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【ドラマ感想】アイアンフィスト

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主人公のダニー・ランドは、10歳くらいの時に、乗っていた飛行機がヒマラヤで墜落。両親を失うも、運良く助かった彼は、付近に修道院を持っていたカルト教団に拾われ、15年間をそこで過ごした。やがてカルト教団の名誉ある警備員となったダニーだったが、ある日、故郷が恋しくなり、教団から逃亡する。

これは、カルト教団で15年に渡って洗脳を受けて育った為に、身体は大人、頭脳は子供となった哀れな青年ダニー・ランドが、ニューヨークに帰郷して巻き起こすドタバタ劇である。

なので、アイアンフィストというヒーローが活躍する話では全然なくて、それを期待して観ていると凄いイラつくんだよね。ダニーというある意味、カルト教団による洗脳教育の被害者の話だという前提が無いと観ていてキツい。主人公が、犯罪と闘うヒーローというより、犯罪の被害者であるというパターンは、ジェシカ・ジョーンズでも観られたモチーフである。ただ、ジェシカ・ジョーンズが、パープルマンに打ちのめされ、恐怖しながらも、最後には立ち向かいぶち殺したのに対して、アイアンフィストの場合は洗脳していた教団に対して別に立ち向かう訳でもないし、割と可哀想な人として周囲からも大目にみられるばかりで、カタルシスが無い。

個人的には、ダニーよりも、嫌な奴だけどめちゃくちゃ不幸で苦しんでいるウォード・ミーチャムの話の方がよっぽど面白いし、もっと見たい感じ。

アクションの面においても、カンフーはするんだけど、そこまで強くないという点が観ていてなんだかなーなポイント。能力も、滅茶苦茶集中すると拳にエネルギーを溜められるというだけなので、殆ど使えないに等しいという。大怪我したり、薬を盛られたりすると、直ぐに使えなくなるし、そもそも健康な時でさえ、ウルトラマンにおけるスぺシウム光線の方がまだ使用頻度高いんじゃないのというレベル。アイアンフィストの力が、ダニーの妄想じゃなかったという、証明くらいにしか役に立っていない感じ。

15年も修行しかしてなかった割に、糞雑魚なのも、観ていてがっかりするポイント。子供の頃から洗脳されていて馬鹿なのは仕方ないとして、戦闘力までその程度ってなんやねんと。

似たような設定(海難事故で死んだと思われていたが、5年後に修行して戦士になって帰って来た大企業社長の息子の話)から始まるアローの場合、武術の達人として帰って来た部分に凄い説得力があったので、その時点で熱かったんだけど(ムッキムキだし、役者の運動能力凄いし)、ダニーの場合はどうみても草食系男子って感じでヒョロヒョロだし、カンフーもそこまで強くないわで、微妙すぎるんだよな。とにかく恰好良く無いんだよ。

ネタバレになるが、最後の取って付けたような、ダヴォスの裏切りも、ドクターストレンジにおけるモルドの唐突な逆切れ闇堕ちみたいな感じで残念。




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by cemeteryprime | 2017-03-20 18:42 | 作品・感想 | Comments(0)

【雑記】オカルトについてのあれこれ

『悪霊にさいなまれる世界』を読んでの、オカルトについてのあれこれ。

人間とオカルト

そもそも人は事実よりも、信じたいものを信じる傾向が強い。それ故に、分かりやすい話、面白い話、手軽さに流されやすい。

基本的に真実は、見極めるのが困難である。苦労して、分かり難く、面白くもない、科学的事実を追求しようとする人間は、はっきり言ってマイノリティである。大多数の人間はオカルトや、オカルトと言えないまでもインチキに飛びつくというのが、真実である。オカルトは、そうした人間の心のニーズに応える形で発生する。

つまり、オカルトはより自然で、科学は人間にとって不自然なのである。オカルトは非日常的な存在ではなく、むしろ日常的で人間に寄り添った言説なのだ。ただ、一般的にこうした事実は正しく認識されていない。人はオカルトをオカルトとも思わず認識しているというのが実情である。

冒頭に挙げた、人がオカルトに流される理由以外にも、科学的に正しい認識から人を遠ざける原因はある。そもそも、人間は生理的に誤認を起こしやすいという問題がある。記憶も簡単に書き換わってしまうし、見間違い、聞き間違い、幻覚といった現象もそれほど珍しくは無い。嘘を信じやすい上に、嘘を体験しやすいのである。

反オカルトとしての科学(的思考)

とはいえ、オカルトと科学、より人間的であるのはどちらかと言えば、もちろん科学である。科学的思考や科学知識の集積は人間特有の能力である。オカルトは人間的というよりは、本能的とか動物的という表現が近い。

オカルトに騙されたり、嘘を信じてしまわない為には、批評的な思考が重要になる。しかし、常日頃から批評的な思考をするのは疲れるので非常に困難である。それ故に、科学的思考は訓練によって初めて身につくものであると言える。科学知識をいくら暗記しても、科学的思考が身に付いていなければ、簡単にオカルトに流されるという事実も忘れてはいけない点である。

それ故にオカルトは文化レベルに関係なく蔓延るという点も重要である。ジャングルで暮らす原住民であっても、生命維持に直結する狩猟などについては、長年の経験から培われた高度な科学知識と科学的思考を駆使する。むしろ、命に直結する問題が少ないという点では文化レベルの高い都市の方が、オカルトが蔓延する土壌があるとも言える。

癒しとしてのオカルト

オカルトが一番侵入しやすい領域は、勿論人の心に関する領域である。宗教なんかがその際たる例で、科学的には嘘の塊であり、言ってみればオカルトである。

科学的真実は、単に事実と自然の法則を説明する為の物であって、人の心を癒す物では無いのである。人の心に科学的にアプローチする手法としては、薬物を使うという手もあるが、オカルトを使った方が遥かに安全で手軽だろう。よく言えば、そもそもオカルトは常に人の心によりそう形でデザインされているのである。

ちなみに、人は自分の過ちの責任を転嫁してくれる話に惹かれやすいという性質がある。自分の問題を棚上げしてくれたり、罪悪感を軽減してくれる様なオカルトは大歓迎だろう。

ただし、こうしたオカルトには、問題解決を先送りするという致命的な危険性がある。科学的思考が目の前の問題を解決する為の技術なら、オカルトは真逆で目の前の問題から目を逸らさせる為の技術である。

オカルトはある意味、鎮痛剤に似ているとも言える。日頃から病気になっても病院に行かずに、何でもかんでも鎮痛剤で誤魔化して済ましていた場合、深刻な病気になっていても発見が遅れて致命的な結果を招きかねない。

世の中には、目を逸らしても良いレベルの比較的どうでも良い問題と、目を逸らすと致命的な問題が存在する。日常からオカルト思考に慣れきってしまうと、後者のケースにおいて危険な事態に陥るのである。先にも述べた通り、科学的思考は訓練しないと身に付けなければいけないものなので、重要なケースにおいてのみ都合よく科学的思考を働かせるというのは無理な話なのである。

悪魔崇拝カルトに関するオカルト

唐突な話になるが、アメリカ人が大好きな邪悪な悪魔崇拝カルトという物は実は存在自体がオカルトであるらしい。というのも、これは敵は邪悪であってほしいという保守的なキリスト教団体の願望から生まれた言説らしいのだ。

要は、外道な悪魔崇拝者が存在して、陰謀を巡らせている。だからもっと信仰を強く持って、非キリスト教的な物を排斥しようというキャンペーンの為に生み出された仮想敵なのである。

面白い事実として、悪魔崇拝カルトは人肉を食べ生き血をすするという話があるのだが、そもそもキリスト教自体、初期はそういうレッテルを張られ、ネガティブキャンペーンを展開されていたらしい。パンはキリスト教の肉であり、ワインは血であるという説教を曲解されたという説があるらしいが、日本における初期キリスト教への偏見においても似たような話は聞いたことがある。つまりは、どこの国においても自分たちの宗教を正当化して敵を攻撃する際に、やつらは悪魔を崇拝して、人間を生贄に捧げ、生き血を飲み、乱交に耽っているという様な、お決まりのネガティブキャンペーンを展開するという話である。

一方で、よく知られている話として、悪魔の名の下に行われた殺人よりも、神の名の下で行われた殺人の方が圧倒的に多いという歴史的な事実がある。戦争規模の話から、残虐な殺人事件や児童虐待など、それこそ悪魔的な犯罪行為を正当化する為に宗教が持ち出される事は割と多いのである。ただし、そもそもの宗教の教義にそうした行為を正当化する様な主旨は無い。あくまで、自分たちの行為を都合よく正当化する為に曲解して持ち出されるのである。

先に説明した、悪魔崇拝カルトに関するオカルトも結局の所は、そういう邪悪な連中を滅ぼす為には、宗教の名の下で何をやっても許されるという、危険な思想を孕んでいるのである。

魔女狩りに関するオカルト

魔女狩りとは、かつては教会が主導して罪の無い人々を魔女として処刑しまくった事件であったと認識されていた。しかし、実態は不安や不満を溜め込んだ民衆が生贄を求めた集団ヒステリーであった。要するに、民衆の側があいつは魔女に違いないので処刑してくれと行政におしかけて、民衆の力に押された行政が教会に押し付けたという構図であった。

似たような所だと、マスコミが加担してとんでもない冤罪事件が発生したり、民衆の圧力に屈して裁判所が判決を変えてしまったり、という光景は別に現代においても珍しいとまでは言えない。こうした現象の背景に、特別に狂った民衆がいた訳でも無いというのが、真に恐ろしい点でもある。単に不安に流されて理性的な思考を放棄した人が多かったというだけである。

ここから言えるのは、恐ろしい事件の背景に魔女や悪魔崇拝カルトは要らないという点だ。

オカルト的な共依存

とはいえ、世の中にはとびっきり狂ったオカルトが登場する事がある。宇宙人に誘拐されて人体実験をされたという話があれば、カタストロフィを実行しようとしたカルト教団もいた。

アメリカでは一時期、セラピストが幼い頃に父親に性的虐待を受けた(と思い込んだ)人間を量産して、誤認逮捕が続出したという事件があった。話がエスカレートして、家族が悪魔崇拝カルトでありその犠牲になったと証言されたケースもあった。

こうした冤罪事件のベースには、自分は可哀想な被害者であるので、もっと注目してほしい、もっと同情してほしい。そういう願望が、生み出した患者の嘘があった。そして、そうした事件を扱えば有名になるのはセラピストも同じで、それ故に患者にそうした記憶を期待したセラピストもいた。その結果、患者とセラピストが無意識にお互いに偽の記憶を期待してしまい、結果として存在しない記憶が量産される事になった。バリエーションとして、宇宙人に誘拐されて性的虐待を伴う人体実験を受けたという話がある。犯人が宇宙人の場合は、身内が逮捕される事もなく、被害者意識と知名度だけが手に入る。

セラピストが偽の記憶を植え込んだ事件の場合、別にセラピストが一方的に偽の記憶を植え込んだというよりは、そもそも何かを期待した患者がいて、その嘘にセラピストが乗っかって助長させてしまい、やがては患者側がセラピストをもっと喜ばせようと、どんどん話の内容をエスカレートさせてしまうという危険な構図があった。

同じ様な事は、カルト教団でも起こり得る。オカルト的な癒しを期待する信者と、オカルトによる癒しを与えようとする教祖がいれば、十二分に常軌を逸したオカルトが誕生する場となり得るのである。

ちなみに大航海時代の話だが、やってきた白人を勝手に神様扱いした原住民が、触れられたり、持ち物を貰っただけで、病気が治療されたという例もある。もちろんその白人たちは単なる船員であり、特別な力など何もない。単に原住民が、一方的に特別な力を期待しただけである。

一方的な期待でも、それくらいの奇跡は起こるのだから(あくまでもプラセボの範囲内だが)、相互依存的な期待であれば可能性は無限大だ。超能力や、もっとクレイジーなオカルトもまかり通ってしまうはずだ。

自分に何の超能力が無いと分かっていても、触れられるだけで病気が治ったという信者が大挙して押し寄せ、あなたを崇拝したらどうなるか。まともな人間なら、むしろいかれた教祖になってしまうはずである。と、考えるならば真にやばいカルトに必要な要素は、ヤバい教祖よりもむしろ、ヤバい信者の方なのかもしれない。教祖の方に必要なのは、信者の期待に応える演技力と、ヤバい信者を集めるマーケティング力なのかもしれない。


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by cemeteryprime | 2017-03-04 23:37 | 雑記 | Comments(0)

【雑記】トンデモ話の文法

『悪霊にさいなまれる世界』に出て来た、冷静に考えれば論理的におかしいトンデモ話の特徴。胡散臭い詭弁の発見にも使えるし、胡散臭い言説を創作する際のテンプレートとしても参考になりそうなので、参考までにピックアップしてみた。


話の内容ではなく、発言者の立場や役職で内容を肯定する。

逆に話の内容ではなく、発言者で内容を否定する。

A=Bは疑うべきではない。Bでなければ、もっと都合の悪い事が起こっているはず。」という言説。

「虚偽だと証明されないものは真実である。」もしくは、「真実だと証明されないものは虚偽である。」

都合の悪い質問に対しての回答が、「あなたはまだそれを真に理解できていないだけである。」

Aを実行する為には、Bをするしかない。Aの原因は、Bである。(最初から結論ありきで、B以外の可能性は検討させない。)

主張したい内容を補強してくれる、都合の良いデータだけを持ち出す。

特殊な母数の抽出…統計的に5人に1人はAだと言われているが、そんなはずはない。私には100人の知り合いがいるが、A1人もいない。

サイコロを振って3回連続で1の目が出た。この次も1が出るに違いない。

Aに対しては常に最悪の事態を想定しなければならないが、Bに対しての科学的予測は無視しても良い。といった、都合の良いケースバイケースの適用。

神は偉大である、故に我が国は栄える。(そもそも前後に脈絡が無い。)

「女が選挙権を得るまでは、核兵器は存在しなかった。」といった形で、事実には違いないが、全く関係の無い事象にさも因果関係がある様にこじつける。

最強の矛が、最強の盾とぶつかったらどうなるか?(そもそも前提が矛盾していて無意味な問いかけ)

真ん中を排除した極端な言説。虚偽の二分法。「これに反対するということは、敵に違いない。」

莫大な財政赤字を抱えているのに、基礎科学を追求したりしている余裕などない。(長期と短期の混同)

一旦そういった事例を認めてしまったら、どんどんエスカレートしてもっと酷い事になるに違いない。(ブレーキの否定)

ABには相関関係がある。したがって、BによってAは引き起こされる。(相関と因果の混同)

ABにあるのは、因果関係では無く、相関関係に過ぎない。という言い逃れ。

Aという連中はみんなBと考えている連中だから信用ならない。(架空の論敵)

事件後に、事件の内容を予言していたという予言者がテレビで放映された。政府は腐りきっているから、革命を起こさなければならない。革命を起こす以上、多少の犠牲はしかたがない。(部分的に正解かもしれないが、不都合な部分が意図的に伏せられている。)

ネガティブな事象に新しい名前を付けて、故意に意味をぼかす。「これは戦争ではなく、紛争解決である。もしくは、権益の防衛である。」


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by cemeteryprime | 2017-03-04 20:27 | 雑記 | Comments(0)

【書籍感想】悪霊にさいなまれる世界

悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

カール セーガン/早川書房

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悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

カール セーガン/早川書房

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どうして人は科学ではなくをオカルトを信じるのか、批判的思考を身に付けるのが如何に重要かという科学の重要性を啓蒙する本。思考停止に近い、科学万歳!みたいな本では無く、オカルトを信じることでどういう弊害が実際に起こっているか、起こって来たかという歴史や、如何にして科学的な思考の重要性を伝えるかという点をきちんと論じている。

オカルトを信じる人をボコる手段として科学を用いるのではなく、オカルトにすがってしまう人の境遇をきちんと考えて、思いやりを持って、相手の問題解決を手助けする姿勢で科学的な思考と手段の重要性を説かねば、相手を科学嫌いにしてしまうだけで啓蒙なんて出来ないという、単なる論破厨への批判は、なるほどなと思った。

あと、キリスト教もふくめ、宗教が大衆のオカルト的思考や、それに基づく愚行を増長させる形で加担してきた歴史を批判しているのも凄いなと。かなりスレスレの所まで踏み込んでいる感じ。

ちなみに上巻はこんな内容。

・パレイドリアについて

・異星人による誘拐について

・政府の隠蔽について

・悪霊と妖精と異星人に関する体験談の類似性

・記憶の改竄されやすさについて

・セラピストと患者の危険な関係について

・存在しない物の証明について

・トンデモ話の見破り方について

下巻はこんな内容

・メディアがトンデモ話に加担してきた歴史

・科学的事実と主義思想の違いについて

・宗教と科学の折り合いについて

・科学者の罪について:エドワード・テラー

・懐疑主義の適切な運用に関して

・科学のすばらしさを広める方法について

・政治と迷信:キリスト教と奴隷制

・無意識に囚われているオカルト的思考について

・基礎科学が軽視されてきた歴史について

・魔女狩りについて

・科学(懐疑主義)と権力の対立について

・人間は同じ過ちを繰り返すという前提について

・アメリカにおける自由の意味について


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by cemeteryprime | 2017-03-04 12:43 | 作品・感想 | Comments(0)

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