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【映画感想】アベンジャーズ/エンドゲーム(ネタバレ)

先週くらいからネタバレが解禁されたみたいなので、改めて感想記事を書こう。

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結論

言わずとしれた、アベンジャーズ最終章。面白かった。観た直後は色々と思う所があり、割と真顔になったが…。面白かったが、傑作とは言えない理由は、後述。

あらすじ/概要

サノスの指パッチン(インフィニティ・ストーンのパワー)で全宇宙の人口が半分に。どうしても前に進めないアベンジャーズのメンバーは時間を遡り、インフィニティ・ストーンを入手して全てを元に戻そうとする。

面白さ

『アベンジャーズ』というタイトルシリーズの基本はお祭り映画である。あのキャラとあのキャラの絡みがみたい!共闘してる姿が観たい!というファンの願望を叶える為の作品がアベンジャーズ・シリーズなのだ。

そういう意味では今作は、そうしたファンの願望に200%応える内容だったと言える。もう最終回だし、総集編的にまだ見せて無かった映像も見せまっせ!というサービス精神が全編に渡って溢れている。SNSなんかでも、ありがとー!というファンの感想で溢れていた。

面白く無さ

それは兎も角、今作の内容に不満を持ったファンもいた。それはストーリー的なアンサーを期待していたファンである。ファンサービスは200点満点だが、これまで連載してきた作品のオチ的なストーリーとしてはどうかというと、ハッキリ言って何の答えも出ていないと言わざるを得ない。

200%のファンサービスと何となくエモい流れで誤魔化されがちになるが、スーパー兵器を使ってサノス軍を皆殺しにして戦争に勝利しました…!というのは、基本的にヒーローの勝ち方では無いのである。

つまりサノスとの戦いは、戦績的には一勝一敗のイーブンという所で、最終的に試合には勝ったが勝負には負けたというのが正確な所では無いかと思っている。それが答えだとも言えるが。

未解決的な理由

この理由は恐らくシンプルで、アベンジャーズというシリーズは終わってもMCUは終わっていないからだろう。もっと言うなら、第一期アベンジャーズが終わったという感じである。

ブラックパンサーやキャプテン・マーベルやドクター・ストレンジといった新規の主力級キャラに関しては、そもそも“アベンジャーズ”入りはしていないのである。

今回、キャップとトニー・スタークという対になるアベンジャーズの2本柱が退場した訳だが、実はそれぞれ第二次世界大戦期のアメリカ、それ以降のアメリカ(ベトナム戦争~アフガン戦争)を象徴する様なキャラクターになっている。特にトニー・スタークに関しては、アメリカの二面性を象徴をするキャラクターであり、ヒーローをやる一方で、自ら恐ろしい敵を生み出すキャラクターになっていた。

それを踏まえると、今作でのあの結末は、要するに旧世代の限界を示す内容だったと思っている。旧世代ではサノスは超えられなかった。しかしながら、新世代が育ってきているのでそこまで悲観はしなくても良い。エンドゲームの正体は、そんなビターエンドだったのだ。

その先の答えに関するヒント

まずはキャプテン・マーベルである。キャプテン・マーベルは、戦争に勝つヒーローでは無く、止めるヒーローとしての在り方を模索していた。真にパーフェクトな勝利という意味では、サノスとの戦争においても戦争に勝つのではなく、事前に止めるという選択肢があったかもしれない。今回アベンジャーズは、シビルウォーを経てバラバラだったので、それ所では無かったが。

もう1つはブラックパンサーである。ブラックパンサーの肝は、復讐に囚われない事だと思っている。それは、シビルウォーのラストでブラックパンサーがジモに対して見せた答えであり、続くシビルウォーにおけるキルモンガーの本質が復讐に囚われた王だった点からも、その辺が重要なテーマになっているのは明らかである。

ドクター・ストレンジに関しては、映画本編が面白く無さ過ぎたので、記憶が曖昧だが、ドクター・ストレンジがクライマックスでやってみせたのは、敵に勝つんじゃなく負けないというスタイルであり、それもまた新世代の可能性を示唆している(気はする)

インフィニティ・ストーンという地雷

個人的にインフィニティ・ストーンの中で最も重要なのはソウル・ストーンでは無いかと思っている。何故なら、ソウル・ストーンを入手するには大切な人を犠牲にしないといけないからだ。つまり、誰も犠牲にしないというヒーローとしての理想に本質的に相反する存在なのである。

悪役のサノスがそんなソウル・ストーンを入手するのはむしろ理に適っている訳だが、アベンジャーズがそれに手を出した場合、結局の所サノスと五十歩百歩になってしまうので、実はそれこそが鬼門だったのである。

つまり、ヒーローとして勝利したければ、アベンジャーズはインフィニティ・ストーンに手を出してはいけなかったのだ。しかし、出さざるを得ない状況に追い込まれた。それがアベンジャーズ第一世代の限界だったのである。

実は過去作を振り返ると、人類には過ぎた存在であるインフィニティ・ストーンに手を出したが為に悲劇が起こるという展開は何度も描かれている。シールドが兵器開発に利用しようとして悲惨な結果になった展開しかり、トニー・スタークがウルトロンを生み出してしまった展開しかり。人類以外においても基本的にインフィニティ・ストーンに手を出すと碌な事は無いよという話が延々と前フリとして描かれていたのだ。

アイアンマンの死

役者の都合は置いといて、なぜアイアンマンは死ななければならなかったのか。その理由の1つは、アイアンマンの在り方にある。トニー・スタークは世界に対して無責任な子供的立場から、世界に対して責任を持つ大人になる事を選択し、アイアンマンになった(アイアンマン1作目)。

トニー・スタークは父親に対して明らかにコンプレックスを抱いており、トニーにとってアイアンマンになる事は武器商人だった父親を超えるという話に繋がるのだが、それによって自分が世界を守らなければというプレッシャーが発生し、暴走する結果にも繋がっていた。

家族を顧みず、世界に兵器を売りさばいたハワードの様にはならない、自分は立派な大人(父親)になってみせるというトニー・スタークの本当のゴールは、アイアンマンとして世界の守護者(父親)になる事では無く、結婚して家庭を築いて父親になる事で達成されるのだ。しかしながら、家庭を気付き父親になる事と、アイアンマンにいる事は、バッティングしてしまうのである。

だからこそ、インフィニティ・ウォーを経て、アイアンマンを辞めたトニー・スタークは、家庭を築いて、父親になる事が出来たのである。不本意な形であるが、トニーはゴールに着地したのだ。

しかし、トニーは精神的に成長してアイアンマンを辞めた訳では無かったので、キャップの勧誘でアイアンマンに戻ってしまった。そして、悲劇的な結末に向かうのである。

アイアンマンを辞めた理由

補足的に説明すると、アイアンマンというのはそもそもが不完全なヒーローである。何故なら、何かを作り出す変革者的なヒーローだからだ。基本的にスーパーヒーローは変革者にはなれない。何故ならスーパーパワーで自分に都合良く世界を変えるのはヴィランの仕事であり、ヒーローの仕事はそれを止める事だからである。

アイアンマンはそれ故に、自ら敵を作り出してしまう。ある種マッチポンプ的にヒーローをやるしかないのである。MCUを振り返ると、トニー・スタークが原因で生まれたヴィランは多い。だからこそ、アイアンマンをやる上で、アイアンマンの暴走を止める事が出来るアベンジャーズが必要になるという構図が成立するのである。

シビル・ウォーを観れば分かるが、アベンジャーズの連帯を誰よりも望んだのはトニー・スタークなのである。しかし、シビルウォーを経てアベンジャーズは内部分裂をしてしまう。その結果、インフィニティ・ウォーの際にアイアンマンの周りにはアベンジャーズは誰もいなかった。唯一いたのは、アベンジャーズ予備軍として自ら育てたスパイダーマンだけである。しかし、そのスパイダーマンもサノスの指パッチンで消滅してしまう。だからこそトニーは、アイアンマンを続ける事が出来なくなり、辞めてしまったのである。だからこそサノスに報復に行く際には、トニーはもうアイアンマンとして参加していないのだ。

トニー=MCUベンおじさん説

アイアンマンが死んだもう一つの理由は、トニーがMCUにおけるベンおじさんだったからだ。

スパイダーマンを知っていれば、すぐにピンと来る話なのだが、スパイダーマンが真にスパイダーマンとして覚醒するのは、通過儀礼的にベンおじさんが死亡して、大いなる力には大いなる犠牲が伴う事を学ぶ必要があるのである。

アニメ映画の『スパイダーマン:スパイダーバース』を観るとその辺のお約束を楽しく学ぶ事が出来るのだが、ピーター・パーカー以外にも色んなスパイダーマンが存在するのだが、悉く身近な誰かの死を通過してスパイダーマンになっているのである。ちなみにスパイダーバースの主人公、マイルス・モラレスの場合であれば、アーロン叔父さんの死が通過儀礼になっていた。

MCUスパイダーマンの場合、蜘蛛に噛まれて超人化する下りとかも全部省略されていたので、ベンおじさん死亡イベントも省略されたものだと思わせていた訳だが、それはミスリードで、実はピーター・パーカーの父親代わりというか、メンター役をしていたトニー・スタークこそが、MCUにおける通過儀礼の為に死亡する叔父さん役だったのである。

ピーター・パーカーの年齢がかなり若く設定されていた事や、通常は老婆なメイおばさんの年齢もかなり若い事、スパイダーマンとしてそこまで本格的な自警団活動はしていなかった事など、全てはその為の伏線だったのだ。

つまり、トニー・スタークがスパイダーマンの父親的ポジションを演じていた時点で、死亡による退場は決定事項だったのだろう。

キャプテン・アメリカの話

トニー・スタークの話をしたので、ついでにもう一人の退場者であるキャップの話もしておこう。

エンドゲームを観た後に、キャプテン・アメリカのシリーズ1~3を観返して思うのが、キャプテン・アメリカもまた発展途上の変化をし続けるキャラクターであったという事実だ。

1作目の時点でのキャップは、童貞版のジャンヌ・ダルクという表現がピッタリなキャラである。両親が共に愛国者として戦場に趣いて死亡しており、自分もお国の為に死にたいと考えている、宗教がかった感じのキャラである。印象としては、バッキーはよくこいつの友達でい続けたよな…という感じ。2作目のウィンターソルジャーにおいてようやく一般人的な感覚を身に付けるんだけど、アメリカがヒドラに支配されていた事で酷いトラウマを負い、割と過激な自由原理主義者に変貌してしまう。その結果が、シビルウォーでのアベンジャーズ分裂である。

シビルウォーのキャップは、自由の為なら多少の犠牲も致し方なしという発言をしていて、かなり過激派になっているのが分かる。インフィニティ・ウォーになると、逃亡生活が応えたのか、ウォーマシンの犠牲が応えたのか、性格は多少緩和されていて、大義の為でも犠牲(自己犠牲も含む)は絶対に認めない!と主張する様になっている。

しかしながら、キャップの理想はかなわず、結局はインフィニティ・ストーンに手を出す羽目になり、ブラックウィドーやアイアンマンの自己犠牲を出す羽目になったのである。そうした結果を受けて出したキャップの結論は、「もうヒーロー辞めたい…」という感じだったのかなと思うと、割と悲しいものがある。

タイムパラドックスに関して

ついでに、キャップが過去世界に飛んだ件に関してだが、劇中での説明を真に受けると、時間移動でタイムパラドックスは発生しない事になっている。すると、キャプテン・アメリカは過去世界に一方通行的に引っ越した形になり、第二次世界大戦後にキャプテン・アメリカが帰還した新しい世界線が新たに発生するだけなのだが、映画では何故かお爺ちゃんんになったスティーブ・ロジャースが登場してしまう。

それって、タイムパラドックスが発生しとるやんけ…!という話なのだが、可能性としては他所の世界線でペギー・カーターと人生を全うしたスティーブ・ロジャースが、ペギーの死後にまたこっちの世界線に戻って来たという、多少無理な説明も可能なのかなと思ったり。あのタイムマシンで世界線まで自由に移動できるのかどうかは知らないが。

残りのアベンジャーズ

王様を辞めたソーに関しては、また王様に戻る話をやるのか、ワンピースにおけるジンベエ親分みたいな感じになって、船長としてまだ未熟なクイルのメンターになるのか、その辺は今の段階では見えない。そもそもソーは、モチーフが北欧神話の神であり、アメリカ的なヒーロー像とは関係無いというか、プレ・アメリカ的な存在なので、王というより昔気質の戦士キャラとして活躍するという方向性も悪くは無い気はする。

ホークアイは、普通に考えれば今度こそ引退して家族の下に戻れよとは思うが、ブラックウィドウを死なせてしまったり、やさぐれてパニッシャーみたいな事をしちゃったりと、インフィニティ・ウォー後に急速にカルマを重ねてしまったので、洗脳されていたとは言え、人を殺しまくってしまったバッキーとセットでそうすんだお前らという感がある。過去の罪の贖罪というテーマにおいては、ブラックウィドウ自身がそんな感じで、最終的に自殺しちゃった訳なので、ブラックウィドウの二の舞にならないみたいなのが、ある種のテーマになるのではという気はする。

ハルクは、地味に一番期待している。今作ではそんなに活躍しなかったが、内面的な分裂を統合したハルクは、ある種のシビルウォーに対するアンチテーゼというか、統合の象徴として、アベンジャーズの新しいリーダーに相応しいキャラなのでは?と思っている。インフィニティ・ガントレットで、腕が焼けちゃったのもむしろ好材料で(あっさり回復している可能性もあるが)、不能だからこそみんなで協力しあう事の必要性を痛感しているリーダーになる上で、そういう不具性はむしろ必要なのでは?という。

それによって戦闘で前面には立たなくなる訳だが、弱くは無くて、身体的にも精神的にもタフ。そして、科学知識も豊富。現状、ハルク以上に時期リーダーに向いているキャラはいないと思うのだが、どうだろうか。

そんな感じで新生アベンジャーズに関する展開予想をしてみた所で記事を終えておこう。


by cemeteryprime | 2019-05-15 01:47 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】スパイダーマン:スパイダーバース

気分転換に思い出して感想を書くシリーズ。

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結論

傑作。この作品の特徴を端的に表現するなら“動くアメコミ”だ。アメコミのアートがそのまま動いている感じで、一般的なアニメの映像とは明らかに異質な印象に仕上がっている。なので、アニメーションの映像表現的な面白さを好む人には是非お勧めしたい。勿論、ストーリーも良い。

あと、スパイダーバースの映画化という時点で、かなりマニアックなスパイダーマンのコアなファン向けな作品なのかと思っていたのだが、そんな事は無く、完全に初心者向け仕様だったので驚いた。スパイダーマンの事はあまり知らないから…と敬遠している人も、気にせず観て楽しめるはずだ。

あらすじ/概要

NYのブルックリンに住む黒人少年のマイルス・モラレスは、ある日、突然変異したクモに噛まれてスーパーパワーを得てしまう。そんなマイルスは、たまたまスパイダーマンがキングピン率いるヴィランと戦い、殺害される現場に居合わせ、スパイダーマンから街を守る為のアイテムを託されてしまう。

街を守るヒーローのスパイダーマンに憧れていたマイルスは、スパイダーマンを継ぐことを決意するが、自分の能力を上手くコントロール出来ない。一方その頃、キングピンが作った異次元ホールの影響で、並行世界からNYに何人もの“スパイダーマン“が来訪していた。

面白さ

ストーリーのメインテーマは、「スパイダーマンは一人じゃない」というモノである。具体的にこの作品には性別も種族も多種多様な“スパイダーマン”が登場するが、ポイントになるのは、“スパイダーマン”という極めて特殊な境遇でさえも、分かち合える仲間が世界のどこかにはいるという部分である。

かつてのヒーロー物においては、ヒーローは選ばれ屍ものであり、それ故に孤独であるという部分が強調される傾向にあった。そうしたヒロイズムは、自己犠牲を美化する自己陶酔的な傾向にも繋がるのだが、近年のヒーローに求められるのは、アベンジャーズで観られる様な、他者との共闘の素晴らしさなのである。

世界は広いんだから、どこかには分かり合える仲間がいるはずというテーマは、限りなくポジティブなメッセージである。まぁ、アメコミにおいて、ヒーローが遭遇する自分と似たようなヤツはたいてい鏡像的なヴィランだったりするのだが…この映画においては、そんな事は無いのである。

並行世界のヒーローの共演

アベンジャーズを例に出したが、並行世界のスパイダーマン達が共演するという要素は、どちらかと言えば、仮面ライダーとかウルトラマンでよくやっているお祭りである。

日本のそれは、完全に玩具を売る為の都合で世界観を飛び越えて共演させているだけなのだが、一周してアメコミのスパイダーマンもそういう次元を超えた共演イズムに着地したのが面白い。

ゲットダウン感

本作の主人公はピーター・パーカーと同じくNY育ちではあるが、黒人少年である。それ故に微妙に境遇が異なっている点が面白い。その辺の面白さを理解する為の予習作品としてはネットフリックスの『ゲットダウン』というドラマをお勧めしたい。

実は主人公のマイルスの声優は、『ゲットダウン』という作品で主人公の少年たちをヒップホップの世界に導く兄貴分のシャオリン・ファンタスティックというキャラの俳優である。それ故に明らかにゲットダウンへのオマージュと思われる演出がある。シャオリン・ファンタスティックは、グラフィティーアートとアクロバットを得意とするキャラで、主人公と被る要素の多いキャラなのだ。

ちなみにこの映画のサントラには同じくゲットアウトに主人公の一人として出演していたジェイデン・スミスの曲も入っている。

マハーシャラ・アリ

声優要素でもう一つ注目したいのは、マハーシャラ・アリが演じるアーロン叔父さんというキャラである。これがまた実にマハーシャラ・アリなキャラで、声優が誰か分からなくてもマハーシャラ・アリのオマージュだろと分かる感じのキャラなのだ。

一番テイストが似ているのは『ムーンライト』のフアンというキャラで、マハーシャラ・アリはこの役でアカデミー助演男優賞をとっている。マハーシャラ・アリは最近映画にやたらと出ているが、この映画もまたそんなマハーシャラ・アリ映画の1つなのである。

良いキャラクターたち

そんな感じで中の人要素もあり、スパイダーバースは良いキャラが溢れている。そしてそれらはこの作品のみで完結できる良さである。最初に触れた様に、この作品は初心者向けに作られている。この作品の舞台となっている世界はスパイダーマン(ピーター・パーカー)が死んだ世界線であり、言わずもがな映画オリジナルな並行世界なのだ。ちなみに死んだスパイダーマンも、何もかもがパーフェクトなスパイダーマンであり、みんなが知っているスパイダーマンとは微妙に違っている人物である(金髪でイケメンで街の英雄で凄い秘密基地も持っている)

個人的に一番好きなのはマハーシャラ・アリ演じるアーロン叔父さんなのだが、スパイダーマンズだとか、その他のヴィランたちもみんな良いキャラをしていて、ドラマがしっかりしている所がお勧めである。


by cemeteryprime | 2019-04-17 13:34 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】キャプテン・マーベル

気分転換に思い出して感想を書くシリーズ。


結論

傑作。割とアメコミは読んでいたけどもキャプテン・マーベルについては、殆ど何も知らなかった事もあって、予想外の展開がいちいち楽しめたというのもデカかったが、何よりのサプライズは傑作だった点だろう。

後発という事もあるが、似たような女性ヒーロー物なワンダーウーマンよりも、映画としても面白かったし、テーマの掘り下げも深いと感じた。

あらすじ/概要

時代は1990年代。宇宙のどこかでクリー帝国の特殊部隊スターフォースのメンバーとして邪悪な侵略種族であるスクラル人と戦っていた女性のバースは、過去の記憶を失っていた。しかし、とある任務で地球に来た事で、自分が地球人であった事を思い出す。

そんな感じの、主人公が記憶喪失系なストーリー。なので、あらすじの説明もネタバレ抜きではし難いのが難点と言えば難点。

面白さ

画期的だと思ったのは、明確に戦うヒロインでは無く、女性のヒーローであるという点だろう。男性に混じって男性の様に戦える女性というのは、結局の所は、男性の敷いたレールの上での話である。

本作の主人公のキャロル・ダンバースは、最初から男性社会の中で戦って来た女性として描かれている。地球では空軍のパイロットだったし、宇宙においても特殊部隊の隊員である。女だからという偏見と戦ってきた女性であった。

しかしながら、それは実は男性のルールに従っているに過ぎないという事に気付く。それこそが、この映画におけるキャロル・ダンバースの成長なのだ。そして、最終的にキャロル・ダンバースはマーベル史上最強(物理的に)のヒーローに成長する。

DCにおいては、ワンダーウーマンが強いといっても、何だかんだで男性のスーパーマンが最強な訳だが、マーベルにおいては女性であるキャプテン・マーベルがスーパーマン並みに宇宙最強なのである。その辺のカタルシスも含めて最高なのだ。

お気持ちも大事だがユーモアは大事

この映画では、男性たちが主人公に事ある毎に感情を殺せと言って来る。女性は感情的でそれは男性に比べて劣っているポイントであるという理屈である。

この映画では、それは否定される。感情を抑圧させる事は本当に良い事なのだろうか?とは言え、むやみやたらに感情的である事を推奨している訳でも無いのがバランスが取れているなと思う点である。同時にユーモアの大切さも説くのである。

怒り一辺倒では駄目で、ユーモアはいつも大切。これは正しくマーベル映画全体に通底しているイズムである。なので、この映画自体も全体的にはかなりコメディ色が強い。女性の怒りや怨念やメッセージ性に満ちた重い映画になっていないのが、1つのメッセージになっている当たりに特に関心させられた。

あと、今作はキャロルと一緒にニック・フューリーも全編に渡って大活躍しているのだが、吹き替え版の竹中直人のボイスとコメディ要素たっぷりなニック・フューリーがこれ以上ないくらいにシンクロしているのも面白かった。

ドラゴンボール的

覚醒して最強と化したキャプテン・マーベルは、全身からエネルギーを放出し、光り輝く姿になり、ビームを放ち空を自由に飛び回る。さながら、スーパーサイヤ人である。

それだけが理由では無いが、バトル要素に加えてコメディ要素が多い所とか、宇宙人要素が多めな所とかで、全体的にドラゴンボール感がある。DCのマン・オブ・スティールなんかもドラゴンボール的と表現されるが、それはバトルだけの話で、あの映画にはコメディ要素や能天気な雰囲気は欠片も無かったが、今作にはナメック星人似のエイリアンなんかも出て来るという。

気軽に楽しめる上に、メッセージ性も深い。つまりは良い映画という話である。まだ観てない人は是非観に行って欲しい。


by cemeteryprime | 2019-04-16 16:02 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】アイアンフィスト シーズン2

結論

これはヒーローが主人公のドラマではなく、ヒーロー的な存在が主人公のドラマに対するアイロニー的な作品である。

記憶喪失等で過去がスカスカだけど、スーパーパワーを持った主人公が、特に深い理由は無いけど善性によって“ヒーロー”として活躍するという作品は割と多い(特に仮面ライダー系なんかで)が、この作品はそうしたヒーロー像に対する皮肉になっている。

アイアンフィストのシーズン1を観た時は、正直そうした作風がまだ理解できなかったので、王道なヒーロー物作品としての爽快感に欠ける、つまらない作品であるという、否定的な感想しか抱かなかったのだが、シーズン2を観れば、明らかに意図的にそうすることで独自性を出しているというのが明確になる。

それを踏まえると、なかなかオリジナリティがあり、面白いシリーズだと言える。勿論、主人公のダニーは相変わらず好きになれない訳だが。

あらすじ/概要

ダニー・ランドは、自分探しの為に、クンルンを捨てNYに帰って来たが、結局は己のアイデンティティを確立できず、アイアンフィストの力に溺れ、依存症みたいになっていた。

一方、ダニーの元親友のダボスは、親友であるはずの自分を裏切ってアイアンフィストの座を奪ったにも関わらず、自分探しを優先してクンルンを守るというアイアンフィストの使命を捨てたダニーにブチ切れていた。そして、同じくダニーに恨みを抱く、ジョイと協力し、ダニーからアイアンフィストの力を奪うことを企んでいた。

面白さ

シーズン1では、ダニーは秘境で修行をして戦士としてNYに戻った男(グリーンアロー的な)というより、幼少期からカルト教団でまともな教育を受けずに育った、スーパーパワーを持ちながらも、中身は子供同然で不安定なヤバい奴だと判明した。

シーズン2では、ダニーは人としてのアイデンティティが希薄であるが故に、薬物依存症患者同然のメンタリティで、アイアンフィストとしてのアイデンティティに縋っているヤバい奴だったと判明する。

ダニーは、アイアンフィストとしてのスーパーパワーや、選ばれし者としての役目といった、ヒーローとしてのアイデンティティはあるのだが、逆にそれしかなく、人としてのアイデンティティ(人生)が欠けているのだ。それ故に、結局ヒーローとしても使い物にならなかった男だったのである。

しかも、アイアンフィストになった経緯も、何も無いが故に親友だったダボスから、意固地になって強引にその座を奪った形であった。その上で、それでもアイデンティティが確立できず、NYへ自分探しの旅に出かけ、幼少期からダボスが目指し続けたアイアンフィストとしての使命を放棄した訳で、ダボスが怒ってヴィランになるにも無理は無かろう。ちなみに、過去篇のダボスは、余所者のダニーを兄弟同然に可愛がり、情け深く、甘やかされたのか女々しさすらある感じの、普通に良いヤツだった。

脇役たち

アイアンフィストというドラマは、主人公のダニーがアレなキャラ(正直、観ていてイラつく)になっている分、脇役たちのドラマはかなり面白い。

また今作では、新キャラとして多重人格の傭兵タイフォイド・メアリー(本来はデアデビルのキャラらしい)が出て来る他、コリーンとナイト刑事が活躍する。

ちなみにナイトとコリーンのコンビは、ドーターズ・オブ・ザ・ドラゴンというタイトルでかつてアメコミのシリーズを持っていたらしく、ネットフリックスでもこのタイトルがこれからドラマ化されるらしい。そういう意味でも、シーズン2は観ておいて損は無いだろう。


by cemeteryprime | 2018-09-11 14:48 | 作品・感想 | Comments(0)

【雑記】VaultとCrypt

先の記事を書いたついでに、EC系コミックの表紙デザインを漁っていて気付いたのだが、Vaultという単語はどうもCryptと同じ様なニュアンスで使うらしい。

Vaultと言えば、個人的には最近fallout76という新作が発表された、falloutシリーズにおける核シェルターなのだが、そもそも論として、falloutシリーズの想像力の原点として、Vault of HorrorだとかTales from the CryptとかのEC系コミックがあるのでは?という可能性に気付いた。

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EC系のホラーコミックが提供していたのは、グールだとか、グチョグチョなミュータントだとか、スプラッターだとか、そういうタイプの作品で、アメリカのホラーファンは多大な影響を受けているからだ。なので、そもそもfalloutシリーズがVaultという単語を使っているのは、Vault of Horrorから来ているかもしれないなと。

ついでにもう1つ気付いた事があって、それはクトゥルフ神話TRPGにおけるキーパーという名称である。ルルブでは、隠された知識をキープするからキーパーと呼ぶと説明があるのだが、実はEC系ホラーコミックに登場する、ホラー世界のガイドであり、語り手キャラであるヴォルト・キーパーやクリプト・キーパーの名前から来ているのでは?という可能性はあるよなと…。

ちなみに、先の記事でも偶然触れたのだが、クトゥルフ神話TRPGの最もオーソドックな初心者向けシナリオである『悪霊の家』は、屋敷の地下に隠された秘密の地下墓地(≒ヴォルト≒クリプト)で、ゾンビ吸血鬼の魔術師と戦う話なので、普通にEC系ホラーコミックっぽいノリなんだよな。

どうでもいいけど、このブログのタイトルはセメタリープライムなので、俺の場合はセメタリー・キーパーになるのかな。 Cemeteryの場合は共同墓地みたいな意味合いなので、VaultCryptみたいな地下墓地のニュアンスは無いけども。


by cemeteryprime | 2018-06-15 11:27 | 雑記 | Comments(0)

【映画感想】ブラックパンサー

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結論

これぞエンタメ。人や国についての問題提起もバッチリ。直ぐに観に行くべき。

あらすじ/概要

ワカンダ王国の国王ティ・チャカが『シビルウォー/キャプテンアメリカ』で発生したテロ攻撃で死亡し、王子ティ・チャラは王位を継承することになる。

しかしティ・チャラは王位だけではなく、国が抱えていた問題も同時に受け継ぐことになる。ヒーローとして、ワカンダ国王として、いかなる正義を貫くべきかが試される。

面白さ

ブラックパンサーの面白さを説明するには、ワカンダ王国の設定を説明するのが手っ取り早い。ワカンダ王国は、アフリカの奥地にある閉鎖的なド田舎…と国際的には思われているのだが、実際には古代から世界一のハイテク先進国であり、オーバーテクノロジーの塊の様な国なのである。

そしてそれは、ビブラニウムという最強の金属であり最高のエネルギー資源でもある鉱物に支えられている。ビブラニウムは超古代に宇宙から巨大隕石としてワカンダにもたらされた鉱物で、レアメタル中のレアメタルでワカンダ王国がこっそり独占しているのである。世界で最も進んでいて豊かなのだが、この秘密がバレると、確実に世界中から狙われるので、貧乏国家のフリをしているのだ。

そして、それはすなわち、世界中でアフリカ系の人達が貧困に苦しんでいるにも関わらず、保身の為に知らん顔をしてきたという歴史でもあるのだ。しかし、現代は最早そういう事をやっていられる時代では無い。ワカンダ王国の為に戦うヒーローだったブラックパンサーも、シビルウォーの一見でグローバルな世界の舞台に引きずりだされたのだ。

キルモンガー

そんなブラックパンサーに立ちはだかるのは、ワカンダ王国が保身の為に見捨てて来たアフリカ人たちの化身の様な男、キルモンガーだ。

ワカンダ王国は、スリーパーセルを世界各国に送り込んでいた。前王ティ・チャカの弟ウンジョブもその一人であった。そして、ウンジョブはアメリカで恋に落ち、子供を作り、そして世界中で犠牲になっているアフリカ人たちの為に戦わないといけないという使命に目覚める。ビブラニウムさえあれば、そうした夢も妄想では無いのだ。

結果、ウンジョブは祖国を裏切ることになり、ティ・チャカに粛清されることになる。弟を殺してしまったティ・チャカは事件を隠蔽し、ウンジョブの家族もアメリカに捨てて帰った。ウンジョブには息子がいた、それが後のキルモンガーである。

アメリカに捨てられ孤児となったキルモンガーは、軍隊に入り実力だけでのし上がり、大学にも行って、CIAの工作員となり、恐ろしい戦士へと成長する。ワカンダ王国への復讐の為に。キルモンガーは、ワカンダ王国の王位継承権を持つ男でもあり、さらに見捨てられたアフリカ人の代表でもあるのだ。

スリーパーセルの悲劇

ウンジョブはハッキリ言ってスリーパーセルだ。面白いことに、シェイプ・オブ・ウォーターにもスリーパーセルの話が登場した。割と最近、日本のメディアにおいてもスリーパーセルに関する話題が盛り上がったことがあったので、これは面白い偶然である。

この作品でも、シェイプ・オブ・ウォーターでも、スリーパーセルはある種の権力の犠牲者として描かれる。国家の正しさの為に、身分を偽り秘密を抱え、外国で孤独に生活する羽目になったのである。そうした孤独故に愛を求め、助け合いの精神に目覚めて、悲劇的な末路を迎える姿が描かれている。ちなみに日本のメディアにおけるスリーパーセルの話には、こうした文脈での話は一切でなかった。

スリーパーセルを話題にするなんて疑心暗鬼を引き起こして、人種差別を盛り上げる気か!みたいな話か、スリーパーセルはいて当然だしそこまで危険でも無いのが常識なのでヒステリックになると良く無いよみたいな話であった。時代に取り残されている感が凄い。

悪人が法を乗っ取る時

ちなみに、ワカンダ王国の危機は、キルモンガーが正統なやり方で(要はルールに乗っ取った形で)王位を手に入れる形でもたらされる。これは法の欠陥を端的に表現する方法である。

法というのはモラルを分かりやすく理解させる為の道具だが、1つ問題なのはモラルを完璧に法という形で表現することは出来ないという点だ。なので、法が真っ当に機能するのは、モラルに従って法を使用する時だけなのだが、悪人に限って法的には問題ないからセーフという理屈でモラル違反を正当化する為に法を用いるのである。アメコミには、こうした法を悪用する悪人は多く、だからこそ法を無視してでも制裁を加えるヒーローが登場するのである。

最近、アメリカでは学校での銃乱射事件が相次ぎ、NRA(全米ライフル協会)は何故あそこまで銃規制に反対するのかと理解に苦しむ日本人の姿をネットでも見かける。NRAはアメリカ建国時の独立精神を持ち出すが、日本人には歴史を持ち出してどういうつもりだ?と言う感じで意味不明なようだ。植民地支配は実際の所、法律に基づいている。あくまで支配者のだが。要は悪人が法に乗っ取って弱者を支配する構図なのである。それに対してライフルで戦ったからこそ、今のアメリカがあるという話なのだ。こうした思想は、実はアメコミヒーローという形で垣間見る事が出来る。

ワカンダ王国も、悪人によって法的な問題ない形で支配されてしまう。ワカンダ王国を乗っ取った、キルモンガーは世界中のアフリカ人を助けるという名目の下で、全世界に戦争を仕掛けようとする。そこから先は、王子ティ・チャラでは無く、アメコミヒーローとしてのブラックパンサーの出番という訳だ。

愛が勝つ

権力(国家の正しさ)による分断に対抗するには、思いやりしかないんだよ!というのは、シェイプ・オブ・ウォーターでもテーマになっていたが、ブラックパンサーの素晴らしいシーンの1つが内戦の結末だ。どちらが正しいとか、戦闘で打ち負かしたとかじゃなく、ふと我に返って相手を見ることで戦いが終結するというこのシーンを作った監督は偉いよ!

ちなみに、すぐに目の前のものが見えなくなる人間の愚かさに対する皮肉として、先に述べたシーンの直前にあるユーモアが炸裂している所も大好きなので、要チェックだ。

ヤンキー漫画の世界

面白さを追求すると、どこかでみたような光景が展開されるのは、何も政治的な要素だけでは無い。チャンピオン読者であれば、ワカンダ王国で展開される高橋ヒロシ的な世界に驚愕するはずである。クローズとかワーストみたいな、不良漫画の世界だ。

リーダーはやっぱタイマンで決めようぜとか、一度本気で殴り合ったら漢は分かり合えるんだよ…とか、そんな世界だ。ブラックパンサーは、格好良い物理的暴力の世界を追求すると、高橋ヒロシ的な世界になる事を教えてくれるのである。憎めないゴリラみたいなキャラとかも出て来るから!みんな!期待していいぞ!

そんな感じなので、対立する2つのキャラの衝突が、徹底的に悲劇として描かれるシェイプ・オブ・ウォーターとはちょっとノリが違っていて、戦うことで、爽やかな救済も入るのが、ブラックパンサーの良い所でもある。

豊かな色彩、いかしたアクション

ややこしい事をごちゃごちゃ説明したが、基本的にはアメコミヒーローによる娯楽アクション映画であり、色んなハイテクメカを用いたスパイアクションがあったり、ヤンキーアクションであり、アフリカ部族的なアクションもあったりで、エンタメ特化な内容である。

アフリカ文化の良いとこどりをした様なイデア・アフリカというべきワカンダ王国のデザインが素敵なので是非見て欲しい。

そして、事件を受けて、新国王となったティ・チャカが目指す新たなワカンダ王国の正義もあり方も是非、劇場でチェック!


by cemeteryprime | 2018-03-04 00:25 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】ジャスティスリーグ

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ストーリー…?ドラマ…?正義の在り方…?ヒーローとは…?そんな下らねーモンより、やべぇースーパーマンを観せてやるよ…。

そんなザック・スナイダー監督が贈る、DCエクステンデッド・ユニバースのスーパーマン映画第3弾!それが映画『ジャスティス・リーグ』である!

映画の感想としては…中々面白かった!というのが正直な所だ。といっても、第3弾ということもあって、ザックがやりたいことがようやく明確に見えてきたという要素と、ジョス・ウェドン(アベンジャーズの監督)によるテコ入れがあってそれなりに観れる映画になっていたからという要素が大きいんだろうけども。

以下、完全にネタバレ含みます!

思うにザックのDC映画がコケた理由は、みんなは当然の様にこうしたヒーロー映画にストーリーだとか、ドラマだとか、楽しさだとか、マニアの場合は正義のあり方とか、ヒーロー像だとかを求めたのに対して、ザックは単にスーパーマンのヤバみを描こうとしたというズレが大きかったのでは無かろうか。まぁ、誰もスーパーマンにそんなものを求めてなかったので確実にザックが悪いんだけども。

ザック・スナイダーの中ではパワーは尊い。パワーこそ正義。神はパワーである…みたいな公式が成立しているのでは無かろうか。だからこそ、ザックの中ではスーパーマンは尊くて、正義で、神なのであり、そうしたヤバさを映画で描こうとしてきたと思われるのだ。どちらかと言えばそれはヒーロー的な格好良さというよりは、怪獣的なクールさでもある。

今作では、新たにアクアマン、フラッシュ、サイボーグといった超人メンバーが加入してくる。それ故に、相対的にスーパーマンのヤバさが更に際立つという内容になっている。ちなみに、今作で描かれるスーパーマンのヤバさはこんな感じだ。


ヤバいポイントその1

死んだのに蘇る。

ヤバいポイントその2

高速が売りのフラッシュと大差ないレベルに高速で動ける。

ヤバいポイントその3

ジャスティス・リーグの面々が苦戦し、アマゾンとアトランティスの軍勢も余裕で蹴散らした強敵宇宙人を単体で軽くボコれる。



…う~ん、ヤバすぎぃ~!!


フラッシュが超加速中してる最中に、スーパーマンが同じ速度の世界に侵入してくるシーンは、完全にジョジョ第3部のディオVS承太郎という感じで、最高にゾワッとした。承太郎が侵入してくるんじゃなくて、圧倒的強者のディオが侵入してくる構図なので尚更ヤバさしかなくて良かったです。

ただ、今作だけ観て面白いのか?というと、単体映画としてはやっぱり微妙な気がするので、ヤバすぎるスーパーマン三部作というコンセプトを理解しつつ全部観るのが正しい気はする。

ただ前作を観ないと内容が判らないとかいうと、観ても分からん所は分からない、相変わらずDCファン以外を余裕で置いてけぼりにする内容なので、その辺は逆に気にしなくても良いとは思う。


by cemeteryprime | 2017-11-24 21:51 | 作品・感想 | Comments(0)

【ドラマ感想】ルーク・ケイジ

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ネットフリックスのルーク・ケイジを最近また観返した。以前に観た時に特に感想を残していなかったので、改めて感想を書いておこう。

まず最初に言えるのが、ルーク・ケイジは傑作だという事である。正直アイアンフィストとディフェンダーズを続けて観たせいもあって、ネットフリックス版のマーベルドラマは微妙だったのでは?みたいな変な印象の上書きが発生してしまっていたのだが、ルーク・ケイジを観返したことで綺麗に払拭された。

王道のてんこ盛り

改めて観返して気付いたのだが、ヒーローの王道が沢山盛り込まれている。

まず、ルークがヒーローとして戦うことを決意する過程だが、叔父さん的な人物が、ルークが正義を成さなかった怠慢のせいで死んでしまうのである。『大いなる力には大いなる責任が伴う』ことをルークに伝えて叔父さんは死ぬ。これは完全にスパイダーマンである。

また、クライマックスは、ルークに嫉妬して執着する邪悪な異母兄弟である宿敵との肉弾戦だ。ラストが肉弾戦というのは、漢のアクション映画の基本中の基本だ。敵が兄弟的な存在というのも王道的な展開である。更に、このクライマックスの肉弾戦は観衆に囲まれた中で行われるので、更に熱い。

観衆の輪の中での肉弾戦は、猿の惑星:新世紀のクライマックスが記憶に新しい。猿の惑星の場合は、人間に愛されたシーザーと人間に虐待され憎んでいるコバという2匹の猿が観衆の見守る中で殴り合って決着をつける。更に、その前作の猿の惑星:創世記において主人公のシーザーは、悪くないのに刑務所に放り込まれて苦しみ、最終的に脱獄するという話が描かれる。ルーク・ケイジもまた無実の罪で投獄されて、悪い看守にファイトクラブ的な事をやらされた挙句に人体実験の被験者となって超人化して脱獄する。

どちらも虐げられたモノの戦いというテーマが似ているからか、共通点が多い。

あと、ヒーローから一転して犯罪者の汚名を着せられて警察に追われる展開だとか、それでもルーク・ケイジを信じた町の人達に支えられる展開だとかは、ヒーローらしいエピソードとして最高だ。

近所の頼れる男

ルーク・ケイジは、デアデビルの様なマスクの孤独なヒーローでは無く、素顔で活動する町の一住民であり、町の人達に支えられているヒーローであるという点は、ルーク・ケイジの大きな魅力の1つだろう。

ルーク・ケイジの敵の1人は、善人面をして町の人達を食い物にする地元出身の政治家(黒人女性)である。彼女はルークを町の敵に仕立てようとする。町の人々に支持されるヒーローという点ではルーク・ケイジには政治家的要素もあるのかもしれない。まぁ、ルークに政治は出来ないんだけども。

ルーク自体は流れ者だが、舞台であるハーレム地区の住人たちは、殆どの人間が顔見知りで相手の父親や祖父母の名前まで知っていたりする。ルークは、そんな密度の濃い町だからこその、助け合い精神に組み込まれたヒーローなのである。ルークは、ヒーローとして活動する前は町の名物的な散髪屋の親父に雇われて清掃人として働いている。だから、町の人達も、「ルーク・ケイジなら知っている。あの散髪屋で働いていた真面目な兄ちゃんだろ?」という風な形でヒーローでは無い町の住民としてのルークを最初から知っていて、だからこそ支持するのである。

そこには、理念で見ず知らずの人の為に戦うヒーローとはまた違ったヒーロー像がある。近所の頼れる男なのである。

黒人ヒーローである

ルーク・ケイジは黒人ヒーローとしての要素も大きい。マーベルには他にも黒人のヒーローはいる。ウォーマシンやファルコンも黒人だが、彼らは単にアフリカ系というだけで、黒人市民のヒーローという要素は無い。一方のルーク・ケイジは、明確に黒人市民の一人であり、彼らを守るヒーローとして描かれている。

こうした要素は特に警官の描写において分りやすい。別に警官を悪役として描いている訳では無いが、黒人への警官の暴力問題がしっかり描かれている。

フードを被ったルークに職質をかけた警官が、丸腰のルークにビビって背中から発砲するも弾が弾かれて、ぶん殴られて何メートルも吹っ飛ばされてパトカーの車載カメラに激突するシーンがあるが、これは無実の黒人を一方的に射殺している様子がパトカーの車載カメラに残っていてそれが流出したりする映像のへの明確なカウンター表現だろう。また、ルークが指名手配された際に、ハーレム地区の黒人たちがルークとの関係を疑われて一方的に乱暴に逮捕されまくるシーンもある。

また、こうした黒人は悪いことをしてなくても、些細な事で警官に撃たれるという現実があるからこそ、ルーク・ケイジのそこまで珍しくもない防弾の肌を持つというスーパーパワーは、特別な意味を持って来る。ルークは警官に撃たれても死なないのだ。でも、だからこそ警官たちは余計にルークを恐れるというジレンマも描かれている。

ヒーローが求められる社会においては、警官が機能不全で頼りにならない社会であることが多い。バットマンやデアデビルの世界では、警官はマフィアとのズブズブの癒着で犯罪者の手先に近かったりする。でも黒人社会の場合は、警察に汚職が蔓延してなくても、警官に撃たれるという問題があるのだ。

ただ、先にも述べた様にルーク・ケイジでは警官を単に悪として描いている訳でもない。善玉の刑事も仲間にいるし、何より黒人社会における犯罪率の問題もきちんと描いている。彼らの多くは父親が刑務所にいたりして、父親を知らないまま育っている。身近に模範となる大人としての父親がいないという、ハーレム地区の問題は度々嘆かれていて、ルークはそうした模範となる事が求められたリもする。

父親不在の社会

父親がいないというのは、目立たないが実はルーク・ケイジという作品の1つの大きな特徴にもなっている。唯一父親っぽいのが、ルーク・ケイジがヒーローになるきっかけを作って死ぬ散髪屋のおじさんなのだ。

父親がおらず犯罪に走り犯罪の犠牲となる少年たちが描かれ、宿敵一人であるコットンマウスはおばあちゃんに育てられた男だし、ルークの異母兄弟で宿敵のダイアモンドバックも父親に愛されなかった男である。ルーク・ケイジとダイアモンドバックの父親は、徹底して影が薄く、牧師ではあるが浮気でダイアモンドバックという庶子を設けた上で彼を認めず因縁を作った諸悪の根源とも言うべき存在である。それに作中に出て来るタフなキャラは女ばかりで男はたいてい暴力的なチンピラなのである。

獄中の父親

では、父親たちはどこにいるのだろうか。恐らく、犯罪に巻き込まれて死んだか、刑務所にいるのが殆どなのだろう。ルーク・ケイジ自身、冤罪とは言え脱獄囚なので前科モノである。脱獄囚なので、ルーク・ケイジという偽名を名乗っているのだ。

刑務所にいたことがあるという過去がバレることを恐れヒーローを止めようと考えるルークに、仲間がこの地区の住人はみんな家族の誰かしらが刑務所にいたことがあるから、そんな事は気にしないで良いと諭すシーンがあるのが印象的だ。ルーク・ケイジは冤罪ではあるが、刑務所帰りのブラザーなのである。

そんな感じでルーク・ケイジはストーリー的には王道のてんこ盛りだけど、ヒーローとしてはかなり異色のキャラなのである。面白いので、ぜひ観て欲しい。


by cemeteryprime | 2017-10-03 19:55 | 作品・感想 | Comments(0)

【アメコミ感想】アイデンティティ・クライシス

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今更ながらにアイデンティティ・クライシスを購入。滅茶苦茶面白かったので結果的には買って正解だったのだが、購入はちょっと迷ってしまった。というのも、購入前にレビュー等を参考にしようと思ったのだが、ミステリー要素のある作品な事もあって、ネタバレ回避の為に肝心な面白い部分が伏せられているレビューばかりだったからである。

最終的には買ったが、それは小説家が脚本を書いたまとまったシリーズなので、それなりに完成度の高いストーリーだろうという判断だ。判断は正しかった。

でも、まだ購入を迷ってレビューを探している人もいるかもしれない。発売後かなり経っているので、敢えて完全なネタバレと感想を書いておく。

オビの文句

あらゆるヒーローに共通する最大の弱点。それは、家族や友人、愛する者の存在である。故に彼らは正体を隠し、悪と戦い続けて来たのだ。そうすれば、愛する者を守れると信じて。だが、ある殺人事件をきっかけに、その期待は脆くも崩れ去る…。数々のベストセラーで知られる小説家ブラッド・メルツァーが脚本を手掛けた問題作、ついに邦訳!

ちなみに上記が帯の売り文句である。それなりに興味を惹かれる問いかけ。それに、ブラッド・メルツァーという小説家を知っていた人なら購入すること間違いなしである。

あらすじ

事件はスー・ディブニーという女性の殺人事件から始まる。スーはエロンゲイテッドマンというヒーローの奥さんである。エロンゲイテッドマンはJLAの古参メンバーで、正体を世間に公表している人物でもある。二人はおしどり夫婦として知られていて、それ故にスーもJLAのメンバーとの付き合いが長く、名誉メンバーとも言われている。そんなスーがJLAの持つ技術力が流用された厳重なセキュリティが敷かれていた自宅で殺害され、死体は半身を焼かれた無残な姿で発見された。葬式には多くのヒーローが集まった。

侵入方法も不明で焼き殺されたという状況しか分からなかった為、ヒーローたちは、取り合えス炎を操るヴィランや、テレポート能力を持つヴィランをリストアップして容疑者として捜査する。しかし、エロンゲイテッドマンを始めとする一部のJLAメンバーは、何故か標的をドクター・ライトというヴィランに絞って秘密裏に行動を開始する。ドクター・ライトというキャラは、ティーンタイタンズという若者チームの敵キャラとしてよく登場する間抜けな三流ヴィランだった。

ヒーローたちの秘密

エロンゲイテッドマンたちが、ドクター・ライトをこっそりと追いかけた事情には、ある過去の秘密が関係していた。今でこそドクター・ライトは間抜けなヴィランとして認識されているが、当初は極悪非道な犯罪者だった。そしてドクター・ライトは過去にJLAの基地に侵入し、その場に居合わせたエロンゲイテッドマンの妻スーをレイプした事があったのだ。この事件に居合わせた一部にヒーローたちは、ドクター・ライトへの処遇を巡って揉めた。ヒーローの家族に危害を加える人間を放置すれば、家族が狙われ続ける事になる。

最終的にエロンゲイテッドマンは記憶を消した上で、更にロボトミー(脳を弄る)処置が施される事になった。そして、人格が弄られたドクター・ライトは間抜けな三流ヴィランとなったのであった。この明らかに人道的に問題のある処置は、その場に居合わせたメンバーだけの秘密となった。そして、その後もメンバーは自分や仲間の正体や家族の秘密が漏れた際には、ロボトミーをする事は無かったものの、ヴィランの記憶を抹消するという事後処理は毎回していた。彼らは家族を守る為にやれることは全てやっていたのであった。

そうした過去があったので、エロンゲイテッドマン率いる秘密を知る当時のメンバーは、ドクター・ライトが何かのきっかけで記憶を取り戻し、復讐したに違いないと考えたのだった。

この行動が切っ掛けで、秘密は他のJLAメンバーたちの知る所になった。しかし、結局ドクター・ライトは犯人では無かった。

2の事件

そんな中、新たな事件が発生する。被害者はアトムというヒーローの最近離婚した相手のジーン・ローリング。ジーンとアトムの関係は公表されていて、離婚は新聞記事にもなっていた。

ジーンは電話中に襲われ、首を吊るされるが、原子レベルにまで縮める能力を持つアトムは、電話回線を使ったワープ能力で現場に急行し、ジーンは一命を取り留める。ジーンの部屋もまた、スーの部屋と同じく最新式のセキュリティで守られていたはずだった。

ロープで絞殺という犯行手口からスプリットノットというロープが武器のヴィランが新たな容疑者となるが、彼はその時刻、服役中でアリバイが成立していた。

そしてスーパーマンの恋人ロイス・レーンの元にも犯人からと思われる脅迫状が届く。ロイスの夫であるクラーク・ケントの正体がスーパーマンである事は公表されていない情報だった。

第3の事件

ヒーローの家族が襲われる事件が続き、ヒーローたちは不安に怯える家族を安心させる為に、そばにいるしかなかった。三代目ロビンのティム・ドレイクもその一人で、最近父親にロビンである事が発覚していた。ティムはまだ16歳であり、父親はロビンとしての活動を快く思っておらず、事件のせいで余計に神経質になっていた。

しかし、父親なので正義の為に戦おうとするティムを頭ごなしに止める訳にもいかなかった。ティムは事件の早期解決に向けて、父親を遺してパトロールへと出かける。

そんな家に残された父親の元に何者かが拳銃を差し入れる。そこに、キャプテン・ブーメランというヴィランが現れて襲い掛かって来る。ティムの父親はその拳銃でキャプテン・ブーメランを射殺するが、死に際のブーメラン攻撃によって殺害されてしまう。

事件の真相

腑に落ちない点を多く残しながら、一連の事件の犯人はキャプテン・ブーメランの仕業という形に落ち着きかける。しかし、名探偵バットマンの目は誤魔化せなかった。

スー・ディブニーの徹底的な検死の結果、本当の死因は脳梗塞であることが分かった。脳梗塞で死んだことを隠す為に死体は焼かれたのである。さらに、脳の血管を調べるとそこには、ミクロな足跡が残されていた。脳内の血管に侵入可能で、更に電話回線を伝って密室に侵入できる人物…それはアトム以外に考えられなかった。しかし、アトムには動機が無かった。

やがてバットマンは犯人に気付く。アトムの縮小化装置を使用することができ、尚且つ一連の事件を起こして得をする人物。それは…ジーン・ローリングだった。一連の事件によって、ヒーローたちは家族を守る為に、普段は平和を守る為に二の次にしがちだった家族の元へ帰っていたのだ。ジーンは、アトムが助けに現れて命を救った事が切っ掛けで、昔の気持ちが戻って関係が改善され、ヨリを戻していた。

ジーンは殺すつもりはなく、脅かすつもりだけだったと話す。スーの死は事故であり、ティムの父も殺すつもりはなくその為にわざわざ三流ヴィランのキャプテン・ブーメランに襲わせたと。

感想

メインプロットに関して、完全にネタバレをしたが、この作品の場合、こうしたメインプロットを取り巻くキャラクターたちのドラマが重厚で素晴らしいので、是非ともその辺はコミックを買って確認して欲しい。キャプテン・ブーメランにしても、事前に親子のドラマが描かれていて、最後に軽く使い捨てにされて死んでしまったのが凄く悲しいのだ。三流ヴィランにも家族はいるのである。

テーマは、人は愛する人の為ならどんなことでもする。であって、これはエロンゲイテッドマンたちが過去に犯した罪や、犯人であるジーンの動機でもある。アイデンティティ・クライシスは、ヒーローやヒーローたちの身内による愛ゆえの犯罪を描いているのが面白い。だからこそ、色々なキャラクターの家族を巡るドラマが沢山描かれていて素晴らしい作品になっているのである。


by cemeteryprime | 2017-09-09 22:36 | 作品・感想 | Comments(0)

【映画感想】ワンダーウーマン

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例の如く、死ぬほどネタバレ。

あらすじ

主人公のダイアナはギリシャ神話の時代から続いて来た女だけのアマゾン族が暮らす島の王女だ。島には、古代ギリシャの神々を滅ぼし共倒れになった戦争の神アレスがいつか復活した際は、平和の使者であるアマゾン族が倒すという伝承があり、ダイアナはそれを信じていた。


時代は第一次大戦の最中、ドイツ兵に追われたアメリカ人スパイのスティーブが島に漂着する。追撃して来たドイツ兵との戦闘でアマゾン族が数名死亡。ドイツ軍が開発した新型の大量破壊兵器の話を聞いたダイアナは戦争の神アレスの復活を確信する。アマゾン族の役目を全うする為ダイアナは、アレスを倒して戦争を終結させるべくスティーブと共に島を出るが…。


感想

かなりフェミニズム的な文脈でも宣伝されたり議論されていた映画なので、そういう映画なのかなと思って観に行ったのだが、案外そうでもなかった。確かにワンダーウーマンというキャラ自体は、そういうフェミニズム的な文脈で生まれたキャラでなんだが、この作品に関してはこれまで過去にあった戦う女性の映画と比べて特筆すべき何かがあったかというと特にはなかったと言わざるを得ない。女性が主役のスーパーヒーロー映画というだけだ。


ストーリーに関して

自然豊かで女性しかいない社会で育った戦う女戦士のダイアナが、スモッグまみれで女性の社会的地位が低い当時のロンドンにやって来る下りは、所謂ターザンが都会へ来るみたいな話でそれなりに面白かった。ただ、それ以降の展開はあまり主人公が女性である意味がないような気もした。


監督もインタビューで『第一次世界大戦当時の女性差別のシーンはあれど、主人公の性がどうこうというのが主題の作品ではありません』と話している。ワンダーウーマンというキャラ自体はフェミニズムの文脈で作られたキャラであり、フェミニズム要素への過度な期待や論争へ配慮したのかもしれないが、それにしたってあまりにも主人公が女性である点に意味がないのはいかがなものか。映画公開に向けてのマーケティングなどでもそういった論争が起こったりしていて期待していただけに、割と肩透かしを食らった形だ。


マル博士に関して

この作品にはドイツ軍で新型毒ガス兵器を開発している悪の科学者としてマル博士という女性のヴィランが出て来るのだが、このキャラの扱いが勿体なかった。

マル博士も、女性なのに前線で戦っている軍人であり、戦局を左右する最終兵器を作っていた、言ってみればスーパーウーマンである。本来なら正義のスーパーウーマンの対極としての悪のスーパーウーマンであったのだが、前述の様にこの映画の場合は主人公が女性である意味が薄いので、単なる悪に仕えるマッドサイエンティスト以上でも以下でも無い扱いをされていた。


例えば、ガスマスクを付けた性別不明のキャラにしておいて、クライマックスでマスクが外れて女性であったことが発覚して、まさか女性がこんな残虐な兵器を開発していたのかとダイアナが驚くみたいなシーンを入れていても良かったんじゃないのかとか。他にも、スティーブとのパーティー会場での接触シーンで、マル博士の正体を知らないスティーブが、美人の女性なので秘書かなんかだろうと見くびって、色仕掛けでマル博士の情報を引き出そうとして失敗するシーンなんかがあっても良かった。


アレスに関して

この映画のもう一つの良く無い点はアレスだ。軍神アレスが、蛮族系というよりは、こじらせた文系みたいなキャラだったのは意外性があって面白かったが、この映画の場合、アレスは登場させない方が良かったのでは無かろうか。


監督はインタビューで『本作は典型的な正義のヒーローが戦争という善悪がグレーな場所で正義をどうやって貫くのかを問われるのが大きな要素』と語っている。実際途中まではテーマに沿った形で素晴らしい。


戦争の原因は軍神アレスで、アレスさえ倒せば操られていた人間たちは目が覚めて平和が訪れるという夢物語を信じたダイアナが戦地に突撃していく話になっていて、スティーブからそうじゃないんだよという話をされつつも聞き入れない。スティーブは、戦争は誰か一人の悪者が起こすんじゃなくて、みんなの責任で起こるという良い話もする。最後にダイアナは、邪悪な大量殺戮を企むドイツ軍の将校をぶち殺すのだが、それでも戦争は止まらず、愕然とする。


そこまでは良いのだが、なんとその後に結局アレスが登場してしまう。結局アレスは戦争を劇化させる為に人間を操っていたのである。そしてダイアナとアレスが対決する。このそれまでのテーマをぶち壊す展開は、馬鹿じゃねーのかなと思う。確かに、ヒーロー映画だし最後は超人同士の対決で締めようというのが分からなくもないが、これだと戦争は一人の悪人が引き起こしているんじゃないという、それまでの戦争と正義というテーマが台無しだ。一応、それでも悪いのは人間だとアレスは言い訳がましく説明はするのだが、だから何だよという感じである。


アレスはキャラ造形的にも色々微妙で、人間の危険性に気付いていたが故に神に造反したルシファー的な扱いになっている。エンターテイメント性を考えるなら、悪人はとことん悪い奴にすべきだったと思う。戦争を引き起こすことで、戦争の神であるアレスは勝利を祈る人間からの信仰で力が増すとかそういうストレートなクズにしとけば良かった。


もしくはアレスを単に人間の本質を露見させたい文系キャラにしておきたいなら、舞台が第一次大戦なので、アレスの関与はあくまで戦争のトリガーになったサラエボ事件に関与したとかで、確かに戦争の切っ掛けは作ったがここまで酷い戦争に発展したのは人間自身の性による自業自得とかそういうスタンスで行けば良かったのにと思う。

クライマックスに関して

ダイアナが女性ヒーローであるという点を活かすなら、例えば「これが漢の死に様じゃい!」みたいな感じで、毒ガスを積んだ爆撃機もろともヒロイックに自爆しようとするスティーヴを止めて、仲間たちと一緒になんとか他の解決方法を見つけるだとか、同じ女性であるマル博士をなんとか説得して無効化する方法を聞き出すとか、そういう男のヒーローじゃないからこそな、決着の付け方があっても良かったんじゃないのかなと思う。


そして、最後は生き残った仲間たちと酒場で打ち上げをする訳だ。何なら、本当はさっさと戦争を止めたかったドイツ兵なんかも一緒に。音楽はもちろんスコットランド人の狙撃手が担当する。


DC映画は暗いムードで失敗してきたので、ここらでこういうハッピーエンドをぶち込んでも良かったのでは無かろうか。


色々不満は述べたが、それもこれもこの映画はもっともっと面白くなれたはずなのに惜しいなという想いからだ。正直最高傑作だとは思わないが、面白い映画だし、数少ない女性が主人公のアメコミヒーロー映画なので、是非観に行ってほしい。


by cemeteryprime | 2017-08-26 13:23 | 作品・感想 | Comments(0)

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