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【映画感想】劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer

【映画感想】劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer_c0325386_01293881.jpg

劇場版仮面ライダージオウOQを観たので(先週の8/8)記憶を頼りに感想を書く。

結論

傑作。劇場で泣いた。

そもそも仮面ライダーの劇場映画はわざわざ観に行ったりしないのだが、ジオウOQTwitter上での評判がやたらと高かったのと、ジオウは平成ライダーシリーズで久しぶりに面白いなと思って毎週観ていたので、観に行ってみたら見事に期待以上の内容だった。

あらすじ/概要

平成ライダーの全てのパワー(ライドウォッチ)を集めた仮面ライダージオウこと常盤ソウゴの前に、謎の集団クォーツァーが現れる。そして、常盤ソウゴが、ジオウに選ばれたのも、全てはクォーツァーの陰謀だった事が明らかになる。クォーツァーの目的は、世界観がバラバラな平成ライダーシリーズを綺麗にまとめること。つまり、過去の平成ライダーからウォッチを集め、平成ライダーシリーズを総括していく仮面ライダージオウという作品自体が、クォーツァーの陰謀だったのである。そして今、陰謀は成就してしまった。どうする常盤ソウゴ、どうする仮面ライダージオウという番組…!

…という感じの仮面ライダージオウのもう一つの最終回といった内容。あと戦国時代にタイムスリップして云々という話も、プロローグ的に入る。

面白さ

ジオウOQは、端的に言えば歴史をテーマにしたメタフィクションである。この物語の敵組織であるクォーツァーは「お前たちの平成って醜くないか?」という台詞の下に、平成という時代(歴史)を、平成ライダーシリーズを通じて、もっと言えば仮面ライダージオウという作品を通じて、総括しようとしている。

しかし、実際には平成という時代には、平成ライダーシリーズ以外にも、仮面ライダー作品が幾つか存在している。仮面ライダー作品のみに焦点を当てていてもそんな感じで、クォーツァーの総括からはみ出た作品が存在している。なので、当たり前だが、平成という時代には仮面ライダージオウという作品だけでは総括しきれない豊かさが溢れている事に気付かされるのである。

つまり、仮面ライダージオウOQという作品は、歴史を振り返り総括するという行為の乱暴さに焦点を当てた作品なのである。歴史の表舞台に立つ作品、そもそも表舞台に立てなかった作品。現実の歴史は、そうした多種多様な存在の蓄積であり連続なので、綺麗に整っていないのがむしろ当たり前なのだ。

このテーマは普遍性があるので、平成ライダー作品を特に知らない人でも、ジオウ本編を観てない人でも、それなりに楽しめる様になっている(と思える)。歴史を総括する事の難しさ、雑に総括してしまう事の乱暴さ、そして整ってはいないありのままの歴史を受け入れる事が、多様性の肯定にも繋がるというメッセージ。正直、急にどうしちゃったの???と言いたくなるくらいのリテラリーの高さである。

ジオウの否定と、その先のメッセージ

とは言いつつも、やはりTV版の仮面ライダージオウを観ているに越したことはない。冒頭でも述べたが、ハッキリ言って、仮面ライダージオウは、最近の平成ライダーシリーズの中で割と突出して面白い。

その面白さには、平成ライダーシリーズ総決算的なファンサービス要素も多いのだが、過去のライダーを踏まえて最高最善の魔王を目指すというコンセプトの下、平成ライダーシリーズの総括を目指している点にある。

実は平成ライダーシリーズが登場するメタな作品という点では、これまでにも仮面ライダーディケイドという作品があったのだが、ディケイドの場合は、複数の作品世界をフラットに消費するという、脱物語な着地をしてみせた。この脱物語というのが個人的には最低で、要するに堂々と仮面ライダーシリーズという商品をカタログ的にPRするだけのストーリーの無い映像作品として終始して見せたのである。もともと玩具の販促番組である事を踏まえれば批評性が高いとも言えるが、ある種の開き直りに近い。

このディケイドという大惨事(主観)から約10年、仮面ライダージオウは、あくまで物語として平成ライダーシリーズを総括しようとしていた。それ故に、きっちりストーリー作品として凄く面白く感じていた訳なのだが、なんとジオウOQではいきなりその点に疑問を呈して見せたのである。ジオウ本編が面白いからこそ、これは衝撃的だった。

そして、単に疑問を呈するだけではなく、きちんと疑問に答える素晴らしいアンサーを提示して見せた。この衝撃を十二分に理解する為にも、やはりTVのジオウ本編は観て置いて欲しい。

スパイダーバース的演出

少し話が変わるが『スパイダーマン:スパイダーバース』という作品を観た時に、平行世界(本来同じ世界に属していない)のヒーロー達が集結する構造って、よくよく考えると平成ライダーでしょっちゅうやってるやつだよなーと思った訳だが、今作ではそんなスパイダーバースに対するアンサーともとれる演出が出て来た。

なぜ急にこんなリテラシー高めの作品が…?という疑問の背景には、日本の老舗ブランドである仮面ライダーシリーズからの、MCUやスパイダーバースなんかの最近の良質なアメコミ系作品への建設的な対抗意識が幾らかあるのかな?と思ったり。だとすると喜ばしい流れである。

【映画感想】劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer_c0325386_01293369.jpg

テーマは平成

もう一つ、語っておきたいのは平成というテーマである。この映画を観た時に思ったのは、ありがとう平成ライダーシリーズというより、ありがとう平成だった。

雑に平成を総括しようとするクォーツァーに、歴史ってそんなもんじゃねーぞとアンサーを叩きつけるストーリーの構造上、MCUの『アベンジャーズ・エンドゲーム』が、取りあえずMCU映画を全部観とけばOKという話になるのに対して、ジオウOQの場合は、平成ライダーシリーズに加えて、平成ライダーから漏れた仮面ライダー作品や、その他の平成ネタの数々まで出て来る。平成ライダーシリーズが好きで追いかけている、昭和生まれの人間であれば、特に予習も必要無いのだが、そうじゃない人にはとことん拾い難いネタが多い。

これはCMでもネタバレされているので言及するが、そうした要素の1つが木梨憲武の仮面ノリダーである。この映画には、仮面ライダーとして歴史に認められなかった男として、仮面ノリダーが主人公に助言をする割と重要な役回りで登場する。平成ライダーシリーズから漏れているどころか、仮面ライダーですらないキャラである。そして、確実に昭和生まれのおっさん(おばさん)にしか分からないであろうネタである。他にも、たまたま当時テレビを観てないと知らないだろこれ…みたいなTVネタが平成ライダー史の一部として登場したりする。

こうした諸々の要素は元を辿れば、日本に平成という独自の時代の区切りが存在していたからこそ成立した、そしてずーっと仮面ライダー作品が作られていたからこそ成立したタイプの作品なので、結論としては先述の様に平成ありがとうという話になるのである。

平成が昭和みたいに60年くらい続いていたら、こうした企画は成立出来なかっただろうし、天皇の生前退位により平成から令和への時代のシフトがお祭りムードで行われた事も大きな一員になっているのは間違いない。

クォーツァーというメタ存在

そもそも僕はメタフィクションが好きなので、大きな物語である歴史についてのフィクションであり、平成ライダーシリーズについての作品でもある仮面ライダージオウは、ジャンル的に大好物だと言える。

今回、特にメタ的にヤバい存在なのがクォーツァーである。平成を総括するという発想や、平成ライダーシリーズを総括するという発想は、物語を外から俯瞰している立場の人間にしか不可能である。つまり、クォーツァーは作中の登場人物でありながら、自分たちが今まさに特定の作品の中にいる事を知っているのである。

そんな中でも、特にヤバいのがウォズというキャラクターである。ウォズは、ジオウのTVシリーズにおいてもメインキャラの一人で、主人公の仲間なのだが、今作でクォーツァーのメンバーだった事が明かされる。そしてそのウォズの裏切り以上に衝撃的だったのは、ウォズの第四の壁を破る能力である。

ウォズは、TVシリーズにおいて、ナレーションや語り部的な役割をしていたのだが、あくまでそれはTV番組的な演出だと思っていた。未来の事が記された本も所持していたが、それは単に未来から来たキャラだからと思っていた。しかし、今作でウォズは明確かつ意図的に第四の壁を破る演出を多用するのである。

何故なら、ウォズはクォーツァーのメンバーであり、仮面ライダージオウという作品をメタ的に認知しているからである。当然、仮面ライダージオウの世界を作品として観ている観客の存在も認識していたのだ。第四の壁を破る能力を持ったキャラは、デッドプールなんかが特に有名だが、基本的にはそうした演出はコメディ作品に特有のものである。クォーツァーは、真面目なメタ存在として、第四の壁を破ったのである。基本的に子供向けである夏休み仮面ライダー映画でそんなことやる??という感じだ。

でも、やったのである。この辺が、仮面ライダージオウOQが傑作だと思う理由だ。子供向け映画だし、いまいちしょうもないスーパー戦隊映画と同時上映なので、割とハードルが高いが、時間があれば旬を逃さない為にも是非劇場で観に行って欲しい。


by cemeteryprime | 2019-08-17 01:32 | 作品・感想 | Comments(0)

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