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【雑記】邪神の描き方

GW中に久しぶりにスカイリムを遊んでいて改めて思ったのだが、スカイリムは神(邪神も含み)の描写のバランスが良い。

神の描き方

神は実体を持ったクリーチャーではなく、現実世界に生きる人(亜人も含む)を導くパワフルな存在であるというバランス。主人公も含めて神の啓示を受けて導かれたり、特定の信仰の為の活動をする人間たちはいても、神自体は地上で活動していないという感じだ。

こういう手法はリアリティを重視するホラーなんかだとそんなに珍しく無いが、スカイリムは魔法やドラゴンが跋扈するファンタジーである。別にスーパー魔法生命体みたいな感じで神を顕現させても良い気はするのに、敢えてしていないのが面白い。

スカイリムにおけるリアリティとファンタジーのバランスが面白い例としては、幼女殺人犯として流れ者の労働者が逮捕されるイベントがある。町の人は殺人の動機が不可解で困惑し、主人公が動機を調べるんだけど、実は犯人はワーウルフだった事が分かる。でも、その男はそもそもロリコンの殺人鬼で、可愛い幼女を見ると衝動が抑えられなくなって、ワーウルフに変身して殺人を行っていた事が分かる。文字通りの狼男であると同時に、メタファーとしても狼男である訳だ。

RPGと神表現

スカイリムがこうした表現を取り入れている理由は、恐らくドラマの焦点を人間に当てて置く為では無いかと思う。

主人公が世界や神や荒唐無稽な超自然性と向き合う構造になってしまうと、世界に大量に配置されたNPCの意味が薄れるというか、物語を形成するリソースとしての価値が低下する弊害はある気はする。主人公が対峙するのは、あくまで神に誘導された人間という構造なら、NPCときちんと向き合う意味が維持される。これは物語に重点を置いたRPGにおいては、特に意味のある構造だろう。

神を殺す

こうした表現を踏まえると、ファンタジーにありがちな神と戦ったり殺すという行為はかなり興味深いものになる。神の活動は、信者の活動として顕現するので、取りあえずは、神を信奉する人間を全滅させる必要があるだろう。そして、新たな信者を発生させない為に、焚書坑儒的な行為も必要になる。

これだけでもかなりの労力だが、それを達成してもなお、自然発生的に神を崇拝する人間だとか思想が新たに出現する可能性は残る。

神を人間が直接戦える存在にしなければ、RPGの場合は無限に神と戦うキャンペーンを続けていく事が出来るのである。

ちなみに、これと似た構造を真逆のベクトルでやっているのが『残穢』という作品だ。『残穢』の場合は無限に怪異の原因を遡れるという構造になっている。これは原因としての邪神を探す話であり、先に述べた様な特定の神が事件を発生させ続ける構造を、逆転した形になっている。

ブラックボックスとしての動機

人が異常(に思える)行動をとる際は、その動機は他人にとっては常にブラックボックスである。こうしたブラックボックスにこそ、神の居場所はある。

スカイリムには、邪神に操られた(直接的にも間接的にも)ヤバい奴だとか、危険な集団が出て来るが、同時に主人公もちょいちょい神と遭遇して指令を受ける。神の声やヴィジョンが純粋に主観的なものだとすると、主人公もまた神の命令で人を殺したりしているヤベー奴なのである。

人間の行動の動機は常にシンプルとは言い難い。また、物事は常に複雑に絡み合っているので、原因はシンプルとは言い難い。こうした複雑系は、結局の所は人間にとって永遠にクリアにならないモノなのかもしれない。故に、そこに神が宿る。

ホーリムズと神

こうした発想について、アリストテレスは「全体とは部分の総和以上のなにかである。」という言葉を遺しているらしい。システム全体は、単純な部分の集合には還元できないという思想自体はホーリズムと呼ばれるようだ。

この全体は正確に理解できないというブラックボックス性は、ホラーにおいては神の居場所として最適である様にも思える。神は全体に宿るのだ。つまり複雑系領域であれば、神は実在しても問題無いのである。

例えば地震の発生なんかは複雑系領域だと思うが、地震発生のタイミングは完璧に予測出来たりしないので、そこに神の存在が絡んでいても物語的には別に問題ないと言える。フィクショナルな因果関係に説得力を持たせる事が出来さえすれば良いのだ。ちなみに『帝都物語』においては、日本を襲った過去の超巨大地震の背後には魔人加藤による日本壊滅の陰謀があった事になっている。

神の在り方

個人的にホラーにおける神(超自然的存在)は、複雑系というブラックボックス領域に潜む存在であって欲しいと考えている。そこに潜む限りは、物理的な法則とバッティングしないで済むので、超自然的な存在は、超自然的なままでいられるのだ。そして、神は気まぐれに主人公達が共有する主観的な世界に侵入し、マジックリアリズム的に出現するのである。

ここで、主人公たちが神を倒せるか倒せないかは、作者のセンスが問われる所だろう。個人的には、先にも述べた様な理屈で神に操られた人間は撃退できても、神自体は撃退できない方が好みだ。『IT』におけるペニーワイズは、腐りきって荒んだ町が抱える複雑系に潜む邪神であると同時に、撃退されちゃうタイプだったけれども(ダークファンタジーなので)。

みたいな神にまつわる四方山話。特にオチは無い。


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by cemeteryprime | 2018-05-09 14:06 | 雑記 | Comments(0)

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