとして振る舞いたがる割に全くボスとしての適正が無くて単なるDV親父にしかなれない主人公は悲しくも面白い。

登場人物
主人公以外のキャラクターも基本的に単純な善人や悪人は登場せず、魅力的な人物が多い。作中に登場するおもしろ悪徳弁護士おじさんのソウル・グッドマンなんかは、Netflixのオリジナルドラマでスピンオフ作品がリリースされている。みな、何処かしら二面性を持っている。シンプルに好感を持てるキャラは居ないが、どこかしら既視感を覚える欠陥を持っていて妙な親近感がある。ストーリー的な部分ではそんな無茶なという展開もあるのだが、キャラ造型という点ではこのドラマは圧倒的に面白い。
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by cemeteryprime | 2015-09-14 12:46 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】デアデビル(シーズン1)

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舞台はニューヨーク、ヘルズキッチン地区。多分アベンジャーズ1の戦闘が原因で街が半壊している。マーベル・シネマティック・ユニバースとの関連は今のところその程度だが、一応関連作品らしい。

ストーリー
デアデビルは、超人的な感覚を持った盲目のクライムファイターだ。昼は弁護士をしていて、夜はコスチュームで街の犯罪と戦う。シーズン1ではデアデビルが誕生するまでが描かれる。おなじみの赤いコスチュームは13話目にして登場する。それまでは、名も無き黒覆面の男として活動している。

宿敵であるウィルソン・フィスク(キングピン)との因縁や、盲目の戦士であり武術の師匠であるスティックとの過去、弁護士事務所の仲間達とのドラマが1シーズンを通して丁寧に描かれている。ヒーローの誕生譚というのは、結構盛り上がる部分である。バットマンでも言えばコウモリスーツを開発する以前の危なっかしい新人ビジランテ時代の話は、ビギンズなんかで映像化されたが、デアデビルはその部分を全13話でやってくれているのである。面白くない訳がない。

作風
デアデビルはクライムファイター物である。少なくともシーズン1にはコスチュームを着たスーパーヴィランは登場しない(ヤクザ忍者とは出て来たが)。対決する敵は街に巣食うマフィアやギャングなどの組織犯罪である。絵面的には特殊なガジェットを一切持たないバットマンという感じだ。シーズン1では、特殊なコスチュームとかも持っておらずスポーツウェアみたいな物しか着てないので、常にボコボコになりながら戦っている。普通の犯罪組織と戦う上ではバランスがとれていて良いというレベル。

ドラマ
主人公はデアデビルことマット・マードックなのだが、ストーリーの軸としては宿敵のウィルソン・フィスクももう一人の主人公として機能している。二人の志は共に自分が生まれた街であるヘルズキッチンを再興することだが、方向性が真逆という構図だ。デアデビルは住人を犯罪から守る方向性で戦い、ウィルソン・フィスクは街を犯罪で牛耳り、強引な再開発によって復興させようとしている。

ウィルソン・フィスクのドラマが結構秀逸で、外道でサイコな悪役なのだが、様々な悲劇に見舞われ打ちのめされながらも奮闘する様子が描かれるので、つい応援したくなる。コミックや映画版のデアデビルでも、ウィルソン・フィスクは怪物じみた巨漢で非情な大ボスという感じだったので、メンタルが揺らぎまくるドラマ版での描写は結構新鮮だった。ちなみに、演じているのはヴィンセント・ドノフィリオという俳優でフルメタル・ジャケットの微笑みデブである。この人の情緒不安定なキャラ演技が実に良い。

最近の海外ドラマでは、ブレイキング・バッドを皮切りに主人公が目的の為には犯罪にも手を染める悪人というタイプのドラマが流行っているらしいので、そういう要素をキングピンに盛り込んでいるのかなと思う。キングピン以外にも、悪人主人公特有のふとしたことから秘密を抱えてしまい、大切な人に嘘を重ねてしまって泥沼化するドラマがちょこちょこと盛り込まれる。デアデビルも仲間に嘘を重ねたせいで関係性がこじれて犯罪と戦うどころでは無くなっていたりするのが面白い。
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by cemeteryprime | 2015-09-07 10:06 | 作品・感想 | Comments(0)

【小説感想】特等添乗員αの難事件

特等添乗員αの難事件I (角川文庫)

松岡 圭祐 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

スコア:


スピンオフ
 特等添乗員αとは、万能鑑定士Qの事件簿シリーズ全12巻の後に万能鑑定士Qの推理劇シリーズと平行して出版されていた別主人公のシリーズである。この2作品はちょくちょくクロスオーバーしているので、推理劇シリーズを読むならこちらも一緒に読んでおくとより面白い感じ。

コンセプト
 万能鑑定士Qシリーズの主人公、凜田莉子が論理的思考を武器とするのに対して、特等添乗員αの主人公、浅倉絢奈が武器にするのは水平思考(ラテラル・シンキング)だ。垂直思考(論理的思考)と水平思考という感じでこの二人は対になっている。このコンセプトがなかなか良くて、ハッキリと両者に得手不得手が存在する形になるので、結果的に主人公の超人化に歯止めが掛かるという効果を生んでいる。

あらすじ
 主人公の浅倉絢奈は中卒のお馬鹿なニートであったが、派遣添乗員試験の面接会場でたまたま知り合った観光庁の若きエリート壱条に、そのラテラルシンキングの才能を見出される。試験は馬鹿すぎて余裕で不合格だった浅倉だが、壱条家に支える使用人で彼の家庭教師でもあった能登の下で一般教養とラテラルシンキングを指導される。

 壱条の様な官僚には論理的思考が求められ、トラブルに直接対応する現場の人間にはラテラルシンキングの才能こそが求められると考える壱条にとって、浅倉は最高のパートナーであった。こうして最強のトラブルシューターとなった浅倉絢奈は人気の派遣添乗員として仕事先や壱条の依頼で遭遇した様々な事件を解決していく。みたいな話。

水平思考
 確実に物証を抑えながら根拠ある道筋をたどって真実に行き着く凜田莉子のスタイルとは異なり、浅倉絢奈の場合はラテラル・シンキングなので速攻で真相に到達するのだが根拠も物証も無い。なので、毎回詐欺師的な手口で逆に敵を罠に嵌めて自爆させる手法をとる。なので、同じく詐欺事件を扱った人の死なないミステリーなのだが、万能鑑定士Qと結構テイストは異なっている。

キャラクター
 ラテラル・シンキングは、主人公の武器であり属性でもある。基本的には作中では水平思考とは、人の裏をかくような詐欺師向きの才能として扱われている。主人公の場合は、そうしたチート的というか詐欺師的な思考回路が身についてしまっている事に引け目を感じつつも、才能を受け入れ、正義の心で水平思考を詐欺師バスター的な方向に活かすという話になっている。

 浅倉絢奈の場合は、優秀で美人なキャビンアテンダントの姉がおり、姉ばかりが評価される家で育った為に、とにかく姉や家族から否定されたくないという勝負から逃げる方向に特化して思考回路が成長し、結果的に自然と水平思考を行う人格と化したという設定。そのせいで、まともな論理的思考能力が育たず、一休さんのトンチみたいな物でお茶を濁すので家族からも人格に難があると思われいてニート状態でも已む無しと放置されていたという…。

 ちなみに水平思考な部分以外は、万能鑑定士Qの凜田莉子も添乗員の勉強をしていたこともあって思いっきり知識が被っていたりしている。

シリーズ
 今のところは5巻まで出ていて、多分これ以上は続きは出ない気もする。面白いのは間違い無いが、主人公のキャラ的にも万能鑑定士Qありきな感じなので、基本的にはそちらを優先的に読んでおいたほうが良い。このシリーズ単体で読むのはちょっと勿体無い感じ。
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by cemeteryprime | 2015-08-31 16:19 | 作品・感想 | Comments(0)

【小説感想】万能鑑定士Qの事件簿

遂に12巻まで読み終えた。
 1巻と2巻が同時発売されたのが約5年前。当時、千里眼シリーズなどで松岡圭祐作品のファンだった私は速攻で購入したのだが、あまりの作風の変化と期待はずれな内容にディスりまくった記憶がある。ボリューム満点の娯楽エンタメ作品な作風から急に軽量級のライトノベルに変わっていたからだ。

 その後、しばらく糞作品認定していたのでこのシリーズは一切購入していなかったのだが、『探偵の探偵』を読んだのがキッカケでまた松岡圭祐作品を読みたくなったので続きを購入してみた。

 すると…なんと面白いではないか。あまりにもダークで少し辟易してしまう『探偵の探偵』の反動という面もあるかもしれないが、どこまでのライトでサクッと読めてしまうこのシリーズの魅力に気付くことが出来たのである。

作品概要
 万能鑑定士Qとは、主人公が経営するお店の名前である。主人公はまだ若い女性なのだが、高度な記憶術と論理的思考法を習得しており、あらゆるジャンルの物をその場で識別するのである。幾らかは名探偵的な博覧強記によるものだが、あくまで推理力を駆使する部分がミステリーの主人公らしい部分である。万能鑑定士というのはあくまで、屋号で資格などは持っていない。美術品から日用品、毒キノコの分類まで広範囲にカバーしているのである。

 このシリーズのセールスポイントは人の死なないミステリーだ。ただしありふれた日常的ミステリーを扱ったものでは無く、毎回異常でガッツリと世間を震撼させる詐欺事件と対決する話になっている辺りは松岡圭祐作品らしいサービス精神といった所だろうか。名探偵の行く所に殺人事件ありでは無いが、万能鑑定士の行く所に詐欺事件ありなのである。詐欺事件は割とありふれているのでそんなに不自然では無いかもしれない。

魅力
 このシリーズの一番の魅力は、何と言っても短時間で読める点だ。人がコンテンツを読んでいる際に感じる面白さというのは、時間辺りの物である。振り返るととても面白く心に残る作品であっても、読んでいる時は退屈を感じてしまう作品というのは存在する。それは主に消費時間が長すぎるという問題である。時間辺りに換算すると、面白さの密度がグッと低下しているのである。

 このシリーズはページ数もそんなに分厚く無く、構成的にも基本的に読みやすい。個人差はあるかもしれないが、推定所要時間は1時間くらいといった所だろうか。1冊の値段も税込みで550円程度と青年誌漫画と近い価格帯で、1冊毎で完結しているのもポイントである。同じ価格で、きちんと完結している方が満足度は高いし、小説なのでストーリー分量も多い。

 これは作風的な部分でもあるのが、トリビア的な要素が詰まっているので、ストーリーはライトなのだが情報量的にはそこそこボリュームを感じるというのもポイントだ。ストーリーがライトでドラマ性が薄くても、ミステリーの骨格を持っているのでグングン読み進められる点も良い。通勤や通学時間が片道30分もあれば毎日1冊購入していける感じなので、コンテンツ商品としてかなり上手く設計されている様に感じる。

印象の変化
 1巻+2巻を読んだ時と、ガラリと印象が変わったのは単に性格の変化なのだろうかと、改めて読みなおしてみた。すると、1巻と2巻は前後篇の分冊であり、ストーリーテリングの手法としても時系列を前後させたりのギミックが目立った。1話完結で読みやすいストーリーテリングという、ポイントが機能していないのである。もちろん、内容的には面白くないという事は決して無いのだが、その後に形成されたフォーマットと比べるとライトなコンテンツ商品としての完成度は低かったという印象である。

 過去のディスりまくった記事についてはアドレスを貼っておく。
http://rexmundi.exblog.jp/14062618/

 過去記事で指摘している様に、ドラマ性やキャラ性は正直薄い。のだが、シリーズ物として連作なのでそのあたりは読み進めていくと徐々に補完はされていく。これからは読み始める人は、まずは1巻と2巻をまとめ買いして、その後は3冊づつくらいまとめ買いしていく事をオススメする。本当にすぐに読めちゃうからだ。
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by cemeteryprime | 2015-08-26 11:57 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】探偵の探偵 (第1話~第6話)

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録り溜めしていたドラマ版の『探偵の探偵』をまとめて消化した。原作は松岡圭佑の小説、『探偵の探偵Ⅰ~Ⅲ』(講談社文庫)。正直、ネットでは視聴率が低迷している事くらいしか話題になっていなかったので、大した期待もせず今まで視聴を後回しにしていたのだが、実際に観てみるとかなり面白い。

あらすじ
主人公の紗崎玲奈は、妹を性犯罪者の前科者のストーカーに狙われた。警察にも相談し、妹は遠い親戚の元へと預けられる。しかし、ストーカーはもぐりの探偵を使って妹の位置を割り出し、妹を誘拐。無理心中を図りまんまと殺害されてしまった。邪悪なストーカーに手を貸した探偵は素性すら掴めず、罪にも問われなかった。紗崎玲奈はこの探偵に復讐する為に、自ら探偵となり犯罪者に手を貸す探偵と戦う事を決意する。復讐に燃える危険な紗崎玲奈を引き受けた探偵の須磨は、玲奈を対探偵課という悪徳同業者を告発する部署で働かせる事で完全に社会から逸脱した犯罪者になることに歯止めを掛けようとするが…。みたいな話。

探偵観
現代において特定個人の情報を入手するには非合法な手段無しでは成立しない。この作品に登場する探偵は大なり小なり違法行為に手を染める人間たちなのである。探られると痛い腹しか持っていない探偵たちは、警察の介入を嫌うので探偵同士のトラブルは完全にイリーガルな世界で処理される。被害にあっても警察に駆け込めない人種なのだ。基本的に主人公も含め逮捕されるだけの証拠さえ残さなければ、何をやっても問題ないと考える連中なのだ。探偵の中には、そもそも看板を出していない連中も多い。妻に逃げられたDV夫や、ストーカーや、詐欺師などの犯罪者相手に、個人情報収集能力を金で売る人間は看板を掲げない方が都合が良いのである。主人公の紗崎玲奈が戦うのはこうした犯罪者相手に商売を行う悪徳探偵たちである。

ジャンル
ハッキリ言って、バットマンやパニッシャーの系譜に連なると言っても良いクライムファイター作品だ。警察の捜査が及ばない犯罪を違法な手段で捜査し、容赦なく私刑を加える。

アメコミのビジランテたちは、フードで正体を隠すことでビジランテとして成立しているが、この作品の場合は探偵としての知識と技術を活かして、逮捕されるだけの証拠を残さない事でビジランテ活動を成立させている。警察も主人公の法律を無視した違法な活動に気付いてはいるが、証拠が残っていないのである。なにせ被害者側の悪徳探偵も、警察には絶対に泣きつかないので事件化しないのだ。主人公は探偵業界では嫌われ者であり、多くの悪徳探偵の恨みを買って命も狙われている。

見どころ
この作品に登場する警察は無能では無いが、探偵たちは平気で住居侵入や窃盗などの違法な捜査手段を駆使出来るという点で幾らかのアドバンテージを持っている。探偵物なのだが、所謂名探偵的な探偵は登場しない。基本的に情報収集に長けた犯罪者である。主人公もどちらかと言えばジェフリー・ディーヴァー作品に登場する様なプロの殺し屋に近い。

基本的に主人公は悪徳探偵への復讐心で行動するクライムファイターなので、警察に突き出してお終いなんて事は無い。バイオレンスな制裁が伴う。鉄パイプで頭を殴打くらいは序の口で、拷問を加えたり、即席で釘爆弾を作成して使用したこともある。TVドラマの主人公としては近年まれに見る凶悪さでは無かろうか。暴力の基準は死ななきゃセーフくらいの感じである。あと、主人公が女性なので女の悪人に対しても全く容赦が無い。ただ、その分敵の攻撃も容赦は無くて、基本的に主人公は女性なのでフィジカル的にはそこまで強くは無い。

ドラマ化の是非
元々、原作小説が犯罪&バイオレンスで実写化向きな内容だったというのもあるのだが、それ以上にかなり制作スタッフが頑張っている印象だ。視聴率的に成功しているかどうかは知らないが、ドラマ化としてのクオリティという意味ではかなり高水準だと感じる。

まず第一にキャスティングが、かなり良い。主役である紗崎玲奈役の北川景子と峰森琴葉役の川口春奈のコンビが凄くキャラにハマっているのに加えて、脇役も、敵役もほぼ全てがツボを押さえたキャスティング。単に人気タレントを出しましたとか、大物俳優だしてみましたみたいな要素は今のところ皆無。ユースケサンタマリア演じる限りなくムカつく外道探偵とか、高岡早紀演じる糞みたいな女医とか、ぶん殴りたくなる感じの悪役勢が最高。まぁ、実際にぶん殴られるんだけども。

シナリオ改変
原作は松岡圭祐作品の中でも極端にバイオレンス要素が強い感じで、陰鬱なオーラがエンタメ性を阻害している印象すらあって個人的にはイマイチ好きじゃない。ドラマ版は、バイオレンスの要素が強いクライムファイター物という原作のテイストを残しつつも、もうちょっと大衆エンタメ路線に寄せている感じの改変をしていて、どちらかと言えばこっちの方が好き。原作改変というと、変な設定ねじ込んだり、キャラ設定を大幅に変えちゃったりという物が多い中、エンタメとしての路線をTVドラマ向きに上手く調整している感じで、脚本の人が結構良い仕事してるなと感じた。

あと、原作だと割とダーク一辺倒なのであまりテンポが良いとは言いがたいんだけど、TV版はちょっとコミカル寄りな場面も作って上手くⅠ時間ドラマのメリハリを作ることに成功している。シナリオのテンポが良いので、6話分をまとめて観たけど全く苦にならなかった。1時間ドラマって、ザッピングとか、何かをしながら観るのとかを前提にして意図的に緩い作りになっている物が多い中、このドラマの作りはなかなかガチだと言える。単純なエンターテイメント性で言えばむしろ良くなっている印象すらある。

キャラ改変
主役2名のキャラクターも大衆エンタメ向けにするという路線において、なかなか適切な改変が施されている。一番大きいのは、峰森琴葉の扱いだろうか。琴葉が殺された玲奈の妹、咲良の親友だったという設定になっている。原作では単に琴葉は死んだ妹と年齢が近くて妹に相手を重ねてしまう程度の弱い関係性で、それを百合要素で補強していたのだが、この改変で原作以上に二人の関係性が因縁レベルで強化されている上に、宿敵である死神が二人にとっての共通の敵として機能する構図になっている。結果として、琴葉はもう一人の主役にランクアップしており、玲奈のバディとしての存在感も増しているのである。

二人の年齢設定が高めになったのも良い改変ポイントで、二人とも若さゆえの不安定感みたいな要素は払拭されている。琴葉もまだまだ未熟ながらも、単なる玲奈への依存心では無く自分が支えねばというハッキリとした大人としての意志を感じさせるキャラになっており、キャラとしての魅力は上昇している様に思える。玲奈の方も、演じている北川景子の効果もあってカッコイイお姉様感が増しており、あくまでボロボロになりながら戦うヒロインだった原作と比較して、戦う女主人公へと成長している。琴葉はバディ枠であり、ヒロイン枠も兼ねている。女主人公としての玲奈のキャラ造型はなかなか見事で、主人公としての格好良さに加えてきちんと女性としての弱さや優しさも描写されている。一方の琴葉を演じている川口春奈は、姉を支える健気な妹キャラが良く似合っていて、コンビとしての完成度がなかなか高い。

以上。とにかく面白いので、今からでも観て損は無いはず。
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by cemeteryprime | 2015-08-17 21:48 | 作品・感想 | Comments(0)

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