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【アメコミ感想】アイデンティティ・クライシス

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今更ながらにアイデンティティ・クライシスを購入。滅茶苦茶面白かったので結果的には買って正解だったのだが、購入はちょっと迷ってしまった。というのも、購入前にレビュー等を参考にしようと思ったのだが、ミステリー要素のある作品な事もあって、ネタバレ回避の為に肝心な面白い部分が伏せられているレビューばかりだったからである。

最終的には買ったが、それは小説家が脚本を書いたまとまったシリーズなので、それなりに完成度の高いストーリーだろうという判断だ。判断は正しかった。

でも、まだ購入を迷ってレビューを探している人もいるかもしれない。発売後かなり経っているので、敢えて完全なネタバレと感想を書いておく。

オビの文句

あらゆるヒーローに共通する最大の弱点。それは、家族や友人、愛する者の存在である。故に彼らは正体を隠し、悪と戦い続けて来たのだ。そうすれば、愛する者を守れると信じて。だが、ある殺人事件をきっかけに、その期待は脆くも崩れ去る…。数々のベストセラーで知られる小説家ブラッド・メルツァーが脚本を手掛けた問題作、ついに邦訳!

ちなみに上記が帯の売り文句である。それなりに興味を惹かれる問いかけ。それに、ブラッド・メルツァーという小説家を知っていた人なら購入すること間違いなしである。

あらすじ

事件はスー・ディブニーという女性の殺人事件から始まる。スーはエロンゲイテッドマンというヒーローの奥さんである。エロンゲイテッドマンはJLAの古参メンバーで、正体を世間に公表している人物でもある。二人はおしどり夫婦として知られていて、それ故にスーもJLAのメンバーとの付き合いが長く、名誉メンバーとも言われている。そんなスーがJLAの持つ技術力が流用された厳重なセキュリティが敷かれていた自宅で殺害され、死体は半身を焼かれた無残な姿で発見された。葬式には多くのヒーローが集まった。

侵入方法も不明で焼き殺されたという状況しか分からなかった為、ヒーローたちは、取り合えス炎を操るヴィランや、テレポート能力を持つヴィランをリストアップして容疑者として捜査する。しかし、エロンゲイテッドマンを始めとする一部のJLAメンバーは、何故か標的をドクター・ライトというヴィランに絞って秘密裏に行動を開始する。ドクター・ライトというキャラは、ティーンタイタンズという若者チームの敵キャラとしてよく登場する間抜けな三流ヴィランだった。

ヒーローたちの秘密

エロンゲイテッドマンたちが、ドクター・ライトをこっそりと追いかけた事情には、ある過去の秘密が関係していた。今でこそドクター・ライトは間抜けなヴィランとして認識されているが、当初は極悪非道な犯罪者だった。そしてドクター・ライトは過去にJLAの基地に侵入し、その場に居合わせたエロンゲイテッドマンの妻スーをレイプした事があったのだ。この事件に居合わせた一部にヒーローたちは、ドクター・ライトへの処遇を巡って揉めた。ヒーローの家族に危害を加える人間を放置すれば、家族が狙われ続ける事になる。

最終的にエロンゲイテッドマンは記憶を消した上で、更にロボトミー(脳を弄る)処置が施される事になった。そして、人格が弄られたドクター・ライトは間抜けな三流ヴィランとなったのであった。この明らかに人道的に問題のある処置は、その場に居合わせたメンバーだけの秘密となった。そして、その後もメンバーは自分や仲間の正体や家族の秘密が漏れた際には、ロボトミーをする事は無かったものの、ヴィランの記憶を抹消するという事後処理は毎回していた。彼らは家族を守る為にやれることは全てやっていたのであった。

そうした過去があったので、エロンゲイテッドマン率いる秘密を知る当時のメンバーは、ドクター・ライトが何かのきっかけで記憶を取り戻し、復讐したに違いないと考えたのだった。

この行動が切っ掛けで、秘密は他のJLAメンバーたちの知る所になった。しかし、結局ドクター・ライトは犯人では無かった。

2の事件

そんな中、新たな事件が発生する。被害者はアトムというヒーローの最近離婚した相手のジーン・ローリング。ジーンとアトムの関係は公表されていて、離婚は新聞記事にもなっていた。

ジーンは電話中に襲われ、首を吊るされるが、原子レベルにまで縮める能力を持つアトムは、電話回線を使ったワープ能力で現場に急行し、ジーンは一命を取り留める。ジーンの部屋もまた、スーの部屋と同じく最新式のセキュリティで守られていたはずだった。

ロープで絞殺という犯行手口からスプリットノットというロープが武器のヴィランが新たな容疑者となるが、彼はその時刻、服役中でアリバイが成立していた。

そしてスーパーマンの恋人ロイス・レーンの元にも犯人からと思われる脅迫状が届く。ロイスの夫であるクラーク・ケントの正体がスーパーマンである事は公表されていない情報だった。

第3の事件

ヒーローの家族が襲われる事件が続き、ヒーローたちは不安に怯える家族を安心させる為に、そばにいるしかなかった。三代目ロビンのティム・ドレイクもその一人で、最近父親にロビンである事が発覚していた。ティムはまだ16歳であり、父親はロビンとしての活動を快く思っておらず、事件のせいで余計に神経質になっていた。

しかし、父親なので正義の為に戦おうとするティムを頭ごなしに止める訳にもいかなかった。ティムは事件の早期解決に向けて、父親を遺してパトロールへと出かける。

そんな家に残された父親の元に何者かが拳銃を差し入れる。そこに、キャプテン・ブーメランというヴィランが現れて襲い掛かって来る。ティムの父親はその拳銃でキャプテン・ブーメランを射殺するが、死に際のブーメラン攻撃によって殺害されてしまう。

事件の真相

腑に落ちない点を多く残しながら、一連の事件の犯人はキャプテン・ブーメランの仕業という形に落ち着きかける。しかし、名探偵バットマンの目は誤魔化せなかった。

スー・ディブニーの徹底的な検死の結果、本当の死因は脳梗塞であることが分かった。脳梗塞で死んだことを隠す為に死体は焼かれたのである。さらに、脳の血管を調べるとそこには、ミクロな足跡が残されていた。脳内の血管に侵入可能で、更に電話回線を伝って密室に侵入できる人物…それはアトム以外に考えられなかった。しかし、アトムには動機が無かった。

やがてバットマンは犯人に気付く。アトムの縮小化装置を使用することができ、尚且つ一連の事件を起こして得をする人物。それは…ジーン・ローリングだった。一連の事件によって、ヒーローたちは家族を守る為に、普段は平和を守る為に二の次にしがちだった家族の元へ帰っていたのだ。ジーンは、アトムが助けに現れて命を救った事が切っ掛けで、昔の気持ちが戻って関係が改善され、ヨリを戻していた。

ジーンは殺すつもりはなく、脅かすつもりだけだったと話す。スーの死は事故であり、ティムの父も殺すつもりはなくその為にわざわざ三流ヴィランのキャプテン・ブーメランに襲わせたと。

感想

メインプロットに関して、完全にネタバレをしたが、この作品の場合、こうしたメインプロットを取り巻くキャラクターたちのドラマが重厚で素晴らしいので、是非ともその辺はコミックを買って確認して欲しい。キャプテン・ブーメランにしても、事前に親子のドラマが描かれていて、最後に軽く使い捨てにされて死んでしまったのが凄く悲しいのだ。三流ヴィランにも家族はいるのである。

テーマは、人は愛する人の為ならどんなことでもする。であって、これはエロンゲイテッドマンたちが過去に犯した罪や、犯人であるジーンの動機でもある。アイデンティティ・クライシスは、ヒーローやヒーローたちの身内による愛ゆえの犯罪を描いているのが面白い。だからこそ、色々なキャラクターの家族を巡るドラマが沢山描かれていて素晴らしい作品になっているのである。


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# by cemeteryprime | 2017-09-09 22:36 | 作品・感想 | Comments(0)

【クトゥルフ神話TRPG】内面性のシミュレーション

最近は、TRPGの『発生したドラマを楽しむ遊び』という側面に専ら関心がある。理由は主に海外ドラマを観過ぎているせいだ。如何にもホラー的な体験や、得体の知れない存在が引き出す根源的な感情としての恐怖よりも、人間関係における葛藤だとか、内面的な葛藤から発生する濃い感情に魅力を感じるのである。

だからこそ、敢えて言う。RPGの目的はキャラクターのドラマだ。ドラマを面白くする為には、多彩なキャラクターと、的確なロールプレイが必要になるのだ。

RPGの難しさ

より上手なロールプレイを目指して遊ぶことは、間違いなくロール・プレイング・ゲームの醍醐味だろう。

このキャラクターならどう行動するか?を考えるのは面白い。架空のキャラの行動を巡るこの問いに答えは無いが、リアリティがあるか無いかという感触は確実に存在する。フィクションの中の存在に過ぎなくても、その言動にリアリティを感じなければ、興味も失せる。

誤解も多いがロールプレイ(役割を演じる)というのは、与えられたキャラクターを演じる(シミュレーションする)という事である。俳優がやる演技も基本的には同じ事だ。そして、だからこそロールプレイは難しくもある。

プレイヤー本人と全く同じ経歴とステータスを持ったキャラをロールプレイするなら別だが、基本的にプレイヤーは、与えられた(たいていの場合はダイスを振って決めた)ごく僅かな能力値などからキャラクター像を組み立てる事になる。俳優の場合、そのキャラクターの人物像だとか過去だとか色んな背景情報を与えられて演技プランを組み立てるんだろうけども、RPGの場合は与えられるのは身体的特徴くらいだ。後は頭が良いとか、精神的にタフだとか、教育レベルは低いだとか、その程度だ。

…体は大きく運動も出来るけど、頭はあまり良くはない。でもそれなりに教養はある。そして人の言う事は聞かない頑固さがある。与えられた能力値に関する数値から、何となく人物像をプロファイリングすることは可能だが、ドラマを作る上で真に役立つ情報は殆ど与えられていない。どういうものが好きなんだろうとか、暴力に対してどういう反応を示すのかとか、これまでどういう経験をしてきたんだろうといった、内面性に関する情報である。

内面性をシミュレーションする

ところで、クトゥルフ神話TRPGには、キャラクターの内面性をシミュレーションする画期的なシステムが存在する。正気度判定システムだ。

クトゥルフ神話TRPGが画期的だったのは、正気度という概念を導入してホラー表現を可能にしたからなのは周知の事実だが、これが意味する重要性はあまり深く考えられていない気もする。それ以前も知力だとか精神力といった、そのキャラが何が出来るかといった能力面に関わる部分の内面性は幾らかシミュレーション可能になっていた。しかし、正気度の導入によって、一部ではあるがキャラクターがどう感じるかという感情をシミュレーション可能になったのである。

どう考えるか、どう感じるかという要素は、明らかに行動原理に関わる部分なので、ロールプレイにおいては大きな要素である。実は全く感動していないのに感動したフリをしたり、敵に立ち向かっていったが内心は恐怖でパニックになっていたり。こうした内面的な感情面での葛藤がもし、システムで可視化されシミュレーション可能になったなら、ロールプレイはより手軽に、より高度な内容になりはしないだろうか。

このキャラはこの状況でこう感じているというヒントをシステムが算出してくれるなら、プレイヤー自身もかなりキャラクターを掴みやすいはずである。

内面の数値化

こうしたキャラクターの内面に関するシミュレーションに対する1つのアイデアが、以前にも記事で取り上げた情動値の導入である。

そのイベントに心が動かされるかどうかを判定するだけのシステムだが、こういう状況でどういう反応をするかというヒントが与えられるだけでもロールプレイは大きく違って来るはずである。

繰り返しになるが、キャラクターをより上手にシミュレーションする事は、ドラマをより面白くする事でもある。最近の海外ドラマを観ていると、過去の経験によるトラウマや家庭環境といった要素がパーソナリティーに及ぼす影響なんかも、かなり正確にシミュレーションしてキャラクターの設定などに盛り込まれているのが分かる。クトゥルフ神話TRPG自体、精神医学に関するアイデアを内面表現に活用している作品である。


例えば、映画やドラマに出て来る極端な行動に走る主人公なんかは、たいてい過去にトラウマを負っていて、自分を罰したいという想いが根底にあったりする。こういう過去とパーソナリティも上手くシステムとして運用出来ないかなとは思う。

例えば、トラウマの数だけ何かに対する執着を設定するみたいな。トラウマと執着のバランスが取れている間は正常な行動が出来るけど、トラウマが悪化したり追加されてバランスが崩れると不定の狂気の様な状態になったり。過去に雪山で遭難して餓死しかけたことがトラウマで、食に執着しているキャラクターなら、異常な飢餓感に襲われて変わった物を食べようとみたいな。あと、興味技能なんかはこうした執着の内容と関係があって然るべきだし。

今はPOWINTくらいしか無いけども、例えば自尊心だとかのステータスを追加すれば、自己肯定感が低くて破滅的で攻撃的な性格の人間と、傲慢で攻撃的な人間の違いをステータス設定レベルで表現できたりしないかなとか。

クトゥルフ神話TRPGは、正気度システムの導入によって、感情をシミュレーションするという新しい方向性を示した。ドラマ的な面白さを追求するなら、この方向性にシステムを進化させていくというのは自然な流れでは無かろうか。

ただシステムが複雑になりすぎる感はある。


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# by cemeteryprime | 2017-09-08 01:41 | TRPG講座・考察 | Comments(0)

【雑記】RPGとは

RPGとは?という記事は、今までの何度か書いていて、その都度内容が変わっている気がする。そんなRPGに関する見解の最新版。


RPGTRPG

現在RPGという単語は、『用意されたストーリーに沿って、ファンタジー世界を冒険しながらモンスターを倒してキャラクターを成長させる』タイプのデジタルゲームのジャンル名として認識されている。

RPGは日本においては、基本的にこうしたデジタルゲームのジャンル名として認識されているが、本来は複数人でテーブルを囲んでサイコロやミニチュアを使って遊ぶアナログなゲームだ。

そんな事情があるので、現在は本来の意味でのアナログなRPGという遊びは、TRPG (テーブルトークRPG)と呼んで区別する事が一般的になっている。ただ面倒臭い事に、TRPGという単語はホビージャパンという会社に商標登録されていて、その関係からか商品名としては旧来通りにRPGと呼んでいる物が殆どである。

RPGに関する混乱

現在、RPGというジャンル名は『ストーリーを楽しむゲーム』という要素と、『戦闘シミュレーションを楽しむゲーム』という2つの要素が含まれている遊び程度のニュアンスで使用されている。

なので、一括りにRPGと呼ばれていても、楽しさの方向性や遊び方はケース・バイ・ケースというのが実情だ。デジタルゲームのジャンルとしてのRPGの場合は、最初に挙げた様な『用意されたストーリーに沿って、ファンタジー世界を冒険しながらモンスターを倒してキャラクターを成長させるゲーム』といったざっくりとした共通イメージが機能しているが、TRPGの場合はデジタルゲームという制約が無い為に遊び方の自由度が高く状況は混沌としている。

その為にTRPGの初心者は、ゲームシステム毎によって遊び方が全然違っていたり、更には同じゲームなのに人によって遊び方が違っていたりといった状況に混乱する。不思議に思ってTRPGとは正確にはどういう遊びなのかを調べようとする人もいるだろうが、人によって説明がバラバラだったりして、大抵はすぐに匙を投げる。インターネット上ではTRPGという遊びに関する定義を巡る炎上も定期的に見る事が出来る。

その結果、多くのTRPGプレイヤーは、TRPGとはそもそもどういう遊びなのかがいまいち分からないままに、取りあえずその場の参加者が楽しめればいいという曖昧な基準で遊ぶという状況が存在している。意味不明な状況だが、幸い空気を読む事は日本人にはそう難しくも無いので辛うじて成立している。

ちなみにTRPGはどう遊ぶのが正解かに対する回答としては、各TRPGのルールブック冒頭に書かれているであろう遊び方をよく読むようにというのが最も正解に近い公式見解だろう。近年のTRPGは多様化しており、遊び方や方向性はシステム毎に違っているので、システムだけではなくどういう遊びを目指しているかを毎回きちんと確認した方が良い。

RPGの歴史

とはいえ、RPGという遊びの原理原則というべき定義は存在する。本来のRPGという遊びを敢えて定義するならば、『シュミレーションゲームのシステムを使ってキャラクターを動かし、参加者全員で1つのストーリーを作る遊び』である。

この点はRPGという遊びが誕生した背景を探れば明確だ。RPGという遊びは、ミニチュアを使った対戦ゲーム(ミニチュア・ウォーゲーム)から派生する形で誕生した。ミニチュア・ウォーゲームというのは、将棋の駒をミニチュアに変えてゲーム盤もリアルなジオラマにした物をイメージして欲しい。もしくはネットで検索すること。

ミニチュア・ウォーゲームはミニチュアの駒を戦わせてプレイヤー同士で勝敗を競うゲームなのだが、ゲームの勝敗よりもゲームプレイの過程でミニチュアのキャラクターに疑似的に発生するドラマの方が面白い事に注目したプレイヤーがいた。それに加えて、対戦ゲームとして遊ぶ場合は基本的に2人でしか遊べないが、勝敗に関係なくミニチュアの駒でドラマを作ることを目的に遊ぶならもっと多人数で一緒に遊べる事に気付いたのである。

こうして誕生したのがRPGという遊びだ。RPGが新しいジャンルの遊びとして成立したポイントは、勝敗を目的とした遊びではなく、ストーリー(ドラマ)を作る部分を目的として遊びである点である。それ故にゲームデザインの観点からは、RPGは明確にゲーム(勝敗を決めることを目的にプレイヤー同士が対戦する遊び)では無いと定義されることも多い。

RPGという名前の意味

ロール・プレイング・ゲームと呼ばれる様になった理由は、ゲームの駒に特定のキャラクターの行動をシミュレーションさせる遊びだからだ。特定のキャラクターの行動をシミュレーションさせるというのは、言い換えれば演技(ロール・プレイング)させるという事である。

それまでのミニチュア・ウォーゲームの駒には、当たり前ではあるが、前後左右に動けるだとかの戦闘ユニットとして必要な能力値しか設定されていなかった。キャラクターが作るドラマを目的としたRPGになったことで、頭の良さや外見の魅力など、戦闘能力以外の様々なパーソナリティーを表現する為の能力値が導入された。クトゥルフ神話TRPGに至っては、メンタルの強さというステータスまで導入され、恐怖したり発狂したりという心の動きまでシミュレーション可能になったのである。

RPGの目的はドラマである。ドラマを面白くする為に必要なのは、何といっても人物の面白さである。だからこそ、RPGのプレイヤーは魅力的なキャラクターを作って、的確にそのキャラクターを表現する(ロールプレイング)する事が求められるのである。

だからこそ、プレイヤーにとってRPGとは、魅力的なキャラクターを作って、より上手にロールプレイングすることを目指す遊びであるとも言える。それ故にロール・プレイング・ゲームなのである。

RPGの変遷

そんな感じに誕生したRPGの欠点の1つが、1人では遊べないという点である。

TRPGはグループディスカッションの様な形式で遊ぶので、プレイヤーとは別に、世界観のリアリティバランスを維持する為のルールの審判役と、司会進行役を兼任する、議長の様な役割と担当する人間が必要になる。所謂ゲームマスターである。

TRPGは複数人が集まらないと遊べないので、やがて1人で遊べるTRPGの様な遊びへの需要から、2つのゲームが誕生する。コンピューターRPGとアドベンチャーゲーム(ADV)である。

コンピューターRPGは、コンピューターにゲームマスター役を担当させる事で成立したデジタルなRPGだ。コンピューターRPGは機械的な戦闘シミュレーション部分などは人間がゲームマスターをやる以上に複雑な処理が出来、優れているるのだが、キャラクターの言動を汲み取って適切にストーリーを展開させるといった有機的な判断までは不可能である。

それ故に初期のコンピューターRPGは、ダンジョン攻略などプレイヤーの目的を明確に固定した上で、後はひたすらモンスターと戦闘してレベルを上げての繰り返すくらいの事しか出来なかった。プレイヤーは、ダンジョン攻略の過程における戦闘シミュレーションの結果などの行間を読んでドラマを脳内補完するしかなかったのである。

一方、アドベンチャーゲーム(ADV)は、用意されたストーリーを読み進める為に謎解きなどのパズルゲーム的な課題を解いていく形式のゲームである。ストーリーを楽しむゲームであるという点ではRPGと似ているものの、ストーリーを作ること自体を目的とした遊びではなく、ゲーム的な課題をクリアした報酬としてストーリーを楽しめる構造になっている点で大きく異なっている。本質的にはパズルゲームなのである。

やがてADVはストーリー性が弱いコンピューターRPGを補完するシステムとして組み込まれていく。これによってADVは物語を読み進める為にクリアしないといけない課題として、謎解きゲーム以外にも、キャラクターを育ててボスモンスターを倒す戦闘育成シミュレーションゲームという選択肢を得たのである。

JRPGとその影響

欧米では、従来のRPGをコンピューターRPGとして再現しようという試みがその後も続けられ、キャラクタークリエイトの自由度が高く、ストーリーも自分で主体的に紡いでいく事が求められる、オープンワールド型のコンピューターRPGが進化していった。しかし、日本では戦闘育成シミュレーションゲームを組み込んだADVである、所謂JRPGが大ヒットして主流になった。

JRPGは、名前こそRPGではあるが、実体はADVである。というのも、JRPGは基本的に用意されたストーリーを楽しむ為に課題をクリアすることを目的とした遊びであって、旧来のRPGの様にロールプレイングやドラマ生成自体を楽しむ遊びでは無いからだ。

こうしたJRPGをベースにしたRPG観が定着した結果、現在ではTRPG=アナログなJRPGという認識も普及している。このタイプのTRPGでは、ストーリーはゲームマスターが用意しておくもので、プレイヤーはストーリー進行させる為にゲームマスターが用意した課題をクリアするという遊び方をする。自由度が高くアナログなJRPGTRPGであるという認識だ。RPGというよりADVに近い遊び方であるが、一般的な日本人ゲーマーはADVには馴染みがあるが、旧来のRPGに触れる機会は基本的に無いので、自然な流れとも言える。

アナログなJRPGの弱点

アナログなJRPGともいうべきタイプのTRPGにはハッキリ言って弱点がある。1つはアナログである点だ。JRPGにおいて戦闘シミュレーションや謎解きゲームなどが、課題をクリアする遊びとして問題無く成立するのは、コンピューターゲームだからだ。

人間がゲームマスターをする場合、戦闘シミュレーション部分に関するルールの運用は当たり前だがコンピューターゲームと比べて曖昧になりがちで、謎解きゲーム部分に関しても、出題の仕方においてディコミュニケーションが発生していたり、そもそも謎の内容がポンコツ過ぎたりして、何かしらの事故が発生する。

こうしたゲームは実のところ、限定された選択肢の中で厳密に進行するコンピューターゲームの中だから成立する要素である。自由度が高いアナログ環境だと成立しないのだ。そしてグダグダになった結果、課題をクリアしていようがいまいが、ゲームマスターの匙加減でストーリーを進行させるという事態になってしまう。

もう1つの弱点は、JRPGがセーブ機能によるリトライを前提としている点だ。TRPGにセーブ機能に当たる仕組みは無い。機械じゃないので、数分前の状況なんか誰も正確には覚えてないからだ。初めからアナログなJRPGとしてデザインされたTRPGの場合は、この弱点をカバーする為に途中で死んでも蘇る事が出来るシステムを採用していたりする。ただ、主人公の退場や交代を前提とした旧来型のRPGJRPG風に遊んでしまうと、こうした救済処置は機能しないので、ただただゲームがそこで終了してしまうので注意が必要だ。

もう1つの進化

アナログなJRPGの弱点は、アナログ故の自由度(ガバガバさ)と、コンピューターゲームでしか成立しないADV要素の相性の悪さが原因であると、先に述べた。

こうした弱点をカバーする為のもう一つの方法が、アナログ故のガバガバさをゲームルールによって制限するという方法である。このタイプのTRPGは、イメージとしてはストーリーを作る為のゲームをプレイして、その過程からストーリーを読み取るという感じだ。

ゲームの進行方法もしっかりとルールが定められているので、遊ぶ人によってルールの運用が異なるみたいな状況も起こり難い。初心者でもルールに従えば、ゲームは問題なく進行するのが特徴だ。ただ、逆を言えばルールに従ってサイコロを振ってさえいれば自動的にゲームが進行していくので、ボーッとしているとあっとういう間に終わってしまう。

悪く言えば、シミュレーションの為にサイコロを振っているというよりは、サイコロを振るだけのゲームに、フレーバーテキストで意味合いを持たせているイメージが近い。なのでプレイヤー側にロールプレイング的なやり込み要素が薄いのが弱点と言えば弱点では無いだろうか。

ただし、対戦ゲーム的な要素を盛り込むことで、ゲーム的な駆け引きの面白さといった、ロールプレイング面におけるやり込み要素の薄さを補完するギミックを盛り込んでいるシステムもあったりする。

遊び方の違いを知る

かなり大雑把な説明にはなったが、TRPGというのはそれなりの理由と流れがあって多様化してきた歴史がある。書店のTRPGコーナーに行けば、どのタイプのTRPGであっても面白いものはきちんと生き残っている。例えばD&DというRPGの始祖ともいうべきTRPGは、最新版が10月か11月くらいに発売される。もちろん内容はアップデートされ続けている訳だが、最近の新しく作られているTRPGのシステムとは遊び方なんかが大きく異なっている。

クトゥルフ神話TRPGも昔からある割に人気のあるシステムで、海外では去年くらいに最新版が出ている。日本でも人気で、下手に旧版が売れ続けているせいか、最新版が翻訳されるのはまだまだ先になりそうである。

人気なのは良いのだが、クトゥルフ神話TRPGのシステム面の良さが評価されているというよりは、単に自由度の高さや、ホラーゲームであるという点だけを評価されている印象は否めない。クトゥルフ神話TRPGは好きだけど、システムの出来が悪いみたいな台詞を聞いたことがある人は多いのでは無かろうか。

TRPGと言っても、システム毎に遊び方の方向性や目的は異なっているという認識は、もうちょっと普及しても良さそうだ。1つ言えるのは、クトゥルフ神話TRPGのシステムはアナログなJRPGには向いていないという事実である。こうした要素はシステムの難易度の問題にされがちではあるが、実際の所は単なる遊び方の問題なのである。

TRPGのシステムは当たり前ではあるが、それぞれ想定している遊び方に合わせて設計されている。TRPGで遊ぶ際は、システムが提供する世界観の違いだけでは無く(それすら理解せずに遊んでいる人も多いが…)、システムの違いもしっかり吟味して選んで欲しい所だ。

RPGにおける自由度

ラグビーボールでサッカーをして、何か違う気がするけど楽しいからまぁ良いやとか言っている人がいると、確かに好きにしたら良いとは思うが、サッカーボールという物があるんだよとか、それはラグビー用だよとか教えたくなるのが人情という物だろう。

TRPGにおける自由度を盲信している人の中には、そもそも自分が遊んでいるのがサッカーなのかラグビーなのかその辺を理解しないままに自由度を主張している人も多い。目的とルールがあるから遊びは成立する。目的は何か、何の為のルールなのか。まずはそこから始める事をオススメする。そしてそれは案外、ルールブックに書いてあるのだ。


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# by cemeteryprime | 2017-09-08 00:33 | TRPG講座・考察 | Comments(0)

【シナリオ案】悪書追放

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どういう話か

テーマは表現規制で、実際にその作品が魔導書の様に読んだ人間を狂わせる力があるとしたら。自分だけがそれに気付いたらどうすべきかを問うだけのシナリオ。

探索者の1人は漫画編集者で、もう1人は弁護士。後の探索者は、出版社の同僚だったり、調査を手伝う探偵だったり、警察であっても良い。弁護士役をNPCにする場合は、1人でもプレイは出来るはず。

導入パート

数日前に、変質者が殺人事件を起こして逮捕される。犯人はとあるエロ漫画に影響された犯行に及んだと逮捕後に警察に証言し、テレビでそれが話題になり表現規制問題へと発展する。

探索者の1人は漫画編集者である。その問題になった漫画の担当者は騒動を巡るストレスで突然退職してしまった為に、新しく担当者に任命される。出版社はこの騒ぎはビジネスチャンスだと考えていて、探索者に対して漫画家が委縮しない様にサポートする様に命令する。

探索者のもう1人は、逮捕された変質者の弁護士として雇われる。男は問題のエロ漫画に操られたと主張し、漫画に何か原因があるはずだと調査を依頼する。

調査パート

編集者の探索者は、漫画家を訪問する。漫画家の仕事場にはマスコミや猟奇的な表現の規制を求める抗議団体が訪問したりする。

弁護士の探索者は、問題のエロ漫画と、その作者について調査する。調査の結果、その漫画家の作品が原因で発生した猟奇事件は今回が初めてでは無く、別のペンネームで過去に書いた作品でも同様の事件が起きたと知らされる。

危機パート

その事実を裏付けるかの様に、同じような事件が再び発生する。事件は探索者が住む家の近所で発生し、今度は犯人が逮捕されないままになる。

編集者の探索者は、漫画家が悪意を持って読者の精神に異常をきたさせる目的で作品を作っていた事に気付くが、漫画家は姿をくらます。

2件目の事件の犯人は、漫画家の元の編集者で、探索者を襲撃したりする。

クライマックス

元編集者の所持品から、漫画家の逃亡先を突き止める。漫画家は、この先も人を狂わせる漫画を描く事は止めないと宣言する。漫画家が作品を通じて人を狂わせている事実は、状況証拠しかないので証明しようはない。探索者たちは、この漫画家をどうするか決断を迫られる。

結末

漫画家を殺すにしろ、野放しにするにしろ、漫画家自身も何かしらの作品の影響を受けて、こうした行動に出ていたらしいことが判明する。

探索者たちが家に帰ると、自分の子供が問題の漫画を読んでいたりする。


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# by cemeteryprime | 2017-09-06 00:36 | TRPG講座・考察 | Comments(0)

【クトゥルフ神話TRPG】キャンペーンのデザイン、その2

ホラーTRPGにおけるキャンペーンの在り方を考える記事。

キャンペーン形式、その1

基本的にキャンペーンとは、一連の謎を追いかけるドラマシリーズである。このドラマの主人公はプレイヤーキャラクターだが、プレイヤーたちが飽きてどうでも良くなるまで、主人公を新たに投入したり交代させたりして、キャンペーンは続く。

この点は人気がある限り新しいシーズンが作られ続ける海外ドラマと構造は似ている。最初に用意しておいた一連の謎が解消された段階でシリーズは綺麗に終わらせても良いし、新たな謎を付け足しても良い。

連続ドラマと同じで、キャンペーンの面白さは結局の所、シナリオの面白さよりもキャラクターの魅力が鍵となる。もっと観ていたいキャラがいれば、キャンペーンは継続される。

キャンペーン形式、その2

もう一つは、一定のルーチンを繰り返す1話完結型のドラマシリーズである。警察ドラマだったり、弁護士ドラマだったり、医療ドラマだったり、そういった職業ジャンル系ドラマに多い。毎回、新しい事件が発生して、チームで解決する過程で色んなドラマが発生する。

この形式は安定感があるが、ホラーとの相性はあまり良く無い。というのも、これは非日常的な業界における、日常ドラマだからだ。ホラーは非日常だからホラーである。

一話完結型ドラマでは、確かに観客にとって毎回非日常的な事件が起こるのだが、それは主人公たちにとっては日常の一環である。

例えばアメコミヒーローだとか仮面ライダーみたいな日常的にモンスターと戦う人種のドラマシリーズだと、どうしてもホラーにはなり難い。最初はモンスターに怯えるかもしれないが、日常的に遭遇すると嫌が応でも慣れてしまう。なので、この形式でホラージャンルのキャンペーンを成立させるにはかなりホラー的バランス感覚が必要になる。

ちなみに実体のあるモンスターでは無く、人に憑りつく悪霊と戦い続けるエクソシストの話とかなら、シリーズ化されても割とホラーとして成立しやすい気はする。私見ではあるが。

複合パターン

その1とその2の複合パターンは連続ドラマにおいては、特に珍しくない。基本は一話完結型だが、偶に一連の謎を追う大きなストーリーも進展するタイプだ。キャンペーンにおいても似た構造を作る事は出来るかもしれない。

世界一ついてない男、ジョン・マクレーン

ジョン・マクレーンとは、映画ダイハードの主人公である。1作目では運悪くテロリストに一人で立ち向かう羽目になったついてない男だったのだが、人気が出て何本も続編が作られてシリーズされてしまった結果、何故か何度も運悪くテロ事件に巻き込まれるという世界一ついてない男になってしまった。どういう確率だ。

キャンペーン形式ではない、トーナメント形式のシナリオというのは基本的には一話完結の映画型ドラマである。こうしたトーナメント形式のシナリオに参加した探索者を、生き残る度に使いまわしてまた別のトーナメント形式のシナリオに参加させると、このジョン・マクレーンに似た状態が発生する。どういう訳か、何度も超自然的な事件に巻き込まれる男(もしくは女)の誕生である。

ジョン・マクレーンの場合は、巻き込まれる事件はテロなのでまだギリギリセーフという感じだが、ホラーTRPGでこれをやった場合、半魚人に遭遇した男が今度は宇宙人に攫われて、更には幽霊に取りつかれて、邪神の復活を阻止するみたいな、かなり脈絡の無い人生を送ることがある。

こうなってくると、もはや怪物との遭遇はそのキャラクターの日常の一環になってしまう上に、かなり脈絡が無いので、最早何と遭遇しても驚かないほうが自然になってくる。こういうキャラクターが、実は過去にも色々経験しているとか言い出したら、新しく参加したシナリオまでギャグみたいなそのキャラクターの人生に組み込まれてしまい、ホラーでは無くなってしまう可能性すらある。

ちなみに日常的に事件に巻き込まれたり、モンスターと何度も戦う事に違和感がないファンタジー世界を冒険するタイプのTRPGの場合は、こうしたトーナメント形式のシナリオに引継ぎ参加しても支障は出ない。ホラーTRPGの場合だけが特殊だと考えるべきだろう。


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# by cemeteryprime | 2017-09-05 01:26 | TRPG講座・考察 | Comments(0)

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