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【クトゥルフ神話TRPG/日記】TRPG納会

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昨年の1231日に久々にクトゥルフ神話TRPGで遊べる事になったので、シナリオも新しく作った。その感想と個人的な反省点。勿論、セッション自体は楽しかったです。

シナリオ概要

ほぼ座間事件。犯人は10年前に死後の異世界転生を信じるカルト教団の集団自殺儀式に参加したが、1人だけ死ねなかった男。最近になって本格的に狂気に囚われ、SNSで自殺志願者を集めては、自分なりのやり方で異世界に送るという行為を繰り返すようになった。ちなみにそうした異世界転生カルトは、エドガー・R・ナロウズという作家の描いたSF小説を教典としているので、ナロウズ系カルトと呼ばれている…という設定。

探索者は失踪した女性の家族もしくは恋人というレギュレーション。最終的に女性は犯人の家のクーラーボックスの中でバラバラになった状態で発見される。被害者たちは本当に異世界(ドリームランド)に行ったのか?という謎と、犯人が定期的に被害者たちのバラバラ死体を誰か(グール)に渡していたという2点が、キャンペーン用のフックになってお終い。

失踪した女性の足取りを追うと、実は女性には闇があった明らかになっていき、悪質なスカウトマンと交際していた上に麻薬密売の片棒を担いでいた事や、更には自殺願望まであった事が分かっていく。…みたいな感じで探索パートは『渇き。』と『新宿スワン』みたいな要素が強い。勿論犯人は元スカウトマン。

実際のセッション

探索者は2名。被害者の恋人(製薬会社子会社勤務の研究員)と、被害者の弟(美術部の高校生)。恋人の方はキャラクター背景ランダム決定表を使ってもらった結果、失踪した女性にDVを振るっていた事が判明した。

そのせいで、『ゴーンガール』的な要素もプラスされた。DVを受けているという設定が加わったせいで、失踪した女性には悪い男に惹かれるというキャラ設定が加わって、更にはその父親も若干威圧的なキャラになった。

DVを振るっていた恋人と、彼女の弟という組み合わせのせいで、事件とは関係ない部分で謎の緊張感が発生したが、弟の方はマイペースなおっとりキャラだったので特に衝突は発生しなかった。

最終的に、新たな犠牲者を部屋に招いて殺した犯人のアパートに警官が送り込まれ、犯人は現行犯で暴れて射殺されてしまい、オカルト方面の話は特に掘り下げられず犯人の動機もいまいち不明のまま終わったが、最後は探索者たちは犯人のアパートで絞殺されたばかりの死体を目撃し、クーラーボックスの中にいたバラバラの恋人(&姉)を発見する形にはなった。エピローグとして異世界からの胡散臭いこっちは良い所で元気にやってます的な夢がとって付けられて終了。

プレイヤーには完全にストーリーの主人公を作るつもりで探索者を作ってとお願いしたので、キャラ作成はたっぷり1時間強かけてもらい、プレイ自体は3時間未満という感じ。

反省点

あまりにも超自然的要素が少なかった。夜の繁華街をうろついてドラッグを購入したりだとか、ヤバそうなバーに入って半グレ集団に接触したりだとかで事件性はあったが、ホラーだという分かりやすい演出が無かった。もうちょっと分かりやすい目くばせ的な演出が必要。

あとセッションとして笑いどころはあったが、シナリオとしての笑える要素は少なかったという気もする。シリアス一辺倒だとメリハリが無くてどうしても疲れるので、ギャグ要因となる様なNPCを出しても良かった。

あとフリースタイルなシティシナリオに発生しがちな問題として、プレイヤーが技能を活かせず殆ど説得や言いくるめで突破するという展開に甘んじてしまったのがキーパーとして特に反省しておきたい。使いたい技能があるかを積極的にプレイヤーに聞いていってそれに合わせたイベントを用意するというセッション的な創発性をもっと引き出せれば更に面白くなっていたはずだ。

シナリオの改良点

(地獄の様な)ドリームランドで苦しむ、姉のビジョンが毎晩悪夢として挿入されてもよかったのかなと思う。最終的にストーリー中の経過時間は3日間くらいあった。今回は犯人との会話シーンが発生しなかったが、犯人は姉は天国の様な異世界に行ったと説明するが、ビジョンでは地獄にしか見えなかったみたいな違和感が出せるのと、そもそも失踪に気付いて捜査を開始するきっかけが探索者全員が同じ夢を見た事にすればよりホラー要素のあるシナリオになっていたかなと思える。

感想

楽しかった。あと、やっぱりこう実際にセッションをしてみて初めて練れる部分はあるなという部分を再認識できた。

今回は1名が完全初心者でしかもこれから始めようとルルブまで買っている様子だったので、あまり自分好みに遊び方を勝手にコーディネイトしすぎない様に注意した結果、システムはオーソドックスなままに、シンプルかつストーリーテリング重視な本来のCoCの可能性を引き出せた…様な気もする。

システムを足したり変更したりするのも面白いが、既存のシステムを乗りこなすというのも改めてやると面白い。なので、CoCの可能性追求おじさんとしても満足度は高かった。


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# by cemeteryprime | 2018-01-07 10:06 | TRPG講座・考察 | Comments(0)

【TRPG】RPGと世界観

RPGのシステムやシナリオを考える上で重要な要素とは何だろうか。という点に関して思った事があるので書きまとめてみる。

世界観とキュレーション

RPGにおいて重要なのは世界観である。』…と言うと、漠然とし過ぎている上に当たり前だろ感が強いので、もうちょっと突っ込んで言うと、『RPGが提供しているモノは世界観であり、世界観とはリアリティのバランスと取捨選択である。』という話になる。

ストーリーを作るゲームであるRPGは、ストーリーのバランスや素材として、こうした世界観を売っているのである。世界観というとどうしても壮大なイメージが伴ってしまうが、例えばダメージ1つにしても、建物の2階相当の高さから転落した際に怪我をするのかどうかというのも世界観だし、骨折した際に魔法や回復薬でサクッと治療できるかどうかも世界観の大きな要素だろう。

RPGはゲームシステム的にはシミュレーションゲームというジャンルに属する。そこには、どういうバランスの世界をシミュレーションするのかというデザインが常に存在している。ストーリーを作る上での素材となるデータ提供の仕方にも、何が存在して何が存在しないのかというデザインセンスが必要になってくる。

こうした点を踏まえた上でRPGにおいて一番重要になるのは世界観であり、何を切り取るかという取捨選択(キュレーション)のセンスが重要になるという話である。

RPGとシナリオ

シナリオのデザインにも、こうしたキュレーションのセンスが必要になってくる。基本的にRPGとはストーリーを作るゲームであり、どういうストーリーを作るシステムなのかという点で、製品は差別化されている。

それを踏まえると、シナリオに求められる役割は、『それっぽいストーリーを作る為のシチュエーション素材』の提供であると言える。シナリオ(クエスト)の内容は、王道ファンタジーなRPGであるスカイリムならドラゴンや魔法使いや山賊の討伐になるし、ポストアポカリプトなRPGであるフォールアウトならミュータントや人造人間や世紀末感のある略奪者の討伐という形になる。

後者には食べると体力は回復するが、放射能ダメージが蓄積される汚染された食品や水なんかが登場するが、前者にそうした物を登場させても誰も喜ばないだろう。逆に、後者の世界でその辺に転がっている食べ物やクリーチャーの肉を食べても何の健康被害も無ければ、それはそれで違和感を生んでしまいプレイヤーが求める世界では無くなってしまう。

悪霊の家

こうしたキュレーションという観点からクトルゥフ神話TRPGの代表的『悪霊の家』を分析してみよう。このシナリオには以下の様な要素が登場する。

・心霊現象が発生する呪われた屋敷

・精神病院に入院している屋敷の元住人

・カルト教団

・焼け落ちた教会

・ネズミの群れ

・腐った階段

・怪しげな手記

・地下室に隠された墓

・邪悪な吸血鬼の魔術師

・屋敷の過去の歴史を調べる為の公文書記録所

クトルゥフ神話固有のユニークな邪神なんかも登場していないので、クトゥルフ神話をよく知らないプレイヤーでも理解しやすく遊びやすいデザインになっており、オーソドックスな呪われた屋敷を巡るホラーを作る為のシチュエーションが過不足なく提供されているのが分かる。

これまでに一度も幽霊屋敷モノの作品を消費した経験が無ければ話は別だが、これだけのシチュエーション素材があれば、基本的には誰でも幽霊屋敷モノのストーリーを作って遊べるだろう。それが本格ホラーになるのか、B級パロディになるのかはプレイヤーのセンス次第なのでともかくとして。

シナリオが提供するのも基本的には世界観である。アドベンチャーゲーム嗜好が強い人の場合は、暗号キーで開く地下室の隠し扉だったり、吸血鬼を倒す為の武器の存在が仄めかされたりするだろうし、吸血鬼はファンタジー色が強すぎるという人の場合は吸血鬼じゃなくて文字通りの悪霊に変更したり、もしくは悪霊の魂が宿った肖像画みたいなものを登場させるかもしれない。吸血鬼と化した魔術師が存在するという点も世界観における大きな要素なのである。因みに吸血鬼と化した魔術師って何だそれ?と思っていたが、最近遊んだスカイリムにも普通に出てきていたので海外RPG的には特に珍しくない存在なのだろう。

クトゥルフ神話TRPGと世界観

クトゥルフ神話の世界観は特殊である。というのも、クトゥルフ神話という何か単一の世界観があるかのような印象を受けるが、クトゥルフ神話というのは実際の所はキーワード共有の遊びで生まれた作品群であって、アメコミの様なユニバース(世界観の共有)的な仕組みの上で成立している作品群ではないのである。

なので、クトゥルフ神話TRPGのルールブックに羅列されているモンスターたちは厳密には異なる世界観の上で成立している存在なのだ。確実に同じ世界観の上に存在していると言えるのは、自然界のクリーチャーの所にいる奴らくらいだろう。

あまり言及されているシーンを見た事が無いが、クトゥルフ神話TRPGが初心者にとって一番理解し難い点は実はここなのではなかろうか。ルールブック的には幽霊がいてネッシーがいて狼男がいて半魚人がいて宇宙人もいるみたいなカオスな状態になっているが、ホラー作品としてそこまでカオスな世界観のものは無い(と思いたい)のである。スティーブン・キングはイットという相手の恐怖の形をとる怪物を使ってそういう状況を再現したけども、そういうのはまず特殊な例だろう。ライトノベルだと日本でも海外でも吸血鬼種族と人狼種族が同時に存在している世界観も珍しくないが、ああいった作品のジャンルはホラーじゃなくてファンタジーである。

なので、ホラーを作って遊ぶRPGなのに、ルールブックの内容をそのままクトゥルフ神話というユニバースの世界観だと捉えると、まともなホラーにはならないという罠があるのだ。この点は、総合的なホラーRPGとして作ってしまったが故の弊害とも言うべきだろう。ホラーというジャンルは、SFやファンタジー以上に世界観のバラつきが激しいのである。

ホラーというジャンル自体にある程度理解があれば、その辺りのバランス(魔法的な存在は原則1種類)も理解できるだろうが、そうでなければホラーRPGとしてクトゥルフ神話TRPGを使いこなすのは難しいのでは無かろうか。少なくともネット上でのクトゥルフ神話の扱いを観れば、ユニバース的な世界観として認識されているのが分かる。

クトゥルフ神話世界をユニバースだと捉えると、人間だけはリアル寄りのバランスなのに、世界は多種多様なモンスターで溢れているファンタジー世界である様に思えてしまう。加えて、RPGというのはモンスターを倒すゲームだという認識(偏見)があると、ゲームバランスが変じゃないか?という不満が生まれるのも無理も無い話だろう。

RPGの比較

複数のRPGを比較すると、差分からこうした世界観の違いというのが分かりやすくなる。どっちかというと剣や斧での近接格闘が主体のスカイリムには部位ダメージは存在しないが、銃撃戦が主体のフォールアウトだとまず脚を撃って動きを封じるというアクションの為に部位ダメージが存在している。

単なるホラーRPGなクトゥルフ神話TRPGにはアイテムに重量が無いが、アイテム収集や武器選択といった部分のシミュレーションが大きな意味を持つD&Dなんかだと、アイテムどころか貨幣にまで重量があり、クラスによって武器や鎧の重さの影響を受ける。スカイリムやフォールアウトでも強力な武器ほど重量が重くて、所持品容量を圧迫する。

クトゥルフ神話TRPGには精神汚染度を表現する正気度が存在する。フォールアウトには放射能汚染度を表現する数値がある。フォールアウトにも精神汚染度という概念があっても良いはずだが、いちいち心を病んでいたらそもそもあの世界では生きていけないだろうから不要であろう。むしろ狂人の方が多そうな世界である。

…とまぁ、そんな感じに世界観のデザインという観点から、何を採用するか(登場させるか)というキュレーションのセンスに注目してRPGを見るのも面白いのでは無かろうか。


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# by cemeteryprime | 2017-12-25 19:27 | TRPG講座・考察 | Comments(0)

【TRPG/雑記】コンテンツ消費における国民性とRPG

私はよくコンテンツ(書籍やゲームや映画やその他のエンターテイメントを含む情報)を食べ物に例える。食事とコンテンツはどちらも消費するものであり、生きる上で必要だから消費するという事情(必須カロリーor基礎教養)と同時に、楽しむために消費するという側面を持っている。

大袈裟に言えば、生きるということは食べると同義であり、何をどう食べるかという指針は、人生をどう生きるかという指針にすら派生する。故に、何をどう楽しむかというコンテンツ消費の指針にも影響するのである。

食文化におけるおもてなし

コンテンツの消費スタイルを考える上で、1つ注目してみると面白いかもしれないと思ったものが、食文化における国民性である。

先日、TVを見ていたらコソボがクロアチアから観光事業における日本人誘致のノウハウを学ぶという番組をやっていた。クロアチアは近年、日本からの観光客が増えているらしい。そこでのクロアチアの観光業者のアドバイスに1つ興味深いものがあった。

それはざっくりとまとめると『日本人は出された食事を残すのを嫌うので、量は多過ぎないこと。少しづつ色んな種類を出すのがベター。』という内容だった。わざわざこうしたアドバイスをするということは、クロアチアやコソボには、「食べきれないくらいに沢山料理を出すのが贅沢であり、おもてなしである」という食文化が存在するのだろう。

例えば中国なんかでも、満足しましたのサインとして食事を残すという文化があると聞く。綺麗に食べきるのは、まだ満足していないので、もっと持ってこい(量が足りないぞ)というサインになるのだとか。

こうした海外の食文化には、おもてなしの作法として、とにかく相手にボリュームが足りなかったと思わせないようにしようにしなければという思想が汲み取れる。現代の食糧事情から考えると、質にこだわらず量を出すことは、そこまで難しくないのでいまいち贅沢感は薄い気が、昔は食糧の入手コストが安く無かった中でも出来るだけ量を多く提供しようという心意気がおもてなしだった、その名残りだろう。

考えてみると確かに味に関しては、特に多民族が共存している国の場合は、味の好みを把握することはかなり困難である。なので『美味しい食事』を提供する上での限界は認識しやすかったのかも知れないが、一方で量的な満足感に関しては予算と心意気次第でいくらでも努力は出来る。そういう事情があると、取りあえず沢山出しとくからその中から好きなものを選んで満腹になってくれれば良いという発想になるのは不思議ではない。

一方、日本の場合は出されたものは残さず食べるという美徳が存在する。これは個人的な想像ではあるが、日本の場合、食糧の入手コストが安く無かったという事情は同じだが、海外と異なり文化的な多様性や流動性は低かったので、『美味しさ』の方向性の限界はあまり意識されなかったのでは無かろうか。その結果、乏しい食糧を出来るだけ美味しく調理するという方向性に進化したのでは無かろうか。現代においても美味しさに関して『とろけるくらいに柔らかい』だとか『生で食べても甘い』が至高みたいな、固定観念はよく見かける。

美味しさの方向性がある程度担保されているので、量を求めなかったのだ。

コンテンツにおけるおもてなし

では、本題のコンテンツ消費に関する国民性に戻ろう。基本的にはコンテンツ消費に関しては、海外ではボリュームが、日本においてはボリュームより質が第一に求められるのでは無いかという話である。

最近、スカイリムSEとフォールアウト4という海外製RPGをプレイしているのだが、これらのゲームはとにかく分量が多く、そのジャンルにおける要素の百貨店といった様相を呈している。スカイリムやフォールアウトが提供するものは、言ってみれば、百貨店のデパ地下でやる時間無制限のバイキングみたいなものである。とにかく何でもあるので、好きなだけ居座って、好きなものを気の済むまで食べてくれというスタイルだ。

一方、日本の場合は、高いコース料理の様なスタイルが選択された。基本的に一本道で、出されたものを順番に消費する。日本のゲームは一本道と揶揄されがちだが、一方でストーリーのクオリティは評価されていたりする。

食糧と同じか、もしくはそれ以上にコンテンツのボリュームを増すのは金が掛かるので、その制約の中でどうおもてなしするかという部分で、基本的には同じ様な現象が起こる。

多様性が高い海外においてはバイキング形式でボリューム面を進化させ、日本ではコース形式でクオリティ面を進化させた。

コンテンツのボリューム

しかし、コンテンツと食事で異なる部分が1つある。特にゲームでそれが顕著だが、コンテンツの消費は食事と違って物理的な限界が薄いのである(時間的な限界はあるが)。近年では、技術的進歩もあってゲームのボリュームは増加傾向にある。

バイキング形式の場合、ボリュームが増せば増すほど単純にバイキング形式としてのクオリティは上がる。一方、コース形式でボリュームを増そうとすると、自然と糞長い一本道と化してしまう。これは共通の世界観(マーベルユニバースみたいな)を舞台にした全5巻くらいのタイトルが20作品提供されるのと、全100巻の1タイトルの作品を提供されるのと違いみたいなもので、後者は圧倒的に客層を選んでしまうし、完走できずに途中でダレてしまえば中途半端感も強くなる。コース形式は、ボリューム増加に対する拡張性が構造的に低いのである。

また、先の例で言えば、全5巻の作品を書ける作家を20人集めるのと、全100巻の作品を書ける作家を1人集めるのでは、供給サイド的にも圧倒的に難易度が異なって来る。プロジェクトの構造としても、前者はボリュームアップしやすいという利点があるように思える。

バイキング形式と日本人

海外RPGに馴染めない日本人ゲーマーというのは一定数いる。思うに、出されたものは残さず食べるという思想に縛られすぎているせいで、気ままにバイキングをするタイプの贅沢を享受しにくいのかもしれない。

TRPGを遊ぶ際にも、正解ルートだったかとか、シナリオ回収率をやたらと気にするプレイヤーは珍しくない。個人的にはRPGは自由にストーリーを作って遊ぶゲームだと考えているので、そこに拘るのはゲームの主旨から外れている様に感じるのだが、それでも自分がプレイヤーとして遊ぶ際には何となく見逃した要素は無かったのだろうか?とかつい考えてしまったりする。

まぁ、もっとより良い方法があったのでは?という懸念は人生にはつきものだし、貰い忘れは無かっただろうかという不安もコンテンツ消費における国民性というよりは単なる貧乏性だと言えなくも無いが。

おもてなしの精神について

自分が考える厳選された美味い料理を残さず相手に食べさせるのでは無く、好きなモノを好きなだけ相手が選んで食べられる環境を提供する。こうした消費における哲学は、グローバル化や多様化が進行した現代環境ではより好ましい様に思える。

とは言え、日本においては未だに前者の思想が蔓延っている様に思える。消費の多様性が存在する環境下では、美味しさの追求とは、クオリティの追求というよりも、作家性の追求という要素が大きい。

勿論、エンターテイメントにはメディア毎に共通の文法が存在するので、単純にクオリティを追求することも可能ではあるのだが、TRPGの場合だと大抵の場合、調理の腕はアマチュアレベルなのに、シェフが独自に味を追求したメニューを提供してくる事が多い。というか、それが一般的である。つまみ食いレベルなら、風変りな味でも新鮮味があって構わないかもだが、合わない料理のコースメニューをフルで提供された場合は、二度とその店には行きたくなくなる事は必至である。

極端な言い方をするなら、ジャングルの原住民が歓待と称してイモムシの丸焼きを提供してくるみたいなもんである。原住民の場合は、相手が自分たちと同じものを食べるかどうかで分かりあえるかどうかを測る意味合いがあるだろうが、単純に楽しく遊びたい時にそうしたテストを受ける筋合いはあるまい。それ故に、コンテンツにおけるおもてなしの精神というものも考えてみる必要がある。

TRPGの場合

カレーを提供すると看板を上げた店に来てみたのに、究極の納豆カレー1品しかありません。みたいな事態は避けるべきだが、現状では割とまかり通りがちだ。そうなった時、店が悪いのか、期待する方が悪いのか。運良く納豆カレーが好きだった場合は幸運だが、大抵の場合は他のカレーが食べたかったんだけどな…とか、納豆が嫌いなんだが…と思いつつも、店主が目の前にいるので渋々食べる羽目になるのである。

しかしながら、こうした構造は普段あまり意識されることはない。TRPGをやった際に、即座にコンテンツ消費における国民性やおもてなしスタイルがどうのこうのと議論する人がいれば異常者の類だろう。

TRPGの場合は、もはやコンテンツではなくコミュニケーションを求めろみたいな説もある。食事では無く店の雰囲気だとかマスターとのお喋り(文字通り)を楽しめみたいなオシャレなBarスタイルである。コミュニケーションに飢えた人ならそれでもいいかもしれないが、こっちはコンテンツを食べに来てるんだという客からすればたまったもんでは無い話ではある。

スカイリムやフォールアウトがそうだが、海外製のRPGは、そのジャンルで客が欲しがりそうなものをとにかく沢山用意してやるという思想が背景にある。多様性のある消費環境下における、おもてなしスタイルである。それ故に、海外RPGのシナリオというモノは資料やイベントの詰め合わせの様相を呈しており、所謂日本人がイメージするシナリオ(ストーリー)の形にはなっていない。こういうコンセプトのバイキング形式ですという説明と、置いてある料理の内容が並んでいるだけだ。

逆にストーリーの形がはっきり見えるシナリオというのは、所謂コースメニューに他ならない。こういうコースになっておりますと、事前にメニュー表を見せてもらえるならまだいいが、ネタバレ厳禁等で大抵の場合は教えてもらえない。中途半端なシェフほど、コースメニューの構築に心血を注ぐ。客を最後まで楽しませる為のコースの構築というものは繊細な作業なのだ。そのコースは、本格中華かもしれないし、本格和食かもしれない。でも、客が中華が好きじゃなかったらどうするつもりだろうか。

同じ様に労力を注ぐなら、コース構築ではなく、メニューを増やしてみてはどうだろうか。寿司があれば、餃子もある、カレーもある、ピザもあるといった感じで。イベントの引き出しを増やすのである。その客がピザが好きだと判ったら、イタリアンのメニューを増やしておく。コース料理の場合は、1カ所を弄れば全体のバランス修正を加える羽目になるので拡張性が低いが、バイキング形式なら無限の拡張性がある。100本のストーリーを用意しても、結局遊ぶのはその内の1つだけである。だったら、100個のイベントを用意してやって選ばせてやれば確実に客の満足度は高くなるだろう。

どちらが望ましいおもてなしの形かは言うまでもあるまい。


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# by cemeteryprime | 2017-12-21 19:24 | 雑記 | Comments(0)

【ゲーム感想】フォールアウト4

スカイリムSEと一緒に買ったフォールアウト4もちょろっと遊んでみた。

ストーリー

舞台は現実の70年代くらいから分岐した感じのレトロフューチャー感ある未来のアメリカ。そこで核戦争が勃発し、主人公の家族は事前に契約していたボルトテック社の核シェルター居住施設に逃げ込むが、そこは居住施設では無く冷凍冬眠施設だった。

そして、そこから時は流れて200年後。何者かに目覚めさせられた主人公一家だったが、息子が誘拐され抵抗した妻は殺害されてしまう。残された主人公は、息子を取り戻すためシェルターの外に広がる200年後のポストアポカリプトな世界へと乗り込んでいく。

世界観

このゲームには以下の様な要素が登場している。

・核シェルター

・冷凍冬眠

・マッドマックスな略奪者

・人間になりすます人造人間

・レトロなロボット

・パワードスーツ

・光線銃

・小型核グレネード

・ミュータント化した動植物、謎生物

・ミュータント化した人間(ハルクみたいなやつ)

・グール(奇病&発狂でゾンビみたいになった人間)

・メモリーダイブ

・テレポート

サイバーパンクでレトロフューチャーな未来世界で発生した核戦争後の世界が舞台ということで、SFチックな要素がこれでもかというくらいに詰まっている。この世界を、プレイヤーは物資をかき集めて解体して資源に変えて、武器や防具を強化したり、家を建てて人を集めて農業をして拠点を作ったり、ミュータント化した動植物を調理したりといったサバイバルを通じて堪能する訳である。

ゲーム性

武器や魔法でモンハン的に敵をボコるスカイリムと比べると、アクションゲームとしてはアプローチ手段もサンポートシステムもゴチャゴチャと多過ぎて操作性が悪い印象がある。敵はだいたい銃を撃って来るし、クリーチャー系の敵も凄いスピードで突っ込んで来りするしで、そもそも近接格闘アクションで遊べる仕様にはなっておらず、FPSとして遊ぶ感じになっている。


アクションゲームとしてはアレだけども、このゲームの長所は何といっても武器や防具に限らずあらゆる部分でカスタマイズ性が高い点にある。服装からして帽子、メガネ、マスク、胴アーマー、右腕アーマー、左腕アーマー、右脚アーマー、左脚アーマー、インナーと別れている。銃器にしても、機関部と銃身とグリップとマガジンと照準器と付属オプション(サプレッサーやら銃剣やら)に別れていて、種類によってはパーツの組み換えでハンドガンをライフルに改造出来たりもする。

そんな感じなので、戦闘アクションを楽しむゲームというよりは、ガジェットを弄りまくってカスタマイズを楽しむというゲームといった印象である。アクション部分の難易度は低く、ボタンをポチポチやるだけで部位狙撃が出来るし、鍵開けアクションも心なしかスカイリムよりは緩い。

カスタマイズ性に溢れている分、アイテム数も尋常では無いが、スカイリムとちがってクズアイテムも解体して素材にするという使い道があるのが凄く良い。あと拠点建設可能エリアに関しては、周辺のオブジェクトも全部解体して素材に出来たりする。勿論、建てた家とか塀とかも解体して素材に出来る。

RPGとして

スカイリムは能力値が魔力、筋力、スタミナの3種類だけだったが、フォールアウトの場合は筋力、感覚、体力、魅力、知力、運動神経、幸運といった感じで7つもある(海外製のTRPGでよくみる感じ)。ステータスの種類が多いということは、やれることの幅も多いという話だ。好感度システムなんかがあったり、イベント進行の選択肢で交渉技能の高さが活かされる場面もちょくちょく目にする。

またスカイリムとの比較でいうと、技能成長の仕方も違っている。スカイリムはやってればその技能のレべルが上昇して、その技能固有のスキルが習得できる感じだった。例えば鍵開け技能で言えば、鍵開けをやっていれば失敗しようが成功しようが鍵開け技能固有の経験値が上昇していき、固有スキル(特定の難易度の鍵開けが更に簡単になる等)がアンロックされて取得できるようになる感じ。

フォールアウトの場合は経験値は共通で各技能はそれぞれアンロックしなきゃ伸びない仕様になっている。なので、先にレベルを上げてアンロックしなければ、そもそも高難易度の鍵開けに挑戦すらできない様になっている。スカイリムではプレイヤー自身の技能で何とかなった部分がロックされているのである。

これは、RPGという意味ではより正しい仕様であるとも言える。ゲームプレイの技量を上げるというよりは、純粋にどういう方向性でキャラを育てたいかの選択が必要になるのだ。結果として、ロールプレイングが必要になるのである。

選択肢が多過ぎたり(高い選択自由度)、選択が必須であったりすることによって、プレイヤーに具体的にロールプレイングを強いていく感じのデザインは、RPGの在り方として面白いなと思う。

こうした自由度の高い海外製RPGが苦手だという層もいるが、用意されたストーリーを消費しつつ行間を補完したりするだけでは、厳密にはストーリー性のあるゲームではあっても、ロールプレイングゲーム(そのキャラクターらしい選択をしてストーリーを作っていくゲーム)では無いので、そうした部分にRPGというゲームジャンルの捉え方の差が出ているのでは無かろうかとか思った。


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# by cemeteryprime | 2017-12-19 23:01 | 作品・感想 | Comments(0)

【ゲーム感想】スカイリムSE

先週のSteamのオータムセールのタイミングでスカイリムSE(リマスター版のやつ)を買ってみた。アメリカ製のRPGらしいRPG(TRPG的な意味で)を、TRPG大好きおじさんとして一回遊んでみるかというくらいのつもりで買ったのだが、めちゃくちゃ面白くて、ひたすらこれで遊んでしまっている。

スカイリムというゲーム自体は最早6年くらい前のゲーム。スカイリムSEはそのHDリマスター版として去年発売されたものらしい。なので画質とかは問題無いし、追加DLCとかもオールインになっているので、今更買うのも悪くは無かった感じ。個人的にあくまでリマスター版だからか、そこまで高スペックのグラボが要求されずに、今使っているPCでも特に画質を落とさずサクサク遊べるのが良かった。

とりあえず海外のオープンワールド系アクションRPGを遊ぶのは初めてでは無いが、王道のファンタジー系RPGな内容と、圧倒的なボリュームに感動している。ついでに、再来週に発売されるD&D5(日本語版)の購買意欲も更に高まった。

ストーリー

舞台はスカイリムという北ヨーロッパっぽい国。スカイリムはローマ帝国っぽい巨大帝国が支配する領土の1つで、帝国に自治を認められたノルド人(ノルマン&ケルトみたいな雰囲気のスカイリムの現地人)の首長が各地方をそれぞれ治めている。

そのノルド人の間ではノルド至上主義的な民族独立の機運が溜まって来ていて、少し前にストームクロークという勢力が反乱を起こして、現在スカイリムは内戦状態にある。

そんな動乱の時代に、最早伝説と化していた存在のドラゴンが何百年ぶりかに出現し、スカイリムの各地を襲う。そして、この歴史が変わるタイミングに、ドラゴンと同時にふらりとスカイリムに現れたのが主人公という訳だ。

単純に人間VS魔王軍みたいな話では無く、帝国VS反乱軍という人間同士の動乱なので、ノルド人の中でも、帝国支持者とストームクローク支持者に別れていたりするのが面白い。更に掘り下げていくと、状況は複雑でストームクロークの背後には密かに帝国の力を削ごうとする外国の陰謀もチラついていたりする。それ以外にも、混乱に乗じて色んな勢力が出現したり、陰謀を巡らせたりする。

ちなみに主人公はドラゴンボーンという、倒したドラゴンの魂を吸収できる伝説のドラゴンスレイヤーの能力を持っている。ドラゴンの出現自体が何百年ぶりなので、もちろん主人公もそんな能力の存在には初めて気付く。

なので主人公はドラゴンボーンという伝説の勇者(かもしれない)的な立ち位置でスカイリムに関わっていくことになる。突然のドラゴン出現の謎や、主人公の能力、そしてこのタイミングに主人公がスカイリムを訪れた運命についてを、探っていくというのがメインシナリオの1つになっている。

ゲーム性

安直な表現をするなら、オープンワールドのファンタジー系RPGをモンスターハンターでやっている感じ。ドラゴンに襲われたり、鉱石を掘っている時なんかは特にモンハン感がある。

ただ、基本的にはモンハンと違って襲って来る敵は熊とか狼とかサーベルタイガーみたいな哺乳類だし(デカい蜘蛛とか、ギザミみたいな巨大甲殻類もいるが)、メインの敵は何といっても人間も含めた人型種族なのである。

あとモンハンとの違いで言うと、満腹度とか寒さとか刀の切れ味みたいな概念は無い。その代わりに色んな魔法を使えたり(道案内魔法だとか、鉄を金に変える魔法なんかも)、エンチャントされたアイテムがあったりする。

また、レベルアップの概念があるのでアクションゲームとしては、モンハンと違って難しく無い。技能毎に熟練度とスキルツリーがあって、レベルアップでスキルを取得していくと、自然と強くなりアクションゲームとしては簡単になっていく。例えば弓術でいうと、弓を引く時間が短縮されたり、焦点ズームが出来る様になったり、ズーム中にスローモーションが出来る様になったり、威力上昇ボーナスがついたり、クリティカル率が上昇したりとそんな感じ。

一応、敵味方のダメージ率を調節する形でアクションゲームとしての難易度を選べる形にはなっているが、あくまでアクションゲームの部分はシミュレーションゲームの一部というかおまけ要素なんだろう。なので、歴戦の勇者なのにプレイヤーのゲーム技量が拙いせいで、歴戦の勇者っぽいロールプレイが出来ないという事は無い様になっている。スキルの上昇で、自然と強キャラのロールが出来る仕様なのである。

ちなみにゲーム難易度を上げたいなら、選択肢の多いゲームなので、武器強化やエンチャントを利用しないだとか、防具を付けないだとか、魔法を使わないだとか、従者(くそ強い)をつけないだとかの縛りプレイをすれば幾らでも調節はできそうではある。

RPGとして

ストーリーは取捨選択可能で分岐もあるメインとなるシナリオが数本に、各地方の町やダンジョンを舞台にしたシナリオと細かいクエストが沢山用意されていて、更にランダム発生的なイベントもある。

いうなれば、時間無制限で食べ放題のシナリオのバイキングといった感じ。この世界を舞台にした考え付く限りのシナリオを用意しておいたので、食い尽くせるもんなら、食い尽くしてみろやというスタイルだ。

もちろん、バイキングなので好きなものだけ食べるのも良いし、1時間で買えるのもよし、延々と居座って食べ続けるのもよしである。逆に食べつくすというのは不可能に近い印象がある。

コース料理にすることで、プレイ時間を引き延ばすJRPGとは全く異なる思想だなと感じる。コース料理だと、面白くない展開が続くと苦痛だが、これなら好きなものだけ食えるのである。

またシナリオ以外でも、ゲーム内書籍が読めたり、NPCが語る伝承や、遺跡なんかを通じて膨大な背景ストーリーが楽しめる仕様になっている所なんかは割と恐ろしい。

遊びつくせないほど膨大なストーリーと選択肢を盛り込む事で、自由にストーリー生成ができないというコンピューターRPGの限界を物量で突破したこういうストロングスタイルは正直凄い。TRPGが創作の自由度を楽しめるのに対して、このスタイルでは消費の自由度が楽しめる。

結果的にロールプレイの自由度も確保されているというか、ロールプレイング(何を食べるか)の軸が無ければ、選択肢が多過ぎてすぐに飽食してしまうのである。なるほど、確かにこれはロールプレイング・ゲームだ。

とにかく面白いゲームなので、一度プレイして損は無いはずだ。クリスマスセールにでも買ってみて欲しい。


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# by cemeteryprime | 2017-12-09 11:48 | 作品・感想 | Comments(0)

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